▲今回試乗した新型デミオのプロトタイプ ▲今回試乗した新型デミオのプロトタイプ

動かした瞬間に感じるクラスを超えた進歩

1996年に初代デミオが登場して18年が経過した。初代デミオは使い勝手の良いサイズに2クラス上のシートを採用し、そして何よりもあの形状でハンドリングが抜群に良かった。エントリー向けのファミリークラス車だけに、理解されなかったかもしれないが、見えない部分にこだわるマツダらしい車であった。

そして今回、新型デミオのプロトタイプに試乗した。グレードはSKYACTIV-D 1.5。ディーゼルターボエンジンを搭載したモデルでトランスミッションは6速ATと6速MTが用意されている。

まずは6速MTから。エンジンを始動してみると、ディーゼル特有の音はしごく抑えられており、静粛性は抜群。走り出しは、クラッチを繋ぐ際も燃焼が安定していて、とてもスムーズだ。

1速で3500回転まで踏み込みシフトアップ。トルクも十分で思わずどんどんシフトアップしたくなる。エンジンの性能は素晴らしく申し分ないが、6速MTのシフトは節度はあるものの新しさは感じなかった。しかし2000回転以上であればどこのシフトポジションからでも加速して楽しめる車だ。

▲シフトチェンジの際の急激な立ち上がりもなく、リニアで軽快に操れる ▲シフトチェンジの際の急激な立ち上がりもなく、リニアで軽快に操れる

1080㎏の車体をトルクフルなエンジンで走らせるとなると、気になるのはサスペンションを含めたシャーシ性能だが、このクラスでは体感したことがないほどピカイチに感じた。乗り心地もこの軽量な車重にしては振動をこれ以上ないほどに抑えているといって良いだろう。よくサスペンションを動かせたと感心する。

急激な入力に対してもショックをしっかりと吸収してくれる。それでいてシャーシのバイブレーションも抑えているのは、ダンパーとショックアブソーバーがきちんと働いている証拠だ。16インチのタイヤとのマッチングもすこぶる良い。コーナリングでも終始安定した姿勢を保ちながら素直にトレースできる。マニュアルを楽しく操れる人にはぜひともオススメしたいモデルだ。

▲コーナーリング時のスキール音を最小限に抑え、素直にトレースできる ▲コーナーリング時のスキール音を最小限に抑え、素直にトレースできる

続いてSKYACTIV-D 1.5のAT仕様に乗る。ダイレクトなMT仕様の後なので素直な扱いやすさを感じながら走らせる。MT仕様よりも出力が高くトルクも申し分ない。

スポーティな雰囲気を大切に開発されたという6速ATは、テンポ良くシフトアップしながら速度を上げていく。この絶妙なギア比がさらに乗り心地と操縦安定性を向上させていて、とても素直な扱いやすい車に仕上がっている。兄貴分のアクセラよりも正直言って洗練されているように感じた。

どのくらいの価格になるのかはまだわからないが、クラストップの乗り心地と静粛性、走行性能を兼ね備えたモデルになることは間違いなさそうだ。

乗り込んだ瞬間、目に見えない技術力の進歩を実感させられる「マツダスピリット」を感じる車であった。

【SPECIFICATIONS】
■グレード:SKYACTIV-D 1.5 ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC+ターボ ■総排気量:1498cc
■最高出力:77(105)/4000[kW(ps)/rpm] ■最大トルク:250(25.5)/1500-2500[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4060×1695×1500(mm) ■ホイールベース:2570mm
■車両重量:1130kg
■ガソリン種類/容量(L):軽油/44

■グレード:SKYACTIV-D 1.5 ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC+ターボ ■総排気量:1498cc
■最高出力:77(105)/4000[kW(ps)/rpm] ■最大トルク:220(22.4)/1400-3200[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6MT
■全長×全幅×全高:4060×1695×1500(mm) ■ホイールベース:2570mm
■車両重量:1080kg
■ガソリン種類/容量(L):軽油/35

Tester/松本英雄 Photo/篠原晃一