小気味よくシフトし、クイッと曲がる、速さも痛快さも極まれり

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コンセプト

イギリスで生産される峠仕様のタイプR

タイプRはホンダのレーシングスピリットを象徴するモデル。インテグラに続いてシビックのタイプRも第2世代へと成長を遂げた。

先代シビックタイプRと大きく異なるのは、これがイギリスで生産される輸入車となることだ。その理由はベースとなる3ドアモデルが日本ではなく英国工場で生産されていることにある。インテグラタイプRと基本的に同じ2LのDOHC i-VTECエンジンや6速MT、専用チューニングのタイヤなどが日本から送られて、それをボディに組み込んだ完成車として日本に戻ってくるという形だ。

サーキットでの走りを強く意識したインテグラタイプRとの差別化を図る意味もあって、こちらはワインディングで楽しめるようなサスチューニングがなされている。
室内&荷室空間

旧型に比べ全長を短縮。しかし、室内は広くなった

フラットフロアを特徴とする新プラットフォームにより、先代に比べ全長、ホイールベースとも50mm短くなっていながら、より広い室内を生んでいる。例によってレカロ製が奢られるフロントシートは先代に対してヒップポイントが30mm高くなった。エアコンやパワーウインドウなどは33万円高のCパッケージにのみ付くが、モータースポーツ用途以外では必需だろう。
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ドライブフィール

程よく引き締められた足でインテRより軽快な回頭性

サーキットでは先代に比べ足がソフトだと感じたものだが、街中では結構、体に響く硬さで、タイプRであることを実感させる。

ただ、以前のようにエンジンやミッション、ロードノイズなどが容赦なく襲いかかるといったことはなく、オーディオも楽しめそうだ。インパネから生えるシフトレバーはステアリングから手を下ろした自然な位置にあり操作しやすい。エンジンは全域でトルクフル、先代のようにVTECの切り替わりでの、急激に盛り上がる加速感は失せたが、各ギア間のつながりは抜群で、2速、3速を駆使しての走りは痛快だ。

インテRとの一番の差は、いかにも慣性マスの小さそうな軽快な回頭感だった。スッとノーズが入り、高い接地力と強力なトルセンLSDの力で引っ張り上げ、リアもインテRほどには頑として踏ん張らないので、タイトコーナーで回り込むような走りも楽しめる。ただし電動パワステとこのLSDの組み合わせは、操舵しながらの加速時には意識してステアリングを戻してやる必要が生じている。

ブレーキはインテRのようにブレンボ製ではないが、利き、耐フェード性も十分だった。
こんな人にオススメ
悩むのはシビックRなのかインテRなのか。車重は30kgシビックのほうが重いが、動力性能は実質的には同じで、どちらも文句なく最速FFだ。ただ、ノーマルでサーキットに持ち込むならボディや足の差でインテRに分がある。シビックRは軽快痛快なハンドリングが身上。ワインディングを楽しみたい人に。
SPECIFICATIONS
グレード タイプR
Cパッケージ装着車
駆動方式 FF
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4135 x 1695 x 1430
ホイールベース(mm) 2570
車両重量(kg) 1210
乗車定員 4人
エンジン種類 直4DOHCi-VTEC
総排気量(cc) 1998
最高出力 158kW(215ps)/8000rpm
最大トルク 202N・m(20.6kg-m)/7000rpm
車両本体価格 253万円
写真:奥隅圭之 文:斉藤慎輔