AMGが作った新型Cクラス 【試乗by西川淳】
カテゴリー: AMGの試乗レポート
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2007/12/20
コンパクトセダンにモンスターエンジン
東京モーターショーにも来ていたけど、それより一足お先にドイツで試乗。いやあ、ド迫力だったねえ。このクラス、M3だとかRS4だとか、日本からもIS Fだとか猛者揃いなわけだけど、“迫力”では、文句なしに一番だな。面構え、存在感、音、パワフルさ(の演出)で。
待望の新型CクラスベースAMG。C63AMGと名乗るからには、もちろんエンジンはAMG初のオリジナル設計である63ユニット(6.3LのV8)を積んだ。
まあ、V8Cクラス自体は、先々代のC43からあって、このクラスのV8化の起爆剤になったわけだけど、M3までがV8化するにあたって本家本元が下した決断が、6.3Lという途方もない大排気量V8を積むということ。
Dセグに6200ccちょいだよ!最初の頃は、聞いただけでゾクゾクしたね。
なんでも63ユニットをぶち込むために、フロントアクスルまで全部作り替えたっていうから、ホンキ本気。実際、フロントセクションのカットモデルが会場にあったけれど、冷却性能の確保などに苦労の跡あり。
ベースのCクラスそのものからして、えらい評判いいじゃない?ボクもこのセグメントのスタンダードとして推す一人だけれど、あの頑丈なボディにハイパワーエンジンを積んだら凄いなってことは、現行Cクラスに初めて乗ったときから思っていた。
最近のAMGって、凄いけれど予想がついたじゃない?だいたいどんなもんか、って。だからそれほど待ちこがれるってことがなかったけれど、C63は待ちに待ったって感じやったな。
もうね、運転席に座ってドラポジとってエンジンかけた瞬間から、身体がギュッと引き締まるというか、車と否応なくつながってしまうというかね。止まっていても頑丈さが伝わって来て、一体感が得られて、信頼に変わっていく。そういう車ってあまりない。最近じゃ日産GT?Rがそうだったな。
エンジン関係の音がヤルキ満々で、とにかくモノ凄い。環境重視の時代に何やってんだ、って気持ちもありつつ、武闘派の振る舞いに惹かれるというか。でもこの車、案外燃費はいいんだよなあ。
街乗りの乗り心地は、もちろん硬め。けれども腰から下ががっちりと弾性をもって硬いという感じだから、乗り心地が悪いという気にならない。それよりも、エンジンフィールに予感される高性能発揮への安心感として受け入れられる。そういう作りが凄いよね、AMGは。わかっているんだなあ。
街中で前が空いたからって、不用意にアクセルペダルを踏もうものなら、大変。すぐにESPが利くし、前へ進んだとしてもあまりの突進力におののくばかり。もちろん、制動力もモノ凄いから、ちゃんと止まってくれるけど。
ESPスポーツモードが新しい。ギリギリまで介入を遅らせて、ブレーキを踏むといった意思表示をドライバーがして初めて救済するってやつなんだけど、いやあ、シロウト+αじゃこれでも刺激的。
郊外路なんかでちょっと攻め込んでみたけれど、楽しいの何のって!アクセルコントロールに対する車の動きがとても素直でわかりやすい。その上、車に対する絶対的な信頼があるから、けっこう無茶できる。最後はESPで救済、っと。息、荒くなったりしてね。
高速の安定感も素晴らしい。どこまでも回ってゆくかのような63ユニットの気持ち良さは言うに及ばず、あの悪面がビタッと路面に吸いついている姿を想像するだけで楽しいね。
そうそう、この車にはAMG初となるATのブリップ機能が付いた。大排気量自然吸気エンジンをめいっぱい回して、ホワンホワンと気持ちよくシフトダウン。63ユニットをめいっぱい楽しめるという点でも、今、C63が一番やと思いますねえ。