日産 キックス オーテック▲AUTECHが手がけたキックス AUTECHに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏がレポートする

専用加飾や内装の素材などの質感がよくなり好印象

日産 キックスが登場してからおよそ1年半が経過した。そのときの試乗記でもお伝えしたが、正直に言って褒めたたえた内容ではなかった。それは、インテリアや乗り心地のしなやかさに欠けていた印象があったからである。

今回は、日産少数精鋭が造るブランド「AUTECH」仕様のキックスを試乗することができたので、その雰囲気をお伝えしたい。

AUTECHが手がけたモデルはいくつもあるが、フロントグリルなどの加飾がベースモデルよりも質感を高めているものが多い。そしてAUTECH JAPANは、外観に加え中身を進化させる会社である。

AUTECHがカスタマイズしたキックスは、ボディに締りを与えるメタル調のフィニッシャーと、専用のバンパーに装着されたLEDのポジションライト、専用のホイールに精悍さが醸し出している。

インテリアは、シンセティック材の表皮をあしらっていて、シートのフィット感や触れたときのしっとり感はいい雰囲気だ。
 

日産 キックス オーテック
日産 キックス オーテック
日産 キックス オーテック

専用ホイールや安定したクオリティなどの小さな積み重ねでデビュー時と別物に

早速試乗に移ろう。まず市街地を走らせてみると、乗り心地がベースモデルのキックスからは想像がつかないほど良くなっている。リアハッチ付近のバイブレーションもかなり低減されているし、何よりも追従性が高まっている。

ステアリングを操舵したときのボディの追従性も雑味が少なくなり、質感が高いように感じる。

メーカーによると、外観のみの変更で、中身は同じだという。しかし、試乗すると本当に中身が同じなのだろうか? と疑問も湧くほど良い出来なのである。
 

日産 キックス オーテック

次に、第三京浜に向かう。ここは巻き込んだカーブがあるから車の姿勢が変化しやすい。そのため、車のスタビリティをチェックするにはうってつけなコースだ。

徐々に速度を乗せていくが、不安のない安定性だ。リアのピッチングも、しなやかに収まっている。

ストレートから高速のS字でステアリングをわずかに当ててみると、ボディの沈み込みはとてもリニアだ。ドライバーや同乗者に不安を与えないので、素直なハンドリングと言える。

以前に試乗したキックスは、リアの収まりに荒さが生じたが今回は違いがある。以前より良くなっていることで考えられる要因は、ひとつは個体差によるもの。

これはいまだにあることであって、特に初期ロッドとの差はよくある。日本仕様に出荷していて生産が安定してくると、すべての精度が高くなることがあるのだ。

そして、AUTECHキックスの場合はホイールに違いがある。たかがホイールで変わるのかと思う方もいるであろうが、これが驚くほどの違いが出る。

同じサイズのアルミホールといっても、重さや剛性によって路面の振動の伝わり方が違うからである。

サスペンションに由来するパーツも、仕様は同じであってもすべて同じメーカーであるとは限らない。パーツのクオリティが安定したということも、要因のひとつだろう。
 

日産 キックス オーテック

いずれにしても、以前試乗したキックスと比べると違いがある。隠すことはないだろうが、知らないうちに改良してあることは、欧州メーカーではよくある話である。だが、以前よりも良くなっていることは、カスタマーには間違いなく有益なことだ。

いずれにしてもAUTECHキックスは、デビュー時よりも全てにおいて質感が上がったことを知ることができ、オススメできる日産車が増えたのである。
 

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●1.2 AUTECH (e-POWER)

型式 6AA-P15 最小回転半径 5.1m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.33m×1.76m×1.61m
ドア数 5 ホイールベース 2.62m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.52m/1.54m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.92m×1.42m×1.25m
4WS - 車両重量 1350kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1625kg
ミッション位置 不明 最低地上高 0.17m
マニュアルモード -
標準色

ピュアブラックパールメタリック

オプション色

ブリリアントホワイトP/ピュアブラックPM、ブリリアントホワイトパール3コートパール、ダークブルーPM/ピュアブラックPM

掲載コメント

-

エンジン型式 HR12DE 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 41リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1198cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 82ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
103(10.5)/5200
型式 6AA-P15
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ピュアブラックパールメタリック
オプション色 ブリリアントホワイトP/ピュアブラックPM、ブリリアントホワイトパール3コートパール、ダークブルーPM/ピュアブラックPM
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.1m
全長×全幅×
全高
4.33m×1.76m×1.61m
ホイール
ベース
2.62m
前トレッド/
後トレッド
1.52m/1.54m
室内(全長×全幅×全高) 1.92m×1.42m×1.25m
車両重量 1350kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1625kg
最低地上高 0.17m
掲載用コメント -
エンジン型式 HR12DE
種類 直列3気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 1198cc
最高出力 82ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
103(10.5)/5200
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 41リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。