日産 スカイライン▲日産 新型スカイラインに試乗。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏がレポートする

スカイラインらしさがよみがえったが目玉は「プロパイロット2.0」

2013年に13代目の現行型スカイラインが日本で登場したときは、いささか話題になった。なぜなら日産のエンブレムではなく、同社の高級ブランド“INFINITY(インフィニティ)”のエンブレムを取り付けてあったからだ。

フロントグリルも日産の他モデルより手の込んだ加飾。ボディパネルも上位ブランドに伴って凝っている。インテリアも国産モデルで考えれば相当いい部類に入る。高級車さながらのコストをかけつつも、一般的に手の届きやすいモデルとして販売していて、お買得の要素が満載のモデルだった。

そのスカイラインが、最新の技術を携えマイナーチェンジ。フロントグリルやテールランプの変更によって“スカイラインらしさ”を増したが、目玉は『プロパイロット2.0』だ。

プロパイロットは日産のインテリジェントモビリティの核となる技術で、すでに20年間の研究と実績があるという。追従型のプロパイロットは魅力的ではあるが、正直いって飛び抜けた性能とは思わなかった。『プロパイロット2.0』の性能はいかがなのだろうか。

また、パワートレインにも変更がある。ハイブリッドモデルに変わりないが、このマイナーチェンジからメルセデス製4気筒ターボエンジンから新たに3L V6ツインターボを搭載した。

スカイラインにふさわしい特別感とスポーツツアラーさが増したのだ。

日産 スカイライン ▲歴代のスカイラインを思わせる丸形4灯のテールランプを採用している

+モーターの加速力がピカイチ! 手放し運転の安定感も抜群

初めに試乗したモデルはハイブリッドモデルである。グレードは最上位の3.5 ハイブリッド GT タイプSPだ。

試乗会の会場は富士スバルライン周辺。ストレートもコーナもあって試乗にはもってこいの場所である。少し走れば高速道路も試乗できる。

さっそくエンジンを始動し、Dレンジに入れた。スタートはゆっくりとモーターで走らせる。ドライビングポジションは低く前方の見切りが良好だ。

当時、世界初だったステアリングバイワイヤー(電気信号でステアリングを動かす機構)は随分とナチュラルになり、扱いやすい。実際、コーナーを曲がってみると、機械式と思うほど自然な操作感だった。

また、以前よりも随分と滑らかなサスペンションで乗り心地に角が取れた。静粛性も素晴らしくいい。加速性能もこのクラスではピカイチである。加速時のエンジン音も抑えられている。

マイナーチェンジ前は、バッテリーの重量がかさむ関係で、凸凹が多い道路ではフルボトムした感じが気になったが、それも減少した。

そのまま高速に入り、『プロパイロット2.0』を試す。80km以上でないと起動できない。

ACCをセットしインジケーターを確認するとまだメーター上では緑色。間もなく青色になった。ステアリングホイールから手を放してみると……素晴らしい安定感だ。

日産 スカイライン

センターキープもきちんとしている。後続車も360度のセンシングセンサーでとらえ、モニターに映し出す。手放しでも不安感はない。細かくステアリングを制御してスタビリティを高くする。ステアリングバイワイヤーが最も意味を発揮する瞬間だ。

次に前方に少し速度の遅い車が現れたときの車線変更である。スーッと寄っていきブレーキング。これまた制御がリニアで上手なブレーキだ。そこで『車線変更をしますか?』と尋ねられた。

ステアリングホイールのプロパイロットボタン上部にある車線変更の承諾ボタンを押し、車線変更を行う。このとき、インジケーターは青から緑になり、ステアリングに手を添えておかなくてはならない。

ちなみに「添えておく」だけだが、これまた自然な動きでレーンチェンジ。“これが上手な運転だ!”と言わんばかりのステアリングさばきである。

これにはただ感心するばかりで、となりの編集者に目を移して話をした。すると、よそ見運転の注意を促す警告がインジケーターに大きく発せられる。そのあたりの監視も万全であることが理解できた。

