※この記事はカーセンサー関東版37号(2000年10月5日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

自在な変速操作で、ダイレクトな変速感と操作性の醍醐味を味わう

  • トヨタ MR-S 走り|ニューモデル試乗
  • トヨタ MR-S リアスタイル|ニューモデル試乗
↑全開加速時の変速ではプロドライバーに及ばないものの、ダウンシフトは抜群にうまい(左)ミッドシップならではのプロポーションだが、ディテールはちょっと子供っぽいか(右)
MR-Sに新設定されたシーケンシャル5MT(SMT)は、従来の5速MTのミッション機構自体はそのままに、クラッチペダルをなくし、さらに変速操作をシフトレバーを前後に押したり引いたりするシーケンシャルタイプとしたもの。要するにクラッチペダル操作なしに、さらにはヒール&トーといった煩わしい操作も不要で、プロ並みの素早いMT変速操作を自在に行えるシステムなのだ。

シフトレバーはメッキ仕立ての球形。ブレーキペダルは通常のATとは違い横幅は広げられていないので、左足でのブレーキ操作には不向き。シーケンシャル操作は、手前に引けばアップシフト、押せばダウンシフトになっている。

通常の発進はスムーズだ。渋滞路のような状況で、のろのろとした発進、加速が頻繁に繰り返されるときには、多少ギクシャクした動きを伴うこともあるが、これは通常のMT車でもありがちなものだ。

通常のMTが不要と感じるほどの完成度を持つシーケンシャルMT

  • トヨタ MR-S インパネ|ニューモデル試乗
  • トヨタ MR-S エンジン|ニューモデル試乗
↑メッキ多用のシフト回りで、SMTを強調。インパネの質感はもう少しなんとかしたい(左)数値的には平凡だが、軽量なボディには十分な性能。ただし官能的なものではない(右)
シフトアップは通常の加速時には適度にゆっくりと行われ、全開加速のときには不満のない程度に素早く行われる。全開時ばかりはプロドライバーにはかなわないように思えたが、ダウンシフトは抜群にうまい。短時間でエンジン回転を合わせて見事にシフトダウンするし、1段飛ばしてのシフトダウンなんてことも、エンジン回転数さえ許容範囲内なら造作なく可能。

ただ、ブレーキングしながらレバーを押したのに、過回転域のため変速されないことを何度か経験した。ここだけは慣れと読みが必要だ。

通常のMTは不要と思うくらいの完成度をこのシーケンシャル5MTは持っている。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード MR-S
駆動方式 2WD
トランスミッション シーケンシャル5MT
全長×全幅×全高(mm) 3885×1695×1235
ホイールベース(mm) 2450
車両重量(kg) 980
乗車定員(人) 2
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1794
最高出力[ps/rpm] 140ps/6400rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 17.4kg-m/4400rpm
10・15モード燃費(km/L) 14.2
ガソリン種類/容量(L) 無鉛レギュラー/48
車両本体価格 195.5万円

斉藤慎輔の責任採点

コンセプト 5点 取り回し 4点 加速性能 4点 ブレーキ性能 4点
フィニッシュ 3点 操作系の使い勝手 3点 乗り心地 3点 環境対策 3点
前席居住性 3点 ラゲージルーム 1点 操縦安定性 2点 燃費 4点
後席居住性 ー点 パワー感 3点 高速安定性 3点 ステータス 3点
内装の質感 1点 トルク感 4点 しっかり感 2点 コストパフォーマンス 4点
得点合計 59/95
(Tester/斉藤 慎輔 Photo/芳賀 元昌)