「いい車に乗っているなあ」と思える抜群の足回り

(Tester/MJブロンディ Photo/尾形和美)

コンセプト
“カルト”から“プレミアム”へ華麗なる変身を遂げたSTI

スバル インプレッサWRX STI フロント|ニューモデル試乗スバル インプレッサWRX STI リア|ニューモデル試乗スバル インプレッサWRX STI インパネ|ニューモデル試乗
マニア向けではない、欧州的な5ドアハッチバック車。それが新型インプレッサのコンセプトだが、そのイメージリーダーたるWRX STIは、「カルトカーからプレミアムコンパクトスポーツへの変身」を狙っている。

ノーマルグレードでは、どこかバランスが悪く感じられたフォルムも、オーバーフェンダー化で幅が広がったことで、ぐっと精悍にバランスよく見える。ボンネットには大きなエアインテークが口を開け、戦闘ムードをかきたてているが、決してオタク臭くない、上質なまとまりを見せている。これこそ新型インプレッサが本来目指したデザインだろう。

つまり今度のSTIは、決して派生モデルではなく、堂々たるトップグレードなのだ。

室内&荷室空間
大人向けの落ち着いた内装、後席の居住性は大幅に向上

スバル インプレッサWRX STI フロントシート|ニューモデル試乗スバル インプレッサWRX STI マニュアルミッション|ニューモデル試乗スバル インプレッサWRX STI SIドライブ|ニューモデル試乗
あまりに古典的だった先代インプレッサは、現代としては驚異的?なほどの後席足元の狭さを誇っていたが、新型はすべての面で時代に追いついており、居住空間は実に標準的。狭くはないが決して広すぎずの、落ち着いたスペースが確保されている。ハッチバックのラゲージは、先代のスポーツワゴンよりもむしろ広々としており、9インチのゴルフバッグも2個横積みで入れられる。

ブラックとシルバーでまとめられたインテリアは、適度にモダンで適度にハードボイルド。戦闘的すぎない落ち着いた雰囲気は、気負わずにリラックスしてドライブを楽しめるオトナの空間だ。フロントシートは標準でホールド性の高いバケットタイプが付くが、オプションでレカロも選択可能だ。

ドライブフィール
欧州車にも匹敵する、しなやかな乗り足

スバル インプレッサWRX STI 走り|ニューモデル試乗スバル インプレッサWRX STI エンジン|ニューモデル試乗スバル インプレッサWRX STI アルミホイール|ニューモデル試乗
エンジンのパワーは308馬力にアップしているが、以前より低い回転でのトルクが増したのが印象的だった。新たに導入されたSIドライブを最もスポーティな“S#”にしても、ターボらしいドカーンというパワーの盛り上がりは、それほど強く感じない。

むしろポイントは、しなやかで大人っぽい足回りだった。リアサスペンションの安定性が大幅に増し、非常に落ち着いた動きを見せる。しなやかすぎてサーキットでは多少物足りなく感じるほどだが、一般道でのドライブでは、そのスムーズでしっとりした走りが、「ああ、いい車に乗っているなぁ」と思わせてくれた。この感覚は欧州のプレミアムコンパクトそのもの。ゴルフGTIなどのテイストにかなり近い。

こんな人にオススメ

従来のSTIファンを十分満足させつつ、もっと幅広い層にアピールできる車に進化した。ハデすぎるウイングやエアロパーツではなく、精度の高い高級な作りで、男の魂を静かに揺さぶる。6速MTのみなので、それなりに乗り手は選ぶが、走りを楽しみたいすべての人にオススメ。もう乗ってて恥ずかしくなる車じゃない。
主要諸元のグレード WRX STI
駆動方式 4WD
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4415×1795×1475
ホイールベース(mm) 2625
車両重量(kg) 1470
乗車定員(人) 5
エンジン種類 水平対向4DOHCターボ
総排気量(cc) 1994
最高出力[kW(ps)rpm] 227kW(308ps)/6400rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 422N・m(43.0kg-m)/4400rpm
10・15モード燃費(km/L) 10.4
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアムガソリン/60
車両本体価格 365万4000円