【試乗】新型 トヨタ GRヤリス|ハイエンドモデルのパフォーマンスはさすがだが、1.5LのFFでも街乗りは十分
カテゴリー: トヨタの試乗レポート
2021/02/08
そのままレースに出れるようなポテンシャルのRZハイパフォーマンス
国産メーカーで、市販車ベースの競技車両と呼ばれるものは、一昔前まで競技者が競技用車両にするためのベースとして販売されるモデルであった。
しかし、競技に参加するには、何も付いていない素の状態からマシンを作り上げることがマストだっただけに、購入してすぐにはパフォーマンスを発揮することができなかった。今回試乗する“GRヤリス”が登場するまでは。
世界ラリー選手権(WRC)を含めたレースで勝利するためには、それなりにベース車両のポテンシャルの高さは必須なのである。だからこそ、特別な設計を用いて作り出したモデルがGRヤリスなのである。
今回は公道での初めての試乗会で、3つのモデルに試乗した。最初はハイエンドモデルのRZハイパフォーマンスである。のっけからボルテージの高いモデルである。
目の前にすると、張り出したフェンダーがとても力強い。ノーマルのヤリスと比べて110mmほどワイド化している。フェンダーを張り出すと、フェンダーアーチの帯状のプレスラインが小さくカッコイイ。リアは、さらに強力に感じるフェンダーデザインだ。
このデザインから見ても、フロントよりリアにトルクが多くかけられる雰囲気が伝わる。実際のトルク配分はノーマルモードでは60:40、トラックモードで50:50、そしてスポーツモードで30:70と切り替えが可能だ。
出力は、1.6L 3気筒ターボユニットから272psを発揮する。トルクはなんと37.7kg・mで、車重は1.3tを切った車重だ。スペックを見る限り、昔のグループBカーのホモロゲモデルのように思える。
クラッチとブレーキペダルを踏みながらスペックをうかがう。クラッチはねっとりとした感じで、4WDでこのスペックからするとかなり扱いやすい印象だ。
ブレーキは、停止している状態からグッと強く踏んでもペダル剛性とキャリパーの歪みも少ない印象だ。これは期待が持てる。
走行モードをノーマルに設定し、いざ出発だ。1速に入れて軽くクラッチを合わせ、ストール点ギリギリから発進する。トルクの立ち上がりは思ったよりもリニアで急激な感じはない。
エンジンは、あっという間にレッドゾーンまで入りそうな勢いだが、出力の急激な落ち込みもなく、扱いやすくパワフルだ。また、ブロック剛性もすこぶる高い。
硬められたサスペンションに、初期から追従するダンパーはしなやかさも感じる逸品ものだ。動力をかけていくとフロントが外に行きそうであるが、あるところまで来ると抑えてくれる。
50:50のトラックモードは、フラットなアスファルトには安定したトルク配分でハンドリングもニュートラルに近い。
最後に試したのが30:70のスポーツモードだ。より後輪にトラクションがかかる設定のため、乾いたターマックでは楽しめそうだ。
パワーバンドに入れておきながら、アクセルとちょっとしたステアリング操作でターンインアウトを繰り返す。これは最高に楽しい。
トルセン式LSDは、トヨタが知り尽くしているLSDのタイプである。確実な動力をディファレンシャルから路面に伝えながら、コントロール性に長けている。
最も感動した部分のひとつが、ブレーキのコントロール性能である。カチッとしたペダルが硬い部分からのコントロール性は抜群だ。ポルシェのような雰囲気もする。これはいい感触だ。
すべてに過剰なパフォーマンスのクオリティを注入したモデルだ。安全予防パッケージを含んだオプション込みで500万円を切るプライスは、レース車両を知る人間からすると破格といえる。
全体的にマイルドなRZファーストエディションと200万円ほど安い1.5RS
次に試乗したのが、RZファーストエディションだ。これは、先に試乗したRZハイパフォーマンスよりもマイルドなセッティングで、サスペンションも快適な乗り心地重視だ。
ボディが揺れ始めると、RZハイパフォーマンスよりも収拾するのに時間がかかるが、その分乗り心地はいい。
RZハイパフォーマンスよりも60万円近く価格が抑えられているファーストエディションは、もう完売しているモデルなので、欲しい人は中古車情報をウォッチしておくとよいだろう。
最後に試乗したのは、エントリーモデルにあたる、1.5RSという1.5LのFFモデルである。CVTのAT仕様であるが、外観のすごみはそのままなので、このセグメントで最も存在感がある。
走り出すと重さは否めないが、流して乗るには最高のGRヤリスだ。街中では十分なパフォーマンスであり、このスタイリングが好きだという方にはこれでもいい。
この内燃機関が危うい時代に、このサイズでここまで精魂込めて作ったスポーツハッチは、世界中を探してもないだろう。そういった意味では、トヨタの心意気を感じる魂の1台である。
【試乗車 諸元・スペック表】
●1.6 RZ ハイ パフォーマンス 4WD
型式 | 4BA-GXPA16 | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4m×1.81m×1.46m |
ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.56m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.54m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.88m×1.43m×1.18m |
4WS | - | 車両重量 | 1280kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1500kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
スーパーホワイトII |
||
オプション色 |
プラチナホワイトパールマイカ、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 4BA-GXPA16 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 3 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | スーパーホワイトII |
オプション色 | プラチナホワイトパールマイカ、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4m×1.81m×1.46m |
ホイール ベース |
2.56m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.54m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.88m×1.43m×1.18m |
車両重量 | 1280kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1500kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | G16E-GTS | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 50リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1618cc | 燃費(WLTCモード) |
13.6km/L
└市街地:10.6km/L └郊外:13.8km/L └高速:15.3km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 272ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
370(37.7)/4600 |
エンジン型式 | G16E-GTS |
---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1618cc |
最高出力 | 272ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
370(37.7)/4600 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 50リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 13.6km/L
