【試乗】マツダ MAZDA3ファストバックとミニ ミニ ジョン・クーパー・ワークス|和洋ハッチバックに乗って感じた、対極に思えるモデルでも共通点があるのだと
カテゴリー: マツダの試乗レポート
2020/08/11
同じような道をもつ日本・英国製のハッチバックの車作りの違いとは?
かつて日本は、イギリスから援助を受けていた時代に「東洋の英国」と呼ばれたことがあった。日本は英国と同じ島国として国を守っている。
英国は丘が多く、曲がりくねったカントリーロードも、街中の道路も、なんとなくこじんまりとしていて、小型の車が似合う国である。
日本も同様に、タイトで細かく曲がりくねっている道が多いため、大きな車は便利とはいいがたい。
英国の道と似た日本であるが、車にはどのような違いがあるのか?
偶然にもマツダ MAZDA3とミニ ミニ ジョン・クーパー・ワークスという、和洋のハッチバックに乗る機会が訪れた。しかも、両車ともにMTモデルだ。
そこで、改めてこの2台に試乗し、和洋の車作りの違いについて感じてみることにしよう。
MAZDA3ファストバックはマイルドで大人のハッチバック
試乗するMAZDA3ファストバックのエンジンは、ガソリン圧縮点火を独自の点火コントロールによって実現した、スカイアクティブXという世界初の技術を採用している。
簡単に言うと、ガソリンとディーゼルの良い部分を取り混ぜたシステムで、ディーゼルエンジンのように火種がまったくない、ということではない。
小さな火種をコントロールして、燃料を無駄なく燃焼させることで、燃費性能と出力を高めている。
MAZDA3ファストバックに試乗してみると、ワインディングの上りなどは、ハイブリッドシステムが組み合わされているので、スポーティなパフォーマンスを提供してくれた。
しかし、私がMAZDA3ファストバックで最も感じたかったのは、ワインディングよりも高速時の静粛性と燃費、加速時のパフォーマンスだ。
実際に高速道路に乗ってみると、シフトとアクセルの関係が非常にスムーズで、とても滑らかなMT車に仕上がっている。この特性は車の姿勢はもとより、同乗者がよい乗り心地と感じる部分である。
トルクステアも抑えられ、大人のMTハッチバックといったところだ。
保土ヶ谷バイパスから東名に向かう。中高速の静粛性は極めて高い。そしてゆったりとした乗り味も、ロングディスタンスに良さそうだ。大井松田のマウンテン区間も安心感がある。
こういうしなやかなセッティングは、路面が濡れていても安心感がある。
世界各地に通用するMAZDA3ファストバックのサスペンションとシャシーの性能、それに特別なエンジンの関係を知ることができた。
ハードな乗り心地で腕を試されるミニJCW
では、イギリスが誇るホットハッチのミニJCWに乗り替えてみよう。
乗ってすぐ感じたのは、ハードこの上ないサスペンションセッティングだ。キュンキュンスイスイと街中から峠まで、ダイレクトなハンドリングを提供する。
しっかりとステアリングを握らずに、アクセルを踏んだものならば、トルクステアでどこ行くかわからないようなじゃじゃ馬である。
高速のタイトなコーナリングは、路面にピタリと吸い付く。重めのステアリングは高速コーナで一度舵角を決めれば、後はハンドリングを信じて曲がればいい。
そうした一体感を生み出すのがMT車の特徴である。ヒール&トーでのシフトダウンも気持ちがいい。
エンジンも重厚感があって国産車にはないエグゾーストノートだ。箱形形状のミニであるが、空力は思った以上によくスタビリティも高い。
しかし、正直言って高速をずっと走っているのは疲れる。
眠気覚ましに新東名を御殿場で下り、箱根を経由し山越えをした。やはりタイトな道が最高にマッチする英国車である。
ドイツ車と持ち味は違うが、個性が際立つMTであることには間違いない。
自分の腕を確かめたいなら、MAZDA3ファストバックよりも断然JCWの6MTだろう。やんちゃな車を乗りこなし、重厚感があっていいモノを所有していることが、ステイタスとなるのだ。
残念なことにJCWの6MTは、カタログモデルから消滅してしまった。高級FFハイパフォーマンス英国車を乗りこなしたいならば、中古車でしか手に入らないので調べてみるのもいい。
乗り味は対極な両車だが、車作りには共通する部分もある
さて、今回乗った2台を振り返ってみよう。
MAZDA3ファストバックは、ステアリングが軽く取り回しが良好。乗り心地も大人な雰囲気で利便性に富んでいると言える。これは万人に受け、オールラウンドに使えるといった日本車らしい味付けであった。
一方、ミニJCWは少々ステアリングが重く、コーナーもびしっと曲がるなんとも英国の小型車らしい、性能重視な作り方がされていた。英国ではストップ&ゴーが少なく、スピードレンジが高いのでこのような作りになっているのだ。
乗り心地は両極端な2台ではあったが、タイトな道をスイスイと走れてしまうという、車作りにおいて共通する点もあった。
圧倒的に支持率が少ないMTにも、情熱をもった専用のセッティングを行っているのだ、ということがわかった。これは素直に嬉しく思う点であった。
MTは、エンジンなどの素性がよくわかる。これを機にMT車に興味をもっていただければ幸いだ。
【試乗車 諸元・スペック表】
●MAZDA3ファストバック 2.0 X Lパッケージ
型式 | 3AA-BPEP | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.46m×1.8m×1.44m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.73m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.58m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
4WS | - | 車両重量 | 1420kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3AA-BPEP |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4.46m×1.8m×1.44m |
ホイール ベース |
2.73m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.58m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
車両重量 | 1420kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.14m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | HF-VPH | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | スーパーチャージャー | 燃料タンク容量 | 51リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) |
17.4km/L
└市街地:14.1km/L └郊外:17.6km/L └高速:19.2km/L |
燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +10%達成車 |
||
最高出力 | 180ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
224(22.8)/3000 |
エンジン型式 | HF-VPH |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | スーパーチャージャー |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1997cc |
最高出力 | 180ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
224(22.8)/3000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 51リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 17.4km/L
└市街地:14.1km/L └郊外: 17.6km/L └高速: 19.2km/L |
燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +10%達成車 |
●ミニ ジョン・クーパー・ワークス 3ドア
型式 | CBA-XRJCWM | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 3.88m×1.73m×1.43m |
ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.5m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | -m/-m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1260kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
ペッパーホワイト、チリレッド |
||
オプション色 |
ムーンウォークグレー、ミッドナイトブラック、サンダーグレー、ホワイトシルバー、レベルグリーン、ホワイトシルバーメタリック、スターライトブルー、ソラリスオレンジ、エメラルドグレー、ラピスラグジュアリーブルー |
||
掲載コメント |
- |
型式 | CBA-XRJCWM |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 3 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ペッパーホワイト、チリレッド |
オプション色 | ムーンウォークグレー、ミッドナイトブラック、サンダーグレー、ホワイトシルバー、レベルグリーン、ホワイトシルバーメタリック、スターライトブルー、ソラリスオレンジ、エメラルドグレー、ラピスラグジュアリーブルー |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
3.88m×1.73m×1.43m |
ホイール ベース |
2.5m |
前トレッド/ 後トレッド |
-m/-m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1260kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | -m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | B48A20B | 環境対策エンジン | H17年基準 ☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 44リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 14.5km/L |
総排気量 | 1998cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 231ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
320(32.6)/4800 |
エンジン型式 | B48A20B |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 231ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
320(32.6)/4800 |
環境対策エンジン | H17年基準 ☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 44リットル |
燃費(JC08モード) | 14.5km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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