新世代セミATシステムでスポーツ性と快適性が格段に向上

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コンセプト

先代のセミATをより進化させて素早い変速を実現

スポーティモデルに搭載するトランスミッション形式は、全世界的に2ペダルマニュアルミッション(セミAT)を志向している。

フェラーリやアストンマーチンといった高級スポーツカーだけでなく、アルファ156やトヨタMR-Sなどの量販スポーティカーにも積極的に取り入れられ始めたのだ。

BMWは、上記の車にも用いられている油圧装置によるシーケンシャルトランスミッションを世界で初めて量産車に積み込んだ。しかし先代M3に搭載されたSMGは、シフトダウン時のブリッピング(回転合わせ)機構がないなど、M3の高性能を味わうには、未熟なシステムだったと言わざるをえなかった。現行M3に搭載されるSMGIIは、その悪評を一掃するシステムを目指している。
SMG2解説

走行状態や環境に合わせシフトチェンジが可能

SMGIIは+43.0万円で選択できる、シーケンシャルトランスミッションのオプション装備のことである。だから、基本的には現行M3と見かけで変わるところはない。SMGIIの特徴は、高度に知能化されたコントロールユニットにより、走行状態や環境に合わせたきめ細かなシフトチェンジが行えることにある。オートマチック(A)モードに5種類、シーケンシャル(S)モードに6種類のシフトプログラムが用意されており、各々シフトレバー根元にあるスイッチで任意に選べば、イージーな街乗りドライブから激しいサーキット走行までをカバーできるのだ。

また、今回からハンドルに直接マウントされたパドルシフトを使ってギアチェンジが行えるようになった。向かって右がアップ、左がダウンとなっている。
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ドライブフィール

上級者も満足できる最高レベルのセミATシステム

今日本で乗ることのできる同様のセミATシステムの中では最高だ。Aモードの扱いやすさは、多少のラグは感じるものの、十分実用に堪えうるもの。最も変速の早いA1モードでは2速発進で、街中でも矢継ぎ早に6速まで変速するから、変速ショックをほとんど感じないが、それより変速タイミングが遅くなるモードにおいても、SMGで感じたオナカがよじれるようなもたつきは軽減された。

Sモードは、さらに面白い。アクセル全開で加速、などというときにはシフトアップ時に多少アクセルを緩めると、滑らかなシフトアップを楽しむことができる。シフトダウンは優秀だ。Sモードならジャンプギアも可能。腕っこきのドライバーよりもはるかに上手にM3を操ることができる。
こんな人にオススメ
スポーツカーはマニュアルミッションだ!などど思わないスポーツドライブ派に。もちろんAT免許しかないけれど、M3の高性能を楽しみたいという人にも。ただし、マニュアル操作感覚があったほうがより楽しめる。これ一台ですべてのシーンを満たしたいという方にも最適です。
※SMGIIは、ベースのM3と比べて、重量が増加しているので重量税が増します。
SPECIFICATIONS
グレード M3 SMG II
駆動方式 FR
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4492 x 1780 x 1372
ホイールベース(mm) 2731
車両重量(kg) 1495
乗車定員 5人
エンジン種類 直6DOHCC
総排気量(cc) 3245
最高出力 343kW/7900rpm
最大トルク 37.2N・m/4900rpm
車両本体価格 786万円
写真:奥隅圭之 文:西川 淳