エンジンはフラットに上り詰め、足回りは安定感高し

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コンセプト

ハイパワーユニットと日産初の6速MTを搭載

一言で言えば、プリメーラのセダンとワゴンにスポーツグレードを追加したということだ。いまだに街で遭遇すると“ハッ”とするほど斬新なこのスタイル。

デビューから7カ月たっても見慣れたとか色褪せることのない、国産セダンとしては極めて珍しい存在だ。ただしユーザー層はスタイルから想像する以上にオトナが多く、逆に若いユーザーに走りをアピールする意味でハイパワーユニット搭載の20Vが誕生したと思って間違いない。

日産初のFF専用6速MTも搭載した。走り重視のMTのみというが、20~30代のATに慣れた世代が、MTを操るのだろうか?という疑問もある。さらにスポーツセダンにしては、外観でのアピール度が足りない。見方を変えれば、質素なオトナ感覚ともいえるが。
室内&荷室空間

インテリアはスポーティアルミペダルも装着

内装の違いはごくわずか。シフト回りのガーニッシュがガンメタ色に塗装され、インパネやメーターの内面がブラックアウトされている。またアルミペダルも装着された。荷室はこれまでと変わりない。

シフトの操作感は軽いが、ストロークはさほど短くない。インテグラタイプRやアコードユーロRなどのシフトフィール、短く、クリック感のあるタイプとは違うが、車との相性はいいだろう。
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ドライブフィール

エンジンは扱いやすく初期ステア特性はクイック

注目のエンジンのリミットは7800rpmまでで、2度、VVL効果から排気音に変化が感じられた。1段目は4800rpm付近と思ったら、これは吸気ダクトの可変の音。2段目は6800rpm付近だが、ホンダのVTECほど明確ではないし、劇的なトルク変動もない。しかし代わりに低中速からのトルクが太く、ピークまでフラットに上り詰める扱いやすさをもっている。

実際に乗って、標準車との違いを最初に感じるのは操縦性だ。タイヤはグリップ志向ではないが、ステア初期から驚くほどクイックに応答する。従来から後輪の接地安定性には優れていたが、20Vでは前輪を含めて4輪で路面をしっかりとらえており、安定感は高い。

ただしこれは、ステア操作をジワッとスムーズに行えるか否かによる。スムーズに舵角を入れられれば先の状況になるが、大きい舵角を一気にしかも早く入れるステアでは、タイヤのグリップが追いつけず、アンダーステアに変化して思った通りのコーナリングラインは描けない。というあたりを心して乗ると、20Vはドライバーに忠実な走りをする。
こんな人にオススメ
スタイルと実用性が気に入っていて、さらに限界性能の高いハンドリングとスポーツ性の高いエンジンが生む豪快な走りを求める人全員に。セダンだけでなくワゴンでもそのスタイルは抜きん出ているだけに、ワゴンにもスポーティ仕様が設定されたことは、ワゴンファンにとっても嬉しい限りといえる。
SPECIFICATIONS
グレード 20V
駆動方式 FF
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4565 x 1760 x 1480
ホイールベース(mm) 2680
車両重量(kg) 1320
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1998
最高出力 150kW(204ps)/7200rpm
最大トルク 206N・m(21.0kg-m)/5200rpm
車両本体価格 239万円
写真:桜井健雄 文:桂 伸一