【試乗】新型 メルセデスAMG SL63 4MATIC+|完璧な運動性能を手に入れた“スーパースポーツ”
カテゴリー: AMGの試乗レポート
2023/07/22
メルセデスAMG最強のV8エンジンを搭載
7代目となったSL(R232型)。いろんな変革が盛り込まれていたわけだけれど、メルセデスAMGの専売モデルとなったことがコトのすべてを物語っていた。専用の車体設計が与えられ、パフォーマンスが大いに引き上げられていたからだ。
まったりドライブできるオープンカーではなくなったが、ある意味、先祖返りである。なぜなら初代300SLは今でいうならスーパースポーツカーだった。新型は、外から見た印象も随分と先代(6代目)とは違っている。第5、第6世代と続いたリトラクタブルハードトップをついに諦め、クロス製トップを再び採用したからだ。こちらの方がオープンカーらしいし、よりスタイリッシュでエレガントな雰囲気に見える。
メルセデスAMG製のM139型2L 4気筒ターボエンジンを積んだSL43に続き、M177型4L V8ツインターボを搭載するSL63 4MATIC+も日本上陸を果たした。
最大の魅力はもちろん、585psを発するV8ツインターボだ。メルセデスAMGの誇る最強エンジンで、9速MCTと4MATIC+(4WD)を組み合わせた。SLとしては初の4WD。外観でエンブレムに頼らずSL43と区別しようと思えば、フロントとリアバンパーのデザインの違いが最も判断しやすいだろう。
メカニズム的にもパワートレインの他に注目すべきポイントがいくつか内包されている。中でも注目がメルセデスAMGの量産モデルとして初採用となるAMG ACTIVE RIDEサスペンションだ。これは従来からのトーションビームによる機械的なアンチロール機能に代えて、油圧システムによってアシを個別に制御するもの。すべてのダンパーが油圧によって連携されており、走行コンディションやドライブモードに応じて制御される。快適性のみならず運動性の向上にも大いに寄与するという。この油圧システムを使ったフロントアクスルリフトシステムもまた日常使用に有効なアイテム。リアアクスルステアリング(後輪操舵)とともに最新のアシ回りを手に入れたというわけだ。
4気筒エンジンを積んだSL43は、鼻先の軽さを生かしたFRらしい機敏さが魅力のハンドリングマシンであった。もっとも2Lの直4エンジンと言われると、いかにも軽量級で、性能は十二分だったとしても乗っていて“豪華なSL”という満足感は得ることがなかった。
比べて待望のV8エンジンを積んだSL63はというと、伝統的で重厚なGTクルーザーといったイメージがまず先に立った。と同時に、新たなアクティブサスペンションとシームレスな駆動配分を実現する4MATIC+システム、そしてもちろんクラス最高峰の動的スペックを誇るV8パワートレインとが相まって、そのパフォーマンスはほとんどスーパースポーツカー級でもあったのだ。
スペック表に0→100km/h加速は3.6秒とある。なるほどその体感加速はすさまじく、なんなら数字以上に速いと感じた。何しろV8エンジンがすさまじい雄たけびをあげるから、実際以上に速く走っているように思える。けれども加速中の姿勢は超安定志向だ。スリルより安心を提供するあたり、これぞ“メルセデスらしさ”というものだろう。
SLとして初採用となった後輪操舵もよく利いている。ニンブル(機敏)だけれども安心して扱えるハンドリング性はもちろんのこと、高速クルージング時の安定感あふれる直進性もまた後輪操舵のおかげ。できのいい骨格ボディとシャシー、そして制御の行き届いたサスペンションシステムによって実にメルセデスらしいファン=完璧な運動性能、を手に入れたと言っていい。
SL43では9速MCTの低速域マナーに若干のギクシャク感があった。SL63では取り立てて不快に思うことはない。8気筒との組み合わせの方は、実績があるから、なのかもしれない。
もうひとつ、インテリアの見栄え質感には注文をつけておく。なんといっても3000万円級の超高級スポーツカーである。それにオープンカーということで、インテリアを見せびらかすことになる、にもかかわらず、“いかにも”な最新メルセデストレンドのデザインで、新鮮味にも高級感にも欠けると思った。
Aクラスからすべて同じイメージで統一された志あるブランドデザインというわけで、逆に言えば同じデザインテイストを採り入れる安価な現行モデル(メルセデス・ベンツのAクラスやGLAクラスなど)の方が見栄え質感的にはお買い得とも言えるわけだけれど…。
▼検索条件
メルセデスAMG SL63 4 MATIC+× 全国自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
2L直4エンジンのFRモデル、SL43の中古車市場は?
始祖となるレーシングカー、300SLの誕生70周年の年にモデルチェンジを果たしたSL。まずは2L直4ターボを搭載した、FRのSL43が登場した。エンジンはAMGの「One man, One engine」主義にのっとり、熟練マイスターが手作業で組み上げた直4となるM139型を搭載。最高出力381ps/最大トルク480N・mを発生する。
2023年7月中旬時点で、中古車市場にはおよそ100台が流通しており、1300万円代後半から探すことができる。まだ新しく個体の品質差が少ないので、好みの色やオプション装備などで比較してみると良いだろう。
▼検索条件
メルセデスAMG SL43× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●SL 63 4マチックプラス 4WD
型式 | 7BA-232481C | 最小回転半径 | -m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.71m×1.92m×1.37m |
ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.7m |
ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.66m/1.62m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 1940kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.11m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、セレナイトグレー、スペクトラルブルー、ハイパーブルー |
||
オプション色 |
アルペングレー、オパリスホワイト、パタゴニアレッド、スペクトラルブルーマグノ(マット)、AMGモンツァグレーマグノ(マット) |
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掲載コメント |
- |
型式 | 7BA-232481C |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 2 |
ミッション | 9AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、セレナイトグレー、スペクトラルブルー、ハイパーブルー |
オプション色 | アルペングレー、オパリスホワイト、パタゴニアレッド、スペクトラルブルーマグノ(マット)、AMGモンツァグレーマグノ(マット) |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | -m |
全長×全幅× 全高 |
4.71m×1.92m×1.37m |
ホイール ベース |
2.7m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.66m/1.62m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1940kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.11m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | 177 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 70リットル |
可変気筒装置 | ◯ | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 3982cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 585ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/5000 |
エンジン型式 | 177 |
---|---|
種類 | V型8気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | ◯ |
総排気量 | 3982cc |
最高出力 | 585ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/5000 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 70リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |