ランドクルーザー300▲2021年8月に登場した新型トヨタ ランドクルーザー300。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の様子をお届けする

長期納車待ちが続くランクルのGRモデル

一般的に「TOYOTA」というブランドに、どのようなイメージをおもちだろうか。

私の場合は、故障が少ないモデルを作るメーカーという印象が強い。実際にそういう声が多いからこそ、ブランドを作り上げたのだと感じる。

中でも、あらゆる環境において信頼されているモデルこそランドクルーザーだと言えよう。

カタログの冒頭には、「目的地にたどり着き、壊れることなく無事に帰ってくる……」とある。道なき道と極地で使用された実績から世界の声がもたらしたランドクルーザーの使命となっていることがうかがえる、偽りのない自信の表れである。

ランドクルーザーには3つのカテゴリーがある。

ひとつは、タフさ信条のヘビーデューティーなタイプ。そのタイプのシティ仕様であるライトデューティー。そして快適性と走破性、スペースパフォーマンスに優れた2021年に300シリーズとして登場したランドクルーザーだ。

現在、新車をオーダーしても4年程度は納車を待たなければならないというのが、人気のすべてを表していることであろう。

今回試乗したモデルは、最新のランドクルーザーに仲間入りしたランドクルーザー300の「GRスポーツ」モデルだ。

ランドクルーザー300
ランドクルーザー300

実用車然とした装い

GRスポーツによって仕上げられたランドクルーザーは、よりハードな状況で走破性を向上させる狙いがある。

エクステリアは精悍で、グリルには実用的な印象を醸し出す「TOYOTA」のロゴを装着。

ブラックアウトされたホイールアーチにもモールディングを施し、ホイールもインチダウンさせてストロークを増したような印象を醸し出したさまは、見るからに走破性の高さを表している。

ロッカーパネルのステップもブラックの加飾となって、ドアまわりのハードなガードのように感じられる。

ランドクルーザー300
ランドクルーザー300

また、インテリアも快適性を重視した装備に反射の少ないマテリアルや加飾を施すことによって、装飾的な部分を抑えているところも本物志向がある。

しかし、それらは単なる志向にとどまらないと言える。なぜならば、高低差がある悪路でもストロークを増すために前後のスタビライザーを独立に制御させて走破性を高めているからだ。

スタビライザーは、アスファルトやフラットな道ではドライバビリティが増すので、重心が高い大きなボディでも安心感がある。

実際に首都高速や山間部で試乗したときは、これらが非常に有効であった。

ランドクルーザー300

重量を感じさせない加速感

今回試乗した「GRスポーツ」ではモードをスポーツモードで走らせたのだが、高速道路ではとてもいいスタビリティと乗り心地だ。

新開発のラダーフレームはねじれ剛性を高めており、特に左右のラダーのちぐはぐとした動きを抑制して、そのうえにボルトオンしたボディとの関係性を大切にしている。

リジットアクスルとラダーフレームのモデルにありがちなのは、すべてがバラバラに動いて乗り心地に余韻が残る点であったが、先代の200系から比べるとストロークを感じさせバラバラだった動きがGRスポーツモデルはまとまりつつある。

個人的には一般道だと、ノーマルモードが最も快適なように感じられた。

ランドクルーザー300

ターボラグは全く感じられず、低速からトルクがフラットに発生する。2.4t近い重量だが、そこからさらに踏み込んだ加速もスムーズで速い。だてに415馬力、650N・mの出力でないことがわかる。

しかし、この車格と装備でこの重量は、他社のモノコックボディの同クラスとも比べても価格と考え合わせるとそうとうの軽量化を行っていることが理解できる。

10速ATはスムーズでパワーバンドを捉えながら優雅な加速へと誘う。大きなトルクとハイパワーの出力を上手に切り盛りしていることがよく理解できる。

ランドクルーザー300
ランドクルーザー300

低速での力強さで差別化されるディーゼル

一方、ディーゼルエンジン仕様もV6ターボ仕様で、こちらも低速でのトルクを重視している。本格的な悪路や泥濘地ではエンジンの出力が負けることなく発揮されよう。

ガソリン仕様と比べると、高速道路での加速時においてはエンジンの音と伸びやかさが少ないが、一定速度では快適そのものだ。

とにかくトルクが安定しているので、低中回転時のパフォーマンスはガソリンモデルにはない力強さを発揮できる。

「GRスポーツモデル」は2インチダウンしたホイールを装着してタイヤのサイドウォールの動きを良好にしている。また、悪路でもサスペンションが補いきれないタイヤと路面の追従性を良好に保つなど、本格的なオフロードセッティングが最大の魅力のひとつであろう。

ますます高級路線になろうとしているランドクルーザー。「GRモデル」はそこにオフロードの価値観を改めて提案した仕様のモデルとなっている。

ランドクルーザー300 ▲オンロードにおいてもそのバリューをいかんなく発揮するモデルであった
文/松本英雄、写真/尾形和美

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー300(現行型) × 全国
※流通状況により物件の掲載がない場合があります

【試乗車 諸元・スペック表】
●ランドクルーザー300 3.5 GRスポーツ 4WD

型式 3BA-VJA300W 最小回転半径 5.9m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.97m×1.99m×1.93m
ドア数 5 ホイールベース 2.85m
ミッション 10AT 前トレッド/後トレッド 1.67m/1.67m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.78m×1.64m×1.22m
4WS - 車両重量 2520kg
シート列数 3 最大積載量 -kg
乗車定員 7名 車両総重量 2905kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.23m
マニュアルモード
標準色

グレーメタリック、ブラック、ダークレッドマイカメタリック、アバンギャルドブロンズメタリック

オプション色

プレシャスホワイトパール

掲載コメント

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型式 3BA-VJA300W
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 10AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 グレーメタリック、ブラック、ダークレッドマイカメタリック、アバンギャルドブロンズメタリック
オプション色 プレシャスホワイトパール
シート列数 3
乗車定員 7名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.9m
全長×全幅×
全高
4.97m×1.99m×1.93m
ホイール
ベース
2.85m
前トレッド/
後トレッド
1.67m/1.67m
室内(全長×全幅×全高) 2.78m×1.64m×1.22m
車両重量 2520kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2905kg
最低地上高 0.23m
掲載用コメント -
エンジン型式 V35A-FTS 環境対策エンジン -
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 80リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 3444cc 燃費(WLTCモード) 7.9km/L
└市街地:5.3km/L
└郊外:8.2km/L
└高速:9.6km/L
燃費基準達成 -
最高出力 415ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
650(66.3)/3600
エンジン型式 V35A-FTS
種類 V型6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 3444cc
最高出力 415ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
650(66.3)/3600
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 80リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 7.9km/L
└市街地:5.3km/L
└郊外: 8.2km/L
└高速: 9.6km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。