※この記事はカーセンサー関東版35号(2000年9月21日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

直噴、クリーン化でジェントルになった“らしくない”ディーゼル

  • トヨタ ランドクルーザープラド 走り|ニューモデル試乗
  • トヨタ ランドクルーザープラド リアスタイル|ニューモデル試乗
↑登りの発進など、負荷が増すとアクセルに対する反応が鈍くなり、ターボラグも感じる(左)フロントの押し出しに比べるとすっきりとしたリア回り。ホイールも変わった(右)
タフなクロカンモデルであるランドクルーザーシリーズのプラドがマイナーチェンジされた。5ドアロングはファミリィ性の高さ、3ドアショートは機動性が魅力だ。

注目は人気の高かったディーゼルターボがライバル同様に直噴化されたこと。従来型のOHC副室式に対し4バルブDOHCとし、25ps/0.9kg-mアップの170ps/35.9kg-mを発生。スペック、燃費ともにライバルたちに並んだ格好だ。

最上級の5ドアTZを走らせてみると、ディーゼルターボの印象が大きく変わったことに気づく。まずは発進性だが、従来はアイドリング直後からトルクの底力感が強く、時には抑え気味のアクセルを要求するほどに逞しい特性だった。

しかし試乗場所が高原だったことも影響するとも思えるが、一変しておとなしくなってしまった。ディーゼルが矢面に立たされていることもあって、黒煙などを全くといっていいほど吹かないうえに、燃料を希薄にして完全燃焼させることにより、有害物質の排出を減少させている。

1800回転から強力な加速を発揮し、振動騒音も従来型を上回る静粛性

  • トヨタ ランドクルーザープラド インパネ|ニューモデル試乗
  • トヨタ ランドクルーザープラド エンジン|ニューモデル試乗
↑オーソドックスなレイアウトのインパネは高い視認性で操作感もしっかり(左)コモンレール式とし、2段燃焼などで、低燃費化と振動騒音の低減を実現した(右)
最大トルクの発生は1800rpmから3400rpmまでの領域で、見事なまでにフラット。回転はスムーズでレスポンスも良好。振動騒音も従来型を上回る静粛性だ。

ATはこの回転域をキープする設定だから、より低い回転で走らせようとしてもシフトダウンされてしまう。そのためにガソリンエンジンのようでもある。特に登りの発進など負荷が増すとアクセルに対しての反応が鈍く、ターボラグも感じる。というのも、1800rpmからの加速が強力なだけに余計気になる部分なのだ。

4WDシステムはフルタイム。元々ハンドリングを楽しむキャラではないが、重いディーゼルはその面でも緩慢な動きを見せる傾向がある。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 5ドア TZ
駆動方式 4WD
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4690×1820×1880
ホイールベース(mm) 2675
車両重量(kg) 2020
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCディーゼル
総排気量(cc) 2982
最高出力[ps/rpm] 170ps/3400rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 35.9kg-m/1800-3400rpm
10・15モード燃費(km/L) 9.8
ガソリン種類/容量(L) 軽油/90
車両本体価格 361.0万円

根本 純の責任採点

コンセプト 4点 取り回し 3点 加速性能 3点 ブレーキ性能 3点
フィニッシュ 3点 操作系の使い勝手 4点 乗り心地 4点 環境対策 5点
前席居住性 4点 ラゲージルーム 4点 操縦安定性 2点 燃費 4点
後席居住性 4点 パワー感 3点 高速安定性 3点 ステータス 3点
内装の質感 4点 トルク感 3点 しっかり感 3点 コストパフォーマンス 2点
得点合計 68/100
(Tester/根本 純 Photo/渡邊 英昭)