「軽快感 < 安定感」を重視した大サイズ“ミニ”

  • ミニ クロスオーバー 走り|ニューモデル試乗
  • ミニ クロスオーバー インパネ|ニューモデル試乗
↑日本市場向けに低くされた全高は1550mm。一般的な機械式駐車場にも収まるボディサイズを実現(左)インパネ回りはミニのデザインを踏襲したもの(右)
ミニの4番目のボディとして登場したクロスオーバーは、実はそんなにミニではない。4120×1790×1550mmというボディサイズは、フォルクスワーゲンで言えばポロとゴルフの中間だ。

ディテールも、ドアの数やヘッドランプの形状などがハッチバックと違う。でも遠くから全体を眺めると、紛れもないミニに見える。ブランドの見せ方が上手なのである。

インテリアも、大径のスピードメーターを中心に据えたインパネはミニそのもの。一方で着座位置は一般的なハッチバック並みに高くなり、後席は身長170cmの僕が余裕で座れる広さになった。ファミリーユースにも使える空間だ。でも生活感はまったくなし。後席も前席と同じセパレートとして、間にレールを貫通させ、カップホルダーなどを自由に設置できるようにしてある。遊び心満載のキャビンなのである。

試乗したのは最上級グレードのクーパーSオール4。184ps/24.5kg-mを発生する1.6L直噴ターボに、電子・油圧制御のセンターデフを使ったミニ初の4WDシステムを組み合わせた。そのため車重は1440kgに増加したけれど、加速は6速ATとの組み合わせでも強力だ。ただ感覚的には、ハッチバックとかなり違う。遮音性が上がったうえに、4WDのおかげで発進時のホイールスピンが抑えられるので、かな りジェントルになった印象を受けるのだ。
  • ミニ クロスオーバー フロントシート|ニューモデル試乗
  • ミニ クロスオーバー エンジン|ニューモデル試乗
↑小物入れやカップホルダーなどを自由に収納できるユニークなセンターレールを標準装備(左)写真は184psを発揮する1.6Lターボ+6速AT。ミニ初のフルタイム4駆システムは上級グレードのみ設定(右)

ミニの独特のデザインはけん在!

乗り心地も同じ。大きく重くなったボディに加え、ハッチバックより130mmも長い2595mmのホイールベース、車高アップに合わせて延ばされたサスペンションストローク、205/55R17という大径タイヤが功を奏して、しっとりとしたフィーリングが味わえる。その分「ゴーカートフィーリング」と形容されたキビキビ感はやや薄れているが、4WDのおかげもあってロードホールディング性能は確実にアップした。軽快感よりも安定感を重視したハンドリングと言えるかもしれない。

ということで、走りについてはヤンチャな部分が薄れ、大人に成長した雰囲気を受けたクロスオーバーだったけれど、デザインの弾けっぷりはミニそのもの。5ドアのコンパクトカーというと実用車のイメージが強いけれど、この車にはそういうにおいが全然ない。だからこそコイツをファミリーカーとして使いこなしたら、相当クールに見えるんじゃないかと思う。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード クーパーS ALL4(6AT)
全長×全幅×全高(mm) 4120×1790×1550
車両重量(kg) 1440
エンジン種類 直列4気筒DOHC+ターボ
総排気量(cc) 1598
最高出力[ps/rpm] 184ps/5500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 24.5kg-m/1600~5000rpm
車両本体価格 265万~379万円
Tester/森口将之 Photo/向後一宏