▲マラガ近郊のサーキットで試した911タルガ 4 GTSは高速域の安定性と低速域での俊敏性のバランスが絶妙。デザインも魅力的だが、いかんせんキャビンへの風の巻き込みが強すぎる。本気で飛ばすならクローズ、ゆっくり流すときはオープンがお勧めだ ▲マラガ近郊のサーキットで試した911タルガ4GTSは高速域の安定性と低速域での俊敏性のバランスが絶妙。デザインも魅力的だが、いかんせんキャビンへの風の巻き込みが強すぎる。本気で飛ばすならクローズ、ゆっくり流すときはオープンがお勧めだ

「速いのに快適」なポルシェGTSに911タルガが新登場

歴史的に見ればポルシェGTSモデルの祖先は1963年デビューの904 GTSになるのだろうけれど、現代に蘇ったGTSといえば2007年に登場したカイエンGTSがその第1作目にあたる。その後、911(997)、パナメーラとじわじわラインナップを広げ、いまではボクスターやケイマンを含む計5モデルにGTSが設定されている。

ここに911タルガ4 GTSが新たに加わったことを受け、現行GTSモデルをずらりとそろえた国際試乗会がスペイン・マラガで行われることになった。

ポルシェ自身はGTSの魅力を

1)快適性と日常的な使い勝手のよさ
2)優れたパフォーマンス
3)豊富な装備品にある


と主張するが、これはまさに的を射た説明だ。たとえば911 GTSと911カレラSで比較すると、高回転域でいちだんと元気さを増すGTSのエンジンはカレラSより明らかに魅力的だし、足回りはカレラS並みにスポーティなのに、乗り心地の点ではカレラSを明確にしのぐ。つまりGTSのほうが速いのに快適なのだ。しかも、GTSとカレラSの装備の差を仮にオプションで補っていくとすぐに400万円に迫るのに、実際の価格差は250万円ほどでしかない。

新たに加わった911タルガのGTSモデルは、なぜか4WDのみの設定となるものの、GTSならではの魅力は健在。これでオープン走行時の快適速度が引き上げられれば「屋根開きグランツーリスモ」として限りなく満点に近づくはずだ。

この「速いのに快適」という方向性はボクスターやケイマンにも共通するものだが、今回最大の驚きだったのはパナメーラ GTSで、重心の低さを生かした走りはスポーツカーそのもの。GTSの登場で初めてパナメーラのコンセプトが明確になったと思えるほど、その完成度は高かった。

▲シート中央部やトリムなどにアルカンターラを採用、ステッチや刺繍が入る専用インテリアパッケージをタルガに用意 ▲シート中央部やトリムなどにアルカンターラを採用、ステッチや刺繍が入る専用インテリアパッケージをタルガに用意
▲440ps/520Nmの4.8L V8を搭載したパナメーラGTS。ダプティブエアサスペンションを備え、価格は1700万円 ▲440ps/520Nmの4.8L V8を搭載したパナメーラGTS。ダプティブエアサスペンションを備え、価格は1700万円
▲昨年のMCで追加されたカイエンGTS。440ps/600Nmの3.6L V6ツインターボを積み、価格は1389万2727円 ▲昨年のMCで追加されたカイエンGTS。440ps/600Nmの3.6L V6ツインターボを積み、価格は1389万2727円

【SPECIFICATIONS】
■グレード:Targa4GTS ■乗車定員:4名
■エンジン種類:水平対向6DOHC ■総排気量:3799cc
■最高出力:430/7500[ps/rpm]
■最大トルク:440/5750[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4500×1870×1295(mm) ■ホイールベース:2450mm
■車両重量:1560kg
■車両本体価格:2017万円(税込)

text/大谷達也 photo/ポルシェ ジャパン