└市街地:10.6km/L └郊外: 13.8km/L └高速: 15.3km/L |
燃費基準達成 | - |
●1.6 RZ ファースト エディション 4WD
型式 | 4BA-GXPA16 | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4m×1.81m×1.46m |
ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.56m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.54m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.88m×1.43m×1.18m |
4WS | - | 車両重量 | 1280kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1500kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
スーパーホワイトII |
||
オプション色 |
プラチナホワイトパールマイカ、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII |
||
掲載コメント |
※2020年1月10日から6月30日までの期間限定予約受注 |
型式 | 4BA-GXPA16 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 3 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | スーパーホワイトII |
オプション色 | プラチナホワイトパールマイカ、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4m×1.81m×1.46m |
ホイール ベース |
2.56m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.54m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.88m×1.43m×1.18m |
車両重量 | 1280kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1500kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | ※2020年1月10日から6月30日までの期間限定予約受注 |
エンジン型式 | G16E-GTS | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 50リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1618cc | 燃費(WLTCモード) |
13.6km/L
└市街地:10.6km/L └郊外:13.8km/L └高速:15.3km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 272ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
370(37.7)/4600 |
エンジン型式 | G16E-GTS |
---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1618cc |
最高出力 | 272ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
370(37.7)/4600 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 50リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 13.6km/L
└市街地:10.6km/L └郊外: 13.8km/L └高速: 15.3km/L |
燃費基準達成 | - |
●1.5 RS
型式 | 5BA-MXPA12 | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4m×1.81m×1.46m |
ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.56m |
ミッション | CVT | 前トレッド/後トレッド | 1.53m/1.56m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.88m×1.43m×1.18m |
4WS | - | 車両重量 | 1130kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1350kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
スーパーホワイトII |
||
オプション色 |
プラチナホワイトパールマイカ、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 5BA-MXPA12 |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 3 |
ミッション | CVT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | スーパーホワイトII |
オプション色 | プラチナホワイトパールマイカ、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
4m×1.81m×1.46m |
ホイール ベース |
2.56m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.53m/1.56m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.88m×1.43m×1.18m |
車両重量 | 1130kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1350kg |
最低地上高 | 0.14m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | M15A-FKS | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | 50リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1490cc | 燃費(WLTCモード) |
18.2km/L
└市街地:14.2km/L └郊外:19.1km/L └高速:20km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 120ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
145(14.8)/5200 |
エンジン型式 | M15A-FKS |
---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1490cc |
最高出力 | 120ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
145(14.8)/5200 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
使用燃料 | レギュラー |
燃料タンク容量 | 50リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 18.2km/L
└市街地:14.2km/L └郊外: 19.1km/L └高速: 20km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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