“いいフィット”に進化、その性能はクラスを超えた

(Tester/西川淳 Photo/尾形和美)

コンセプト
偉大だった初代を超えるためのキープコンセプト

ホンダ フィット フロント|ニューモデル試乗ホンダ フィット リア|ニューモデル試乗ホンダ フィット1.5RS|ニューモデル試乗
フルモデルチェンジする直前まで月間登録台数が1万台以上を記録したという大ヒット作のフルモデルチェンジ。見た目にさほど変わった印象はないが、開発陣は一旦ゼロリセットして、新しいフィットを企画したという。

コンパクトなサイズ、広い室内、使える荷室、経済性、安全性、そしてホンダらしい走りの性能、とあらゆる点で初代を上回ろうと考えた結果がキープコンセプトになった。それだけ初代は偉大だったということ。コンパクトカーとして一つのブランドになったというべきフィットだから、このモデルチェンジは、現時点では正しいのだろう。

シンプルなグレード構成だ。1.3Lと1.5Lのいずれも新開発iVTECを積む。1.5はRSと呼ぶが、いわゆるスポーツモデルではない。

室内&荷室空間
より広くなった室内、使い勝手の良さはさらに進化した

ホンダ フィット インパネ|ニューモデル試乗ホンダ フィット フロントシート|ニューモデル試乗ホンダ フィット リアシート|ニューモデル試乗
ワイドトレッドとなり、若干サイズアップしたこともあるが、室内空間の拡大を数値以上に感じる。特に前席の前とショルダー方向が広い。ちょっとしたミニバンに乗っているような開放感がある。最近のホンダ車らしい、凝ったコックピットデザインを採用した。質感こそイマイチだが、操作性や景色の良さは評価できる。

フィットの魅力の一つが、ミニバンっぽい使い勝手だったが、新型ではさらに使い勝手が向上した。基本的に直感&1アクションで操作できるシートアレンジや、便利なフレクシブルラゲージボードを備えた荷室、そして10個のドリンクホルダーをはじめとする様々な収納スペースなど、コンパクトカーにしてこの機能性の高さは世界一と言っても過言ではない。

ドライブフィール
静粛性、振動の少なさ、買いはズバリ1.3Lだ

ホンダ フィット ラゲージ|ニューモデル試乗ホンダ フィット ラゲージ最大|ニューモデル試乗ホンダ フィット サンルーフ|ニューモデル試乗
まずは1.3LFFのCVTに乗る。乗ってまず驚くのが視界の良さ。三角窓が広げられ、ちゃんと向こうが見える。このあたりも車を広く大きく感じさせる要因だ。クッションたっぷりの前席。シートリフターの範囲が広がり、ハンドルにテレスコ&チルト機能が備わったため、自分に合ったドライビングポジションもキメやすい。

走り出して気づくのがNVH(騒音、振動、乗り心地)性能の高さだ。ハンドルやフロアといった手足が触れる部分に不快な振動を感じない。静粛性にも優れており、ことNVH性能に関しては完全にクラスを超えている。しみじみ"いいフィット"になったが、オススメの1.3に対して1.5RSは興ざめだ。ロードセーリングというには中途半端でモノ足りない。

こんな人にオススメ

フィットっていい車なんでしょ?という方に。お値段据え置きで機能全面向上です。コンパクトカー狙いなら買わない手はない。ただ、代わり映えしないのも事実だから、見た目とか流行を気にしない人のほうが満足度が高い。評判のフィットを買ってみたら、物知りの友達から"それって新型じゃない!"って言われて驚いた、みたいな。
主要諸元のグレード 1.3L(FF)/1.5RS(FF)
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3900×1695×1525
ホイールベース(mm) 2500
車両重量(kg) 1030
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1339
最高出力[kW(ps)rpm] 73kW(100ps)/6000rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 127N・m(13.0kg-m)/4800rpm
10・15モード燃費(km/L) 21.5
ガソリン種類/容量(L) 無鉛レギュラー/42
車両本体価格 1.3L(FF)134万4000円
1.5RS(FF)157万5000円