【試乗】新型 メルセデスAMG GT クーペ|安心して身を任せられる“オールマイティ”なグランドツアラー!
カテゴリー: AMGの試乗レポート
2024/09/09

“多くの人が楽しめる”ラグジュアリースポーツへ
メルセデスAMG GTが第2世代へと進化した。そもそも初代は、“メルセデスAMG”として新たにブランドを展開する記念すべき初号モデルだったから、AMG GTといえばブランドのフラッグシップカーという認識がすでに出来上がっていると思う。
筆者が新型AMG GTを初めて見たのは2023年7月のグッドウッドのフェスティバル・オブ・スピードで、だった。近年、この手のラグジュアリー高性能モデルはグッドウッドやペブルビーチでワールドプレミアされることが多い。つい先月もメルセデス・マイバッハがSLベースのウルトララグジュアリーモデルを披露した。
ただし、筆者が2023年にグッドウッドで見たAMG GTは偽装されていた。実をいうと正式発表はやはり8月のペブルビーチで、7月はまだ正式発表前。それでもテストカーのような偽装をして現れたあたり、メルセデスAMGの本気がうかがえる。
前置きが長くなったけれど、そこで筆者はある異変に気づいた。偽装されていたといはいえ、見るからにAMG GTであることは分かる。典型的なロングノーズ&ショートデッキの大型クーペであり、見た目にキープコンセプトであることは疑いようもない。
異変とはフロントタイヤの位置だった。初代に比べて前軸とキャビンの距離(プレミアムレングス)が少々短くなっている。初代はV8エンジンを完全に前軸より後ろに収めていた。いわゆるフロントミッドだ。ところが、2代目のプレミアムレングスを見る限りどうやらその余裕はなさそうだ。もちろんFFほど詰まってはいないのだが……。
こで思わずひざを打つ。ハーン、なるほど、新型GTはSLと姉妹だったか、と。事実、メルセデスAMGはそのことを隠してはいないし、そもそもSLも現行モデルからAMG(とマイバッハ)ブランド専用モデルとなった。
そして、この事実により、新型AMG GTの走りの方向性がよく分かるのだ。スパルタンなピュアスポーツカーであった先代に比べて、ずっと乗り心地もよくなっているに違いない……。


日本上陸を果たした新型AMG GT。まずはサーキット試乗会に供されたらしいが、そのあたり裏読みをすれば、見る人が見れば分かる変化への懸念を払拭するためだったか? それはともかく、一般道で試した2代目GTはやはりライドコンフォートに優れたグランドツーリングカーだった。
なんならむしろSL63の方が硬派だったんじゃないか? そう思えてしまうほど、いい意味でまとまりがあった。ライドコンフォートは“上質な硬さ”というべき性質のもので、ドライバーはもちろん、他のパッセンジャーからもこれなら文句は出ないはず。
駒を回すようなクイックなハンドリング感覚こそ薄まってしまったけれど、それでも前輪の動かし方はさすがにメルセデスで、違和感なく自在に動かせているという気持ちにさせてくれる。

“63”エンジンのパワーフィールは相変わらず爆発的だ。官能性には乏しいけれど、全域で力が溢れている。そして、その力の出具合とGTの車体とのマッチングがSLよりもいい。SLではちょっとギクシャクする場面があったけれど、それがない。その分、刺激には乏しいのだが、それが2代目の新たなキャタクターということだろう。
高速道路では非常によくできたグランツアラーだった。車が道を知る典型というべきパフォーマンスで、最新の運転支援システムも含め、本当に安心して身を任せることができる。その昔のメルセデス・ベンツ、W124あたりには「偉大なる母」に抱かれるような安心感があった。現代のそれはいささかサイボーグ的ではあるし、温かみこそ欠けるけれど、安心できるという点では同等かそれ以上だろう。
気になるスポーツカーとしてのパフォーマンスだが、ワインディングロードで試すぶんには扱いやすさがプラスに働いて、なくしたスパルタンさを補ってあまりがあった。いかに刺激的なマシンであっても、簡単に扱えないようじゃ楽しくない(その逆も真なりだが)。その点、新型AMG GTは、少なくとも標準的なドライバーにとって、スポーツカーとしてのドライビングファンを高いレベルで提供しつつ、普段使いから長距離ドライブまでオールマイティに使えるラグジュアリークーペになった。
より多くの人が楽しめるモデルになったことを“堕落”だと思う人は、今のうちに初代を中古でゲットしておいた方がいいだろう。







▼検索条件
メルセデスAMG GT クーペ (現行型)× 全国
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
先代となるメルセデスAMG GT(初代)の中古車市場は?

実質的なSLS AMGの後継モデルとなる、メルセデスAMG完全自社開発の2シータースポーツ。フロントミッドには4L V8ツインターボを搭載する。ソフトトップを備えたロードスターもラインナップし、さらに高性能なSやRなども用意されていた。
2024年8月下旬時点で、中古車市場には60台程度が流通、支払総額の価格帯は850万~3200万円。限定モデルだった公道走行も可能なレーシングマシン「ブラックシリーズ」も数台のみだが流通しており、価格帯は5600万~6100万円となっている。また、ロードスターは数台が流通している。
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メルセデスAMG GT(初代)× 全国▼検索条件
メルセデスAMG GT ロードスター× 全国▼検索条件
メルセデスAMG GT S ロードスター× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●63 4マチックプラス クーペ 4WD
型式 | 7BA-192378C | 最小回転半径 | -m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.73m×1.99m×1.36m |
ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.7m |
ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.68m/1.69m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 1960kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.11m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、セレナイトグレー、スペクトラルブルー |
||
オプション色 |
アルペングレー、オパリスホワイト、パタゴニアレッド、スペクトラルブルーマグノ(マット)、ハイパーブルーマグノ(マット) |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 7BA-192378C |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 3 |
ミッション | 9AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、セレナイトグレー、スペクトラルブルー |
オプション色 | アルペングレー、オパリスホワイト、パタゴニアレッド、スペクトラルブルーマグノ(マット)、ハイパーブルーマグノ(マット) |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | -m |
全長×全幅× 全高 |
4.73m×1.99m×1.36m |
ホイール ベース |
2.7m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.68m/1.69m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1960kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.11m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | 177 | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 70リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 3982cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 585ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/5000 |
エンジン型式 | 177 |
---|---|
種類 | V型8気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 3982cc |
最高出力 | 585ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/5000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 70リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |