【試乗】新型 メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+ SUV|加速フィールはまさに弾丸! 高速域のライドフィールが心地よい高性能電動SUV
カテゴリー: AMGの試乗レポート
2024/05/03
メルセデス流BEVを知るのに最適な1台
メルセデスAMGとして初となるBEVのSUVとして登場したEQE 53 4MATIC+ SUV。なるほどAMGというだけあって、スーパーカー級の最高出力(625ps)と、スーパーSUVらしい最大トルク(955N・m)を誇っている。その分、カタログ上の一充電走行距離はスタンダードモデルより劣っていて、カタログ値で449km。BEVのリアルな航続距離は“八掛け”なので、せいぜい360kmくらいか。このあたり、ライフスタイルに合わせた吟味が重要になる(そもそもBEVというカテゴリーがそうだけれど)。
概要は先に登場したセダンのEQE 53 4MATIC+と同じ。つまりは、もう1ランク上のEQSに端を発した一連のメルセデス電動専用プラットフォーム“EVA2”シリーズで、前後に交流同期モーターを配置する4MATICのみ。ローンチエディションには「AMGダイナミックプラスパッケージ」が標準で備わっていて、瞬間的に動力スペックを110%まで上げることができるらしいが、さすがに公道で試すのははばかられる。ちなみに、コンフォートモードでの動的スペックは80%に制限される。要するに、コンフォートではスタンダードのメルセデス・ベンツ EQE350 4MATIC SUVと変わらぬパフォーマンスということだ。
足回りの仕様やセッティングは当然ながらAMG専用。セダンと大きく異なっているのは前後にアクティブスタビライザーを備えたこと。車重の重いBEVで、車高も高い高性能SUVとなれば、エアサスの制御だけでは心許ないということだろう。
まずはコンフォートモードで走り出した。しばらくは加速フィールにAMGらしさを感じることはない。スタンダードモデル同様のスペックになると知らなかったら「お金を返せ! 」と思うだろう。とはいえ、乗り心地は明らかにソリッド。ショックのあたりもややハードだ。大排気量の専用エンジンを積んでいた頃のAMGのイメージがいまだ心に強く残る筆者にはちょっと寂しい。もっとも近頃ではS 63(Eパフォーマンス)でも街中ではモーターでたいへん静かに走ってくれる。
速度域が高くなればなるほど、その乗り心地にはフラット感が増していく。特に新東名の120km/h区間における流れに任せた巡航スピード域では、車体がギュッと引き締まったようにも感じ、巨大な車との一体感さえ味わえた。街中ではあまり良い印象を持たなかったスポーツモードでも、筋の通った心地よいライドフィールをみせる。
巡航でも十分心地よかったが、追い越し時に一瞬到達した120km/hあたりの高速域での安定感から想像するに、この車のクルージング・スイートスポットは完全にアウトバーン領域にあって、140~150km/hといったところだろう。
試しにスポーツ+で加速してみる。追い越し加速のフィールはまさに弾丸的で、3トン近い塊だと思うともはやスリルを超えて恐怖でしかない。いろんなBEVを試してきたけれど、異様な加速と、それに相反する重量感というアンバランスには一向に慣れそうにない。
もちろん、こと高性能モデル(高額車)に関していえば、ガソリン車だってその実態はほとんど変わらない。性能スペックは異次元の領域を目指しているかのようだ。けれどもパワートレインに特有のサウンドやバイブレーション、それらを合わせた機械の動的フィールといったものの変化がガソリン車にはある。結果(速度)も重要だけど、プロセス(加速)も大事。高性能なBEVでは、デジタル時代にふさわしくいきなり結果が出てしまう。それはそれで経験する価値はあるけれど、一回体験できればそれでいいとも思う。それよりもいかにプロセスを滋味深く演出できるかどうか。メルセデスAMGに限らず、スタンダードの高性能版を売りにするブランドのBEVには付加価値の再定義が必要になってくるはずだ。
EQE SUVは一連のEVA2モデル群にあって、最もバランスのいいプロダクトだと思われる。メルセデス流のBEVを知るという意味で最適なモデルであるうえ、実用車としてその退屈なまでにパーフェクトな乗り味こそ、ある意味で往年のメルセデス・ベンツ Eクラスをほうふつとさせるからだ。そこまではいい。例えば、さらに上級のマイバッハともなればBEVとの相性も抜群である。
けれどもAMGとしてはどうなのだろう? いまだに6.2L V8 NAを積んだC 63の上質なタマをカーセンサーで探してしまういちAMGファンとしては、BEVのメルセデス・ベンツ(とマイバッハ)は大いに認めたいものの、AMGには疑問符がついてしまうのだった。
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
ベーシックモデルのメルセデス・ベンツ EQE SUVの中古車市場は?
BEV専用プラットフォームを採用するアッパーミドルクラスのSUV。89kWhの駆動用バッテリーを搭載し、一充電走行距離は528km(WLTCモード)となる。長いホイールベースによる広い室内空間、SUVスタイルによる視線の高さ、後輪操舵システムを備えた取り回しの良さなど、使い勝手が良い。
2024年4月中旬時点で、中古車市場には7台ほどが流通、価格帯は1040万~1200万円となる。流通物件は2023年登場モデルのため新しく、走行距離は1万km未満。個体の品質差が少ないので、ボディカラーや装備などで比較・検討してみるのが良いだろう。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ EQE SUV× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●53 4マチックプラス ローンチ エディション 4WD
型式 | ZAA-294653 | 最小回転半径 | 5.1m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.88m×2.03m×1.67m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 3.03m |
ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.64m/1.66m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 2660kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.15m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
オブシディアンブラック、ソーダライトブルー |
||
オプション色 |
アルペングレー、ダイヤモンドホワイト |
||
掲載コメント |
※メルセデス ミー コネクトサービスは新車登録後3年間無料です |
型式 | ZAA-294653 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | その他AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | オブシディアンブラック、ソーダライトブルー |
オプション色 | アルペングレー、ダイヤモンドホワイト |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
不明 |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.1m |
全長×全幅× 全高 |
4.88m×2.03m×1.67m |
ホイール ベース |
3.03m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.64m/1.66m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 2660kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.15m |
掲載用コメント | ※メルセデス ミー コネクトサービスは新車登録後3年間無料です ※交流電力量消費率 WLTCモード 241Wh/km 市街地モードWLTC-L 242Wh/km 郊外モードWLTC-M 237Wh/km 高速道路モードWLTC-H 247Wh/km ※一充電走行距離(WLTCモード)449km |
エンジン型式 | EM0031 | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 625ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
955(97.4)/- |
エンジン型式 | EM0031 |
---|---|
種類 | 電気モーター |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | -cc |
最高出力 | 625ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
955(97.4)/- |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 電気 |
燃料タンク容量 | -リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |