アトキンソンサイクルエンジン|自動車なんでも用語集

アトキンソンサイクルエンジン(あときんそん・さいくる・えんじん)/[エンジン]

アトキンソンサイクルとは、圧縮比よりも膨張比を大きくして熱効率を改善した内燃機関の一種、またはその理論サイクルのこと。熱効率を高めることにより燃費性能は向上する。ジェームズ・アトキンソンにより1882年に開発された。

一般的なガソリンエンジンの場合、爆発時に膨張する割合(膨張率)を高めて熱効率を高めようとすると、同時に圧縮率を高めることになり、ノッキング(異常燃焼)が起こりやすくなる。

そこで吸気バルブが閉じるタイミングを遅くして、ピストンが圧縮工程に入ってから閉じることで、膨張比に対して実質的な圧縮比を下げることが考えられた。しかし、エンジンに吸い込む混合気の量が減ることにもなり、高出力は得にくいという弱点があった。そこで当初は過給器などで補う方法も取られていた。

量産車で初めて実現化したモデルは、1993年登場のマツダ ユーノス800だ。このエンジンはアトキンソンサイクルを改良した技術者の名前をとって、ミラーサイクルエンジンと名づけられた。システムは進化・熟成され、2007年に登場した、マツダ デミオ13C-Vに搭載の1.3Lエンジンに受け継がれている。このユニットは、過給器やモーターの助けを借りることなく、同排気量車に遜色ない出力と10・15モード燃費で23.0km/Lの好燃費を両立させている。

また、トヨタがハイブリッドシステムのTHS IIに採用しているアトキンソンサイクルエンジンもほぼ同様のシステムだ。独自のVVT-iによるエンジンの吸排気バルブマネージメントに、過給器ではなくモーターを組み合わせることで、さらなる高効率が追求されている。このシステムで2009年デビューのプリウス(Lグレード)の10・15モード燃費は38.0km/Lを達成した。