【試乗】新型 日産 キックス|e-POWERの制御は素晴らしいが、インテリアの質感には課題が残る
2020/09/10
すでに海外では販売されていたモデル
日産 キックスは、日本市場において“新しい日産の顔”として登場した。
すでにブラジルでは2016年より生産、そして販売されているモデルだ。
プラットフォームは、日産とルノーのコンパクトクラス用のもので、その歴史は長く20年近くなる。
2018年に、米国で触れる機会があったが、ブラジルや中国、タイの製造ラインで組み立てられるインテリアなどは、部品調達などの観点からだろう、良質感を感じることはできなかった。
だからこそ日本に導入される際に、どの辺に手が加えられたのか楽しみにしていた。
パワートレーンは、すでにタイでアナウンスされているとおり、日本ではお馴染みのe-POWERである。
顔つきは以前見たときよりもヘッドライトのデザインが切れ長となっており、光沢のあるブラックの樹脂を使っているため、少し遠めから見ると存在感と高級感を感じることができる。
発表から1ヵ月が経過したタイミングで試乗する機会を得たので、インプレッションの様子をお届けしよう。
300万円に迫る価格の価値は?
まずは車内に乗り込む。インテリアは残念ながら2世代ほど前の車のような出来で、古さは否めない。
特にドアのサイドパネルの樹脂は、300万円に達しようとするモデルにしては非常にお粗末である。
ノートやリーフといったモデルを含めて、樹脂類の使い方に日産は勉強が必要だ。
ステアリングホイールはモデル間で共用されるもののため、しっかり感はある。
シートは張りのある見た目だが柔らかく、身体を支える傾向はない。少しでもソフトにしようとしたのだろうか。
少々拍子抜けしてしまったが、自動車である以上最も大切なのは走りである。
ブルーのスタートボタンを押して、日産のグローバル本社からスタートだ。
走り出しは非常に力強く、静粛性はノートe-POWERに比べると高い。
また、発電のためにエンジンが始動し、負荷が高まったときには、明らかに“いいもの感”が増していると感じた。
ブレーキフィールも、以前に試乗したノートe-POWERよりもリニアで扱いやすくなっている。
キックスは、より静粛性に力を注いだということが非常によくわかる。
重量がかさんだ分の乗り心地と安心感はどうだろう。通常は重量が増加すると、どっしりとした乗り心地が生まれる。
しかし、ドライブ時の軽快感を目指しすぎたのか、どうにも乗り心地がギクシャクしていて滑らかさに欠く。
特にリアは収まりが悪く、300万円に達する車には感じられない。
ステアリングを切ると、車体の上の方が重い印象で、身体が振られやすいのだ。その身体を、残念ながらシートはホールドしてくれない。
コストを重視して諸外国で生産するのは企業として必要性があるが、良いものを知る日本人にはキックスは少々お粗末で高すぎる。
コストを抑えた海外生産を日本に持ってくるのであれば、それなりにユーザーへのベネフィットも必要だ。
今回の試乗は限られた時間で行ったということもあるが、残念ながら300万円に迫るモデルの価値は見いだせなかったのが実情である。
今後の進化に期待したい。
【試乗車 諸元・スペック表】
●1.2 X ツートーン インテリアエディション (e-POWER)
型式 | 6AA-P15 | 最小回転半径 | 5.1m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.29m×1.76m×1.61m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.62m |
ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.52m/1.54m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.92m×1.42m×1.25m |
4WS | - | 車両重量 | 1350kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1625kg |
ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.17m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
ブリリアントシルバーメタリック、ラディアントレッドパールメタリック、ナイトベールパープルパールメタリック、ダークブルーパールメタリック、プレミアムオリーブメタリック、ピュアブラックパールメタリック |
||
オプション色 |
プレミアムホライズンオレンジ/PブラックPM、ラディアントレッドP/ピュアブラックPM、ダークメタルグレーM/ピュアブラックPM、ブリリアントホワイトP/ピュアブラックPM、ブリリアントホワイトパール3コートパール、チタニウムカーキパールメタリック、プレミアムホライズンオレンジパールM、サンライトイエローパール |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 6AA-P15 |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | その他AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ブリリアントシルバーメタリック、ラディアントレッドパールメタリック、ナイトベールパープルパールメタリック、ダークブルーパールメタリック、プレミアムオリーブメタリック、ピュアブラックパールメタリック |
オプション色 | プレミアムホライズンオレンジ/PブラックPM、ラディアントレッドP/ピュアブラックPM、ダークメタルグレーM/ピュアブラックPM、ブリリアントホワイトP/ピュアブラックPM、ブリリアントホワイトパール3コートパール、チタニウムカーキパールメタリック、プレミアムホライズンオレンジパールM、サンライトイエローパール |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
不明 |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.1m |
全長×全幅× 全高 |
4.29m×1.76m×1.61m |
ホイール ベース |
2.62m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.52m/1.54m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.92m×1.42m×1.25m |
車両重量 | 1350kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1625kg |
最低地上高 | 0.17m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | HR12DE | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | 41リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 30km/L |
総排気量 | 1198cc | 燃費(WLTCモード) |
21.6km/L
└市街地:26.8km/L └郊外:20.2km/L └高速:20.8km/L |
燃費基準達成 | R02年度燃費基準 +50%達成車 |
||
最高出力 | 82ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
103(10.5)/5200 |
エンジン型式 | HR12DE |
---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1198cc |
最高出力 | 82ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
103(10.5)/5200 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆☆ |
使用燃料 | レギュラー |
燃料タンク容量 | 41リットル |
燃費(JC08モード) | 30km/L |
燃費(WLTCモード) | 21.6km/L
└市街地:26.8km/L └郊外: 20.2km/L └高速: 20.8km/L |
燃費基準達成 | R02年度燃費基準 +50%達成車 |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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