ダイハツ ハイゼット▲1960年にダイハツ初の軽四輪車として発売されて以来、累計生産台数が750万台を突破したハイゼット。今回デビューした新型ハイゼットカーゴは11代目にあたる

クラストップの荷室空間と初採用の快適装備

ダイハツ工業が、17年ぶりにハイゼットカーゴとアトレーをフルモデルチェンジし、それらをベースにした特装車と福祉車両とともに12月20日に発売した。

商用車として初めてDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)が展開され、プラットフォームの刷新とFR用CVTの採用で燃費、静粛性、基本性能の向上が図られた。

税込み価格は、ハイゼットカーゴが104.5万~160.6万円、アトレーが156.2万~182.6万円。月販目標台数はハイゼットカーゴが5700台、アトレーが1000台。

ハイゼットカーゴは、働き手の多様化と少子高齢化による労働力不足を背景に、小口配送ニーズの増加や建設業者の多能工化を受け、クラス最大の積載スペースを実現。具体的には、車体側面とバックドアの傾きを限界まで抑えて車体をスクエア化することで、荷室長1915mm×荷室幅1410mm×荷室高1250mmを確保。

後席シートベルトのバックルをシートと一体化、そしてシート固定金具も床面に埋め込んで凹凸を解消することで、荷物へのキズつきを減らして出し入れしやすいフラットな空間を実現している。荷室ナットは従来の約2倍に増やされた。
 

ダイハツ ハイゼット▲荷室はクラストップの広さが確保されているだけでなく、シートベルトのバックルなど凹凸の原因だった部分も改善されてフラット化を達成している
ダイハツ ハイゼット
ダイハツ ハイゼット▲インパネにアッパートレイが新設され、拡大された頭上スペースを活用したオーバーヘッドシェルフをはじめ、運転席から手の届く範囲に豊富な収納スペースが用意されている

快適性を高める装備として、キーを取り出さずにドアロック解除やエンジン始動が行えるキーフリーシステム&プッシュ式スタートボタンをクラス初採用。また、ワンタッチオープン機能、降車時に予約しておけるウェルカムオープン機能、全閉を待たずに車から離れられるタッチ&ゴーロック機能を有する、両側電動スライドドアもクラス初採用されている。
 

ダイハツ ハイゼット▲キーを身につけているだけでドアロックの施錠・解錠が可能なキーフリーシステム

外観では、フロントバンパーが上下2分割構造に変わり、下半分のみの交換が可能になって修理時の経済性に寄与。リアゲートのCIマークと車名エンブレムは、右側にまとめられ、従来よりも広い広告スペースとして活用できる。ボディカラーは、アイスグリーン、シャイニングホワイトパール、トニコオレンジメタリックの新色3つを含む全7色から選べる。
 

ダイハツ ハイゼット▲ボディ側面とバックドアの傾きが抑えられてスクエアなフォルムに仕上がったエクステリア。フロントバンパーは下半分だけでも交換修理できる2分割構造だ
ダイハツ ハイゼット▲エンブレム類が右下に集約され、名入れなどバックドアが広告スペースとして活用しやすくなったリアビュー。ワイパーの取り付け位置も見直された

新開発のFR用CVTは、商用車の床下スペースに搭載できるよう小型化されて、燃費、発進性能、静粛性が大幅に向上して運転中のストレス軽減に貢献する。WLTCモード燃費は15.6km/Lで、2022年度から小型貨物車に適用される商用CAFE(企業別平均燃費基準)に対応。

さらに、CVT車にはクラス初の電子制御4WDが設定されている。2WD/4WDオート/4WDロックの3モードに切り替えられ、4WDオートでは路面に合わせて前後駆動力が最適に配分され、高い安定性を確保しながらタイトコーナーブレーキング現象も抑制される。
 

ダイハツ ハイゼット▲商用車の床下スペースに収まるよう、コンパクトに設計されたFR用CVT。新型ハイゼットカーゴが採用車の第1号となる

車体は、アッパーとリアアンダーのボディ骨格が最適化され、剛性アップで軽量化と操安性向上を実現している。また、サスペンション・ジオメトリーの最適化で荷物を載せているときにも優れた操安性と快適な乗り心地を実現。

安全デバイスのスマートアシストに用いられるステレオカメラは、最新版に変更されて衝突回避支援ブレーキと警報機能の対応速度が向上。車両と歩行者に加えて二輪車・自転車、夜間の歩行者も検知可能になった。

前後方向のブレーキ制御付き誤発進抑制機能は、MT車にも搭載された。さらに、車線逸脱抑制制御機能、路側逸脱警報機能、ふらつき警報、標識認識機能、サイドビューランプ、ADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)も追加。

クラス初のデジタルミラーで、荷物満載時や視界不良時にも後方視界が確保できる。鏡面モードとデジタルモードに切り替え可能で、後退時にはバックカメラの映像も表示される。

軽商用車として初めてダイハツコネクトが採用され、つながる安心と快適性でユーザーをサポート。ディスプレイオーディオには、9インチと6.8インチの2種類が用意されており、いずれもAndroid AutoとApple CarPlayに対応している。
 

広い荷室が活用できるようにアトレーも4ナンバー化

商用車ならではの広い荷室と、350kgの最大積載量がレジャーにも活用できるよう、アトレーは従来の軽乗用車から4ナンバーの貨物車に刷新された。
 

ダイハツ ハイゼット▲アトレーには専用装備としてLEDヘッドランプとメッキグリルが装備され、パーソナルユースに見合うエクステリアに仕上がっている

内装には掃除しやすいイージーケアマット、車中泊時に換気できるポップアウト機構付きスライドドアウインドウ、デッキサイドポケット、ラゲージボードを組み合わせられるスリット付きデッキサイドトリムが採用されている。

ハイゼットカーゴと同じく、キーフリーシステム&プッシュ式スタートボタンと両側電動スライドドアも設定。
 

ダイハツ ハイゼット▲水拭きできるイージーケアマットや換気に役立つポップアウト機構付きスライドドