▲ついにベールを脱いだ新型プリウスPHV。発売時期は未定(2016年9月8日時点)だが、進化したEVの技術には目を見張るものがあった ▲ついにベールを脱いだ新型プリウスPHV。発売時期は未定(2016年9月8日時点)だが、進化したEVの技術には目を見張るものがあった

プリウスよりも上級グレードだと一目で分かるようデザインを変更

正確な時期は未定だが今年中にプリウスPHV(プラグインハイブリッド)仕様が発売されることとなった。それに先立ちプロトタイプをサーキットで試乗してきた。現行型プリウスとの違いにスポットを当て、PHVの特徴に触れてみよう。

まずデザイン。全長が長くスポーティな印象だ。特にリアビューはユニークな形状になっている。「ダブルバブルウインドウ」と呼ばれるリアウインドウといい、燃料電池車のMIRAIに通じる顔つきといい、未来感に溢れている。

▲現行プリウスに比べ全長が105㎜長くなっている。幅は1760mm、高さは1470mmと変化はない ▲現行プリウスに比べ全長が105㎜長くなっている。幅は1760mm、高さは1470mmと変化はない
▲バッテリーを大きくした影響でリアを大きくする必要があった。しかし、それが逆にプリウスとの違いを明確にし、未来的なデザインとなった ▲バッテリーを大きくした影響でリアを大きくする必要があった。しかし、それが逆にプリウスとの違いを明確にし、未来的なデザインとなった

次に進化したEV性能にも注目したい。EV走行距離は60㎞以上。しかも時速130㎞までエンジンいらず。一般的なユーザーの多くが、エンジンを使わずに走れる計算だ。EV走行では、当然ながら発進はとても静かだ。加速もモーターによる急激なトルク変動はなく、必要分だけ速度をリニアに上乗せしてくれる。試乗したサーキットでは、時速90㎞からさらにアクセルを踏んだときに、ようやくエンジンが始動した。その際は、プリウスと同じハイブリッド走行だが、エンジン音が大きく感じる。それはEV走行時の静粛性が高いために起こる錯覚だろう。

また、プリウスで気になっていた静かすぎる故に起こるリアシートに座ったときのロードノイズとルーフを通る風切り音が、PHVでは静かになっているように感じられた。
 

▲サーキットの急なカーブやアップダウンにも重厚感のある安定した走りを実現 ▲サーキットの急なカーブやアップダウンにも重厚感のある安定した走りを実現

軽快感のプリウス VS 重厚な乗り味のPHV

最後にPHV化にするにあたり車重がプリウスより約150kg増えた話に触れたい。これは、EV走行を可能にする大容量バッテリーを搭載するためだ。この重みをいかに感じさせないかが、トヨタ開発チームの使命であったのは言うまでもないが、彼らはむしろこの重みをプラスに変えてみせた。

車重が軽いプリウスの方はキビキビ感があり挙動がスムーズだが、PHVは重厚感ある乗り心地を意識したゆったりとしたロールを抑えるセッティングとしている。そのため上質な乗り味と高速道路での静粛性を重視したときは、断然PHVに軍配が上がる。
 

▲一目でPHVと分かるよう特徴的なライトを設置しフロントマスクも変更された ▲一目でPHVと分かるよう特徴的なライトを設置しフロントマスクも変更された
▲大型のソーラーパネルを設置したことで、停車中であれば太陽光で充電が可能に。家庭用の100V電源では約14時間で満充電される ▲大型のソーラーパネルを設置したことで、停車中であれば太陽光で充電が可能に。家庭用の100V電源では約14時間で満充電される
▲充電時には、リアルタイムで発電の様子を縦型の大型ディスプレイで見ることができる ▲充電時には、リアルタイムで発電の様子を縦型の大型ディスプレイで見ることができる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:プロトタイプ
■乗車定員:4名
■エンジン種類:直列4気筒 DOHC ■総排気量:1797cc
■最高出力(ネット):72(98)/5200 [ kW(ps)/rpm]
■最大トルク(ネット):142(14.5)/3600 [N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:電気式無段変速機
■モーター型式:1NM/1SM ■最高出力:53(72)/23(31)[ kW(ps)]
■最大トルク:163(16.6)/40(4.1) [N・m(kgf・m)]
■全長×全幅×全高:4645×1760×1470(mm) ■ホイールベース:2700mm
■車両重量:1510kg
■車両価格:未発表
 

text/松本英雄
photo/篠原晃一