日産 フェアレディZ 【フルモデルチェンジ】
2009/02/06
性能が大きく“Jump”した新型フェアレディZ
所有する喜びが得られる希有なスポーツカー
PERFORMANCE
Z33の延長線上からさらに大きくジャンプした新型
初代S30から約40年。「もはややり尽くした(CPS=開発責任者の湯川伸次郎氏)」という旧型Z33から、その性能を大きく「Change」ではなく「Jump」とすることでZ33の延長線上に置かれた新型。エンジンは336psを発揮する最新型のVQ37VHR、これに世界初の機構を搭載する6MT、そしてATも一気に7速化するなど注目ポイントが満載だ。DRIVING
攻めれば確かに速いが、普通に流すだけでも凄い
小難しい理屈はいらないと思う。スキルのあるドライバーが攻めれば凄いパフォーマンスを発揮するだろうが、流して走るだけでも車との一体感や気持ちよさは誰でも感じ取れる。6MTに搭載する新開発のシンクロレブコントロールは回転数をピシッと合わせてくれるし、新7ATのダイレクト感もたまらない。これを“カイカン”と言わずして何と言うのだろうか。SPACE
質感の大幅な向上、特にシートの出来に注目せよ
別にZ33が悪いというわけではないが、室内のそれぞれのパーツは一種のつながり感が欠けていた気がする。しかしZ34は操作&機能性も高めながらしっくりとくる質感に好感がもてる。またシートの材質は今回特に滑りにくいものを採用しているというが、これはよく考えられている。ステアリングと並んで一番身体が触れる場所ゆえに、この進化は凄い。OWNERSHIP
湯川さん、加藤さんありがとう。日本にはいい車があります
テレビCMでもおなじみの現代の名工こと加藤博義さんにお話を聞いたが、ハードドライビングとかではなく、デイリーユースでの気持ち良さを作り込んだとのこと。ゆえにサーキットのタイムとは無縁。「車は人が作る」は名コピーだが、本当にその通り。日本にはいいスポーツカーがあります。所有する喜びが得られる希有な一台だろう。SPECIFICATIONS
グレード | バージョンST |
駆動方式 | FR |
トランスミッション | 6MT |
全長×全幅×全高(mm) | 4250×1845×1315 |
ホイールベース(mm) | 2550 |
車両重量(kg) | 1520 |
乗車定員 | 2人 |
エンジン種類 | V6DOHC |
総排気量(cc) | 3696 |
最高出力 | 247kW(336ps)/7000rpm |
最大トルク | 365N・m(37.2kg-m)/5200rpm |
車両本体価格 | 435.75.1万円 |
RATING
EQUIPMENT(装備)
カーウイングス対応ナビはオプション扱いだがバージョンSTとTにはBOSEサウンドシステムが標準装備。スポーツカーにおけるオーディオとはどうあるべきかを形にした良質な音を聴かせてくれる逸品。
SAFETY(安全性)
VDCはもちろんエアバッグはサイドのほか、カーテンシールドタイプも全車標準装備する。また万が一歩行者との接触の際にもポップアップフードで傷害を軽減するなど、現状でも十分な内容をもつ。
ECO(環境性能)
平成17年基準排出ガスは50%と星3つを達成。スポーツカーだから3つでいいというわけではないが、より実際の走行に近く、厳しいJC08モード試験によるもの。さらなる性能向上に期待したい。
MILEAGE(燃費)
バージョンSTのMT車の10・15モード燃費は9.5km/L。AT車は9.4km/Lとその差は少ない。大幅にパフォーマンスアップしながらAT車は旧型より燃費性能を向上させているのだからここは素直に褒めたい。
VALUE(バリュー)
CPS(開発責任者)を務めた湯川氏が発表会で述べた「Z33から大きくジャンプした」という意味は試乗することでさらに理解することができた。Zの持つ価値は今後の進化も含め極めて高い位置にある。
総合評価
16
日産 フェアレディZ 【フルモデルチェンジ】/試乗レポート