ルノー カングー▲フランス生まれらしく、細かなしゃれこんだデザインと、商用車としての力強さや利便性を両立させたルノー カングーリミテッド ディーゼルMT。自動車テクノロジーライター松本英雄氏が試乗した際のレポートをお届けする

フランスらしさと商用車の利便性をうまく融合させたルノー カングー

5ナンバーサイズで登場した「ルノー カングー」。

日本で浸透するのに時間はかからなかった。

やわらかいデザインのおかげもあり、家族で日常的に使うこともできる。

これまでの日本にはないような、荷物も積むことができて、どことなく隙のあるデザインは若い世代に支持された。商用車でありながら、しゃれたイメージを残しつつ、便利さを生活にうまく落とし込んでいる。

そして、全幅を一気に155mmも広げたカングーIIとなっても支持された。

失礼な言い方だが、カングーは、日本国内でしっかりと地盤を確保し、ルノーの代表車種として市民権を得たモデルだ。

歴史的に見ると、フランス車のFF商用車は乗り心地が優しい。

ルノージャパンは、その走り心地に目をつけ、国内で地道に販売を増やしていったのだ。増加していくにつれ、街中を走っているカングーは増加した。口コミや、街中での姿を見て共感するほど強力な宣伝はない。

『カングー』は、まさに日本人の特性をうまく突いたパイオニア的なフランス車であると言える。

商用車的なエッセンスが随所に見えるカングーⅡ。

今回は、本国で新型モデルも発表され、日本に定着させたカングーⅡの最後のモデルその名も『ルノーカングーリミテッド ディーゼルMT』を試乗する運びとなった。ルノージャパンとしては最初で最後の、ディーゼルモデルのMTだ。横浜で試乗した際のフィーリングをお伝えしたい。
 

ルノー カングー

扱いやすく、走りも堪能できるディーゼルMTモデル

フランスでは、街から郊外へ走ると、カングーのようなフルゴネット(商用車)タイプがビュンビュン走っている。しかもディーゼルが非常に多い。

ディーゼルは燃費が良好なのと、トルクが低回転から安定しているので、MTであってもイージーに乗りやすい。その本場モデルを限定で輸入したルノージャパンの心意気は素晴らしいと評価したい。

このたび、我々が試乗したモデルはグリアーバンというチャコールグレーに少しブルーを入れたようなカラー。個人的には好きな色だ。それにブラックのバンパーはプロ仕様感が高く、乗っているだけで、本場で働く人という雰囲気だ。

ホイールもブラックアウトしていて、これもいい。ブラックの鉄チンホイールを標準で履いて似合う車は、そうそうないだろう。輸入車では、このカングーだけではないかと思う。
 

ルノー カングー

1.5Lディーゼルターボは、販売されたのは、2001年から10年間で世界で1000万台といわれるほどのユニット。現在も作り続けており、2021年現在では、2000万台と見ても大げさではない、非常に実績のあるディーゼルユニットだ。

日本には輸入されていないが、現在でもメルセデスのAクラスやBクラスにも搭載されているユニットだ。エンジンをかけるとキャビン内はそうでもないが、外に出ると、懐かしい音がする。
 

ルノー カングー

シートに腰を沈めてシートを合わせる。MTなので少しシビアにアジャストした。

クラッチは想像していたよりも重い。
 

ルノー カングー

トルクが2000回転で260N・mも出ているからうなずける。1速に入れてクラッチをミートすると、丁寧につなげばアイドリングで発進ができるほど強力だ。

4人で乗車し、街中を走る。非常に扱いやすいMTだ。

老練なジオメトリーターボのセッティングは、扱いやすさを重視しているので、スイスイと速い動きだ。

乗り心地にも、しっかりとした商用車的な部分も見え隠れするが、緩い感じがなんともフレンチさを感じさせるのだ。急な上り坂の発進にもチャレンジしたが、なんのその。エンストなんて考えられないほどに、クラッチミートが容易だ。

街並みから、首都高速に乗って高速を走る。

回転を上げるような走り方よりも、最大トルクを過ぎた付近でのシフトアップが速く、キビキビ感がある。ちょっぴり全高があるのでカーブでは軽く、ロールもするが不安はない。

本場の雰囲気は、形だけではなく走りでも味わえる。

そんなルノーカングーリミテッド ディーゼルMTモデルは憧れの1台となる。

400台限定のモデルだが、もう完売で残ってはいないそうだが、長く所有するにふさわしいコンポーネントだと思う。

本当の意味でプリミティブ感があり、普段使いとして所有している人のセンスが光る1台だ。
 

文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●リミテッド ディーゼル MT

型式 3DA-WKK9K 最小回転半径 -m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.28m×1.83m×1.81m
ドア数 5 ホイールベース 2.7m
ミッション 6MT 前トレッド/後トレッド 1.52m/1.54m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1520kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 -m
マニュアルモード -
標準色

ブルーエトワールM、ノワールメタルM、ジョン ラ・ポスト、グリ・アーバン、ルージュビフ、グリ ハイランドM

オプション色

-

掲載コメント

※ボディ色:グリ アーバン(グレー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ノワール メタルM(ブラック、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ブルー エトワールM(ブルー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
グリ ハイランドM(ライトブルーシルバー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ルージュ ビフ(レッド、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ジョン ラ ポスト(イエロー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
計6色設定 全国400台限定

型式 3DA-WKK9K
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 6MT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブルーエトワールM、ノワールメタルM、ジョン ラ・ポスト、グリ・アーバン、ルージュビフ、グリ ハイランドM
オプション色 -
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
-
最小回転半径 -m
全長×全幅×
全高
4.28m×1.83m×1.81m
ホイール
ベース
2.7m
前トレッド/
後トレッド
1.52m/1.54m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1520kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※ボディ色:グリ アーバン(グレー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ノワール メタルM(ブラック、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ブルー エトワールM(ブルー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
グリ ハイランドM(ライトブルーシルバー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ルージュ ビフ(レッド、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
ジョン ラ ポスト(イエロー、前後ブラックバンパー、ブラックドアミラー)
計6色設定 全国400台限定
エンジン型式 K9K 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒SOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 60リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1460cc 燃費(WLTCモード) 19km/L
└市街地:16.9km/L
└郊外:19.1km/L
└高速:20km/L
燃費基準達成 -
最高出力 116ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
260(26.5)/2000
エンジン型式 K9K
種類 直列4気筒SOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1460cc
最高出力 116ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
260(26.5)/2000
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 60リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 19km/L
└市街地:16.9km/L
└郊外: 19.1km/L
└高速: 20km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。