ポルシェ ケイマン (大谷達也)【ニューモデル試乗】
カテゴリー: ポルシェの試乗レポート
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2013/07/25
車の成り立ちが基本に忠実だと、これくらいイイものができるというひとつの典型。「モノがわかっている大人」をアピールするには絶好のチョイスだ。いまやポルシェの9割を占めるPDKはスムーズで速くて燃費が良くて、これまた文句のつけどころがない
小粋でシンプルな大人のスポーツカー選び
感銘を受けた最廉価版
内外装の質感を含め、1台のスポーツカーとしてもはや何の不満も覚えない。それが、2代目ケイマンに試乗しての率直な印象である。
3代目ボクスターのモデルチェンジを確認した時点で予想できた進化ではあるが、612万円がスタート価格のスポーツカーとしては恐るべき完成度の高さだ。
特に強い感銘を受けたのが、まさにその最廉価版(6MT)。きっちり作り込まれた感が強く漂うコックピットの運転席に腰掛け、左手でイグニッションキーをひねれば(LHDの場合)、耳に届く乾いた音色は紛れもないポルシェ・ボクサー6のもの。
操作が容易なシフトレバーで1速を選び、ヒール&トーも楽々できるペダルレイアウトのクラッチを引き上げれば、275psを発する2.7Lエンジンは先代より20kg軽くなったボディを滑らかに押し出す。
それにしても、この静かさ、乗り心地の良さはなんだろう? その快適性は同クラスのスポーティセダンさえ凌ぐ。サスペンションはストロークの様子がはっきり感じ取れるタイプ。
だから、あえてMTを選び、どんな場面でも正確に姿勢を整えられるようになるまでトレーニングを積めば、立派なスポーツカー使いになれるはず。もっとも、前後の荷重移動が多少あいまいでも、ターンインでフロントがすっとインに入る特性を併せ持っているので、初心者にも安心だ。
Sは“厚盛り”トルク&いかにもスポーツカーな足回り
それに比べると、325psの3.4Lエンジンを積むSは、全域でトルクが“厚盛り”になっているし、足回りはいかにもスポーツカーらしい設定。
ただし「それだったら、いっそのこと911へ」という気持ちが芽生えそうで怖いともいえる。
だとすれば、ここは控えめに“素のケイマン”とゴルフ トレンドラインの2台持ちにするという手もあると思うが、いかがだろうか?
SPECIFICATIONS
グレード | S | ||
駆動方式 | MR | ||
トランスミッション | 7DCT | ||
全長×全幅×全高(mm) | 4380×1800×1295 | ||
ホイールベース(mm) | 2475 | ||
車両重量(kg) | 1350 | ||
乗車定員(人) | 2 | ||
エンジン種類 | 水平対向6DOHC | ||
総排気量(cc) | 3436 | ||
最高出力[ps/rpm] | 325/7400 | ||
最大トルク[N・m/rpm] | 370/4500-5800 | ||
車両本体価格(万円) | 820 |