【試乗】新型 ルノー メガーヌ R.S. トロフィー|モータースポーツに力を入れ続けてきたメーカーだからこそ、世に出せたモデルだ
2019/12/19
▲2019年10月に登場したモータースポーツ由来のハイパフォーマンスモデル、ルノー メガーヌ R.S. トロフィー。今回はサーキットでの試乗の様子を、自動車テクノロジーライターの松本英雄氏がレポートするR.S.のさらに上をいくR.S.トロフィー
最近のルノー車の出来栄えには目を見張るものがある。どれもクオリティの高いものばかりであるが、R.S.(ルノースポール)シリーズは特にすばらしい。
以前メガーヌ R.S.の公道試乗記でも記したが、山間部でのハンドリングは、文句なしにFFナンバーワンである。
しなやかにして安定感があり、トラクションも素晴らしかった。
だが、それはあくまで公道での話。車がもつポテンシャルを完全に出し切るのは難しかった。
今回はついにサーキットで試乗する機会を得た。会場は筑波サーキットコース2000。これ以上にポテンシャルを体感できる場所はない。
しかも試乗車は、さらに性能に輪をかけたモデルのメガーヌ R.S.トロフィーだ。
サーキットでは4コントロールの恩恵がよくわかる

ドライバーズサロンで簡単なレクチャーを受け、早速コースインだ。
カタログではMTもあるが、今回はツインクラッチシステムのATであるEDCモデルに試走する。
スエード調で覆われたバケットシートのホールドは完璧だ。シートポジションを合わせてピットロードから1コーナーへ入る。

はじめはノーマルモードで走ってみる。半分ほどのポテンシャルで走らせるが、第1ヘアピンへの侵入がとてもスムーズで、ステアリングの剛性感はとても高そうだ。
徐々に速度を上げながら高速コーナーのダンロープコーナーを抜ける。FFとは思えない安定感と前後バランスである。
速度計を見るとすでに100km/h以上を示している。この安定感は四輪操舵システム「4コントロール」から得られるものだ。
高速走行時には、後輪が前輪と同一方向(同位相)に向けられ、ワインディングなどで正確かつ安定した走行ができる。ノーマルモードでは60km/h以上、レースモードでは100km/h以上でシステムが介入する。
▲こちらが同位相状態。高速状態では後輪が前輪と同じ方向に向けられる一方、60km/h未満の低速時には、後輪が前輪と逆の方向(逆位相)を向き、取り回しが容易になり、タイトコーナーでの敏しょう性がアップする。
▲こちらは逆位相。後輪と前輪が逆向きになることで、小回りが利くようになるブレーキのコントロール性も完璧だ。バックストレートへ入りアクセルを全開にする。
最終コーナー手前でブレーキング。少しブレーキを残したまま侵入して脱出する。
300psのパワーは、このシャシーのポテンシャルにはちょうどいい。各部を傷めることなくスムーズに走れるのである。
ノーマルモードで数周し、今度はレースモードを試す。横滑り防止などのスタビリティプログラムはキャンセルになるが、一気にじゃじゃ馬になることはない。

アクセルやブレーキは、自分が思ったとおりの素直な挙動を示し、姿勢のコントロールがしやすい。
もっとアクセルを踏み込んでも、問題なくコーナーをさばけるポテンシャルを秘めていることがヒシヒシと伝わってくる。
アクセルオンの状態でも、アンダーにならない。直線からコーナーへ飛び込むターンイン状態では、まるで地をはうようなハンドリングだ。
多少ゼブラゾーンに乗り上げても、スムーズにいなす。トロフィー専用のサスペンションの威力は格別だ。

ルノーはずっとモータースポーツに力を入れてきたメーカーだ。
不況のときでも撤退せずに、プライベートチームやセミワークスのようなチームへの協力を絶やさなかった。
本物のスポーツモデルを世に出すことは難しい。だがルノーはそういった積み重ねにより、メガーヌR.S.のスペシャルモデルを量産して世に送り出すことができるのだ。
本格的なモータースポーツからのフィードバックをふんだんに盛り込んだこのモデルが、500万円ほどで手に入れられるのだから、決して高くはない。車をよく知るユーザーならば、むしろ安いとすら感じるほどの出来栄えだ。
ルノーはまた1台、すごいモデルを世に送り出してしまった。




【試乗車 諸元・スペック表】
●ルノー・スポール トロフィー EDC
| 型式 | 7BA-BBM5P | 最小回転半径 | 5.2m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.41m×1.88m×1.44m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.67m |
| ミッション | 6AT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.6m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 1470kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
グリチタニアムメタリック |
||
| オプション色 |
ブランナクレメタリック、ジョンシリウスメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 7BA-BBM5P |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 6AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | グリチタニアムメタリック |
| オプション色 | ブランナクレメタリック、ジョンシリウスメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.2m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.41m×1.88m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.67m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.6m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1470kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | M5P | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 47リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1798cc | 燃費(WLTCモード) | 12.4km/L └市街地:8.6km/L └郊外:13.2km/L └高速:14.5km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 300ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/3200 |
| エンジン型式 | M5P |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1798cc |
| 最高出力 | 300ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/3200 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 47リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 12.4km/L └市街地:8.6km/L └郊外: 13.2km/L └高速: 14.5km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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