Eクラスワゴン▲自動車テクノロジーライター松本英雄氏が、メルセデス・ベンツ Eクラスワゴンに試乗した際のレポートをお届け

上級モデルと同じプラットフォーム

メルセデス・ベンツ Eクラスの歴史は長い。

今回新たな「W214/S214」となったわけだが、1953年に登場したEクラスの源流であるミディアムクラスからは70年以上経過している。そのミディアムクラスのステーションワゴンは、1977年の「W123」モデルより生産されている。

当時メルセデスではステーションワゴンを「Tシリーズ」と名付けていた。ちなみに「T」とは、ツーリストとトランスポートの意である。

現在でも後継モデルの「W124」モデルのTシリーズは、歴史を継承したクオリティということで中古車でも人気がある。Tシリーズというネーミングは、そのW124まで使われた。

W124▲1993~1996年に生産されたEクラスワゴン(W124)

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メルセデス・ベンツ Eクラスワゴン(W124) × 全国

そして「Eクラス」というネーミングの初代は、上記に示した1993年モデルからのW124シリーズである。ここを初代Eクラスとするので、今回発表したS214型は6代目ということになる。

ステーションワゴンとしては1977年からなので、もう少しで半世紀という長きにわたり親しまれているパッケージングである。その当時からディーゼルエンジンを搭載したモデルもあった。

Eクラスワゴン
Eクラスワゴン
Eクラスワゴン

前置きが長くなってしまったが、今回試乗したモデルはこれらの流れをくんだEクラスの最新ディーゼルエンジンを搭載する「E220 d」である。OM654型のユニットと、マイルドハイブリッド(MHEV)を装着したISG仕様だ。

これは新たに見直したユニットである。MRAというFR専用のプラットフォームは2世代目となっており、すでに旗艦モデルのマイバッハやSクラスに使われている最高峰の骨格だ。
 

Eクラス
Eクラス
Eクラス

ホワイトの外装とブラックの内装は最近の定番ともいえる仕様だが、オパリスホワイトは奥深く、重厚さやエナメルやガラスのような透明感がある。

ドライビングポジションはセダン同様に見切りがいい。エンジンを始動すると先代よりも圧倒的に静粛性が高い。

もっとも先代のW213も静粛性は高いが、改良されたOM654だけある。

Eクラス
Eクラス

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メルセデス・ベンツ Eクラスワゴン(6代目) × 全国
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安心感抜群のハンドリング

バイワイアー式のセレクトレバーをDレンジにセットする。エンジン停止後の再始動はあっと言う間である。始動までのラグはないといっていい。

アクセレーションとモーターの制御による後押しもあって、伸びやかな加速だ。しかもトランスミッションは連続的で、なめらかさの中にシフトアップによる節度も感じられる。
 

Eクラス

サスペンションはどうだろうか。開口部が広いステーションワゴンはボディ剛性が不利であることは理解できるが、セダンに比べるとしなやかさに欠ける。

もっともセダンはPHEV仕様なので、剛性と重量の違いがあり乗り心地が良好になる要素はある。

試乗時には荷物を載せていなかったこともあり、軽快そのものだ。リアの重みは否めないが、ハンドリングはしっかりとフロントをとらえ、コンタクトが十分で安心感を与える。

一体この重厚感はどのように作り出しているのだろうか。FRのメルセデスに乗らなくては理解できないだろう。

伝統と経験が繰り広げるジオメトリーが、独自のアジリティを表現している。ステーションワゴンであってもオーセンティックな装いを忘れない。それがE220 d ステーションワゴンである。
 

Eクラス
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●Eクラスワゴン E220 d アバンギャルド AMGラインパッケージ(ISG搭載モデル)ディーゼルターボ

型式 3CA-214204C 最小回転半径 5.4m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.96m×1.88m×1.47m
ドア数 5 ホイールベース 2.96m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.63m/1.61m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1940kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ポーラーホワイト、ヴェルデシルバー、オブシディアンブラック、ノーティックブルー、ベルベットブラウン、グラファイトグレー、ハイテックシルバー

オプション色

オパリスホワイト、アルペングレー、ヒヤシンスレッド

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型式 3CA-214204C
駆動方式 FR
ドア数 5
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ポーラーホワイト、ヴェルデシルバー、オブシディアンブラック、ノーティックブルー、ベルベットブラウン、グラファイトグレー、ハイテックシルバー
オプション色 オパリスホワイト、アルペングレー、ヒヤシンスレッド
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.96m×1.88m×1.47m
ホイール
ベース
2.96m
前トレッド/
後トレッド
1.63m/1.61m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1940kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 654M 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 66リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 19.4km/L
総排気量 1992cc 燃費(WLTCモード) 18.2km/L
└市街地:13.6km/L
└郊外:17.9km/L
└高速:21.2km/L
燃費基準達成 -
最高出力 197ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
エンジン型式 654M
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1992cc
最高出力 197ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 66リットル
燃費(JC08モード) 19.4km/L
燃費(WLTCモード) 18.2km/L
└市街地:13.6km/L
└郊外: 17.9km/L
└高速: 21.2km/L
燃費基準達成 -

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松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。