フォード フィエスタ|ニューモデル試乗

この乗り心地とハンドリングのバランスは自分の理想にきわめて近い。ロードノイズの低さを含め、兄貴分のフォーカスを“食って”しまいかねないほどの仕上がりだ。あえて言えば、価格はもうひと踏ん張りして200万円を切ってほしかった

高級感さえ漂う“隠れスポーティ・コンパクト”

世界で最も売れたBセグメントカー

ヨーロッパを旅すると、どこに行っても必ず目にするのがフィエスタの姿。事実、1976年にデビューして以来、すでにフィエスタは1500万台以上が生産され、2012年には計72万3130台を販売して「世界で最も売れたBセグメントカー」の称号を得た。6代目となる最新型もスポーティなスタイリングをまとってはいるが、その神髄は広く民衆の足として活躍する点にあるのだ。

もっとも、いくらベーシックカーとはいえ、兄貴分にあたるフォーカスのDNAを受け継いだ走りはなかなか活発で、日本ではスポーティなSTというグレードを中心に根強い人気を誇っていた。

ところが、しばしのインターバルを経て日本に再導入されたのは3気筒1Lエンジンを積む、その名も「フィエスタ」の1車種のみ。先日発売されたクーガも1.6Lながら活発な走りを見せてくれたからパワー不足の心配はしなかったものの、「ファミリーカー然とした足回りだとちょっと物足りないかも」との不安は拭えなかった。

ポロGTIがライバルと名指ししたくなるほどの完成度

ところがどっこい、フィエスタはやっぱりフィエスタ。ハンドリングは最初の交差点を曲がっただけでニヤッとするほどキレ味が鋭いのに、ドッシリとした乗り心地は快適そのもの。おまけにロードノイズが低く、Bセグメントとは思えないほどの高級感を醸し出している。

定評あるエコ・ブースト・エンジンは低回転域から力強いだけでなくトップエンドまできれいに吹け上がるし、6 速DCTは実にスムーズ。

VWポロGTIがライバルと名指ししたくなるほどの完成度だった。

新世代のフォード・グローバル・デザインを採用。日本仕様では専用ボディキットとリアスポイラーを標準化している

新世代のフォード・グローバル・デザインを採用。日本仕様では専用ボディキットとリアスポイラーを標準化している

エクステリア同様に台形がモチーフとなっている。シフトノブサイドのサムスイッチでMTのように運転することができる

エクステリア同様に台形がモチーフとなっている。シフトノブサイドのサムスイッチでMTのように運転することができる

1.6LのNA並みの性能をもつという、フォードで最も小さいエンジンとなる1Lターボを搭載。JC08モード燃費は17.7km/Lを達成している

1.6LのNA並みの性能をもつという、フォードで最も小さいエンジンとなる1Lターボを搭載。JC08モード燃費は17.7km/Lを達成している

SPECIFICATIONS

グレード 1.0 EcoBoost
駆動方式 FF
トランスミッション 6DCT
全長×全幅×全高(mm) 3995×1720×1475
ホイールベース(mm) 2490
車両重量(kg) 1160
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直3DOHCターボ
総排気量(cc) 997
最高出力[ps/rpm] 100/6000
最大トルク[N・m/rpm] 170/1400-4000
車両本体価格(万円) 229
Tester/大谷達也 Photo/大子香山