スカイラインハイブリッドは、もともととても良い車であるが、『プロパイロット2.0』を搭載し一気に付加価値が上がったことは間違いない。格段に進化した印象だ。

日産 スカイライン
日産 スカイライン
日産 スカイライン
日産 スカイライン

ターボモデルは軽快でストレスのないスポーツサルーン

続いて短時間であるがターボ車にも試乗した。こちらもガソリンモデル最上位グレードの3.0 GT タイプSPだ。こちらは一般道をメインに走ったが、これも軽快で以前とは比べものにならないくらい、スイスイと山間部の道を駆け抜ける。

エンジンのレスポンスとATの統合制御も相まってストレスを感じることがない。

ハイブリッドと比べると、スポーツサルーンが色濃く表れる。スカイラインというドライバーが楽しめるモデルだけに、マイナーチェンジではあるが、ようやくその名に恥じないモデルとなった。

成熟したシャシーと進化したプロパイロットに万全なパワープラントが三位一体となって価値あるスポーツサルーンが完成したのである。

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●3.5 ハイブリッド GT タイプSP

型式 DAA-HV37 最小回転半径 5.6m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.81m×1.82m×1.44m
ドア数 4 ホイールベース 2.85m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.56m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2m×1.48m×1.18m
4WS - 車両重量 1840kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2115kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.13m
マニュアルモード
標準色

ダークメタルグレーメタリック、ブリリアントシルバーメタリック、スーパーブラック

オプション色

HAGANEブルーメタリック、オーロラフレアブルーパール2コートパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、メテオフレークブラックP 2コートパール、インペリアルアンバーパール、カーマインレッドカラークリアーメタリック

掲載コメント

-

型式 DAA-HV37
駆動方式 FR
ドア数 4
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ダークメタルグレーメタリック、ブリリアントシルバーメタリック、スーパーブラック
オプション色 HAGANEブルーメタリック、オーロラフレアブルーパール2コートパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、メテオフレークブラックP 2コートパール、インペリアルアンバーパール、カーマインレッドカラークリアーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.6m
全長×全幅×
全高
4.81m×1.82m×1.44m
ホイール
ベース
2.85m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.56m
室内(全長×全幅×全高) 2m×1.48m×1.18m
車両重量 1840kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2115kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント -
エンジン型式 VQ35HR 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 70リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 14.4km/L
総排気量 3498cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 306ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
350(35.7)/5000
エンジン型式 VQ35HR
種類 V型6気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 3498cc
最高出力 306ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
350(35.7)/5000
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 70リットル
燃費(JC08モード) 14.4km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -

●3.0 GT タイプSP

型式 5BA-RV37 最小回転半径 5.6m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.81m×1.82m×1.44m
ドア数 4 ホイールベース 2.85m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.53m/1.56m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2m×1.48m×1.18m
4WS - 車両重量 1730kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2005kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.13m
マニュアルモード
標準色

ダークメタルグレーメタリック、ブリリアントシルバーメタリック、スーパーブラック

オプション色

HAGANEブルーメタリック、オーロラフレアブルーパール2コートパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、メテオフレークブラックP 2コートパール、インペリアルアンバーパール、カーマインレッドカラークリアーメタリック

掲載コメント

-

型式 5BA-RV37
駆動方式 FR
ドア数 4
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ダークメタルグレーメタリック、ブリリアントシルバーメタリック、スーパーブラック
オプション色 HAGANEブルーメタリック、オーロラフレアブルーパール2コートパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、メテオフレークブラックP 2コートパール、インペリアルアンバーパール、カーマインレッドカラークリアーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.6m
全長×全幅×
全高
4.81m×1.82m×1.44m
ホイール
ベース
2.85m
前トレッド/
後トレッド
1.53m/1.56m
室内(全長×全幅×全高) 2m×1.48m×1.18m
車両重量 1730kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2005kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント -
エンジン型式 VR30DDTT 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 80リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 2997cc 燃費(WLTCモード) 10km/L
└市街地:6.2km/L
└郊外:10.6km/L
└高速:12.9km/L
燃費基準達成 -
最高出力 304ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/5200
エンジン型式 VR30DDTT
種類 V型6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2997cc
最高出力 304ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/5200
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 80リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 10km/L
└市街地:6.2km/L
└郊外: 10.6km/L
└高速: 12.9km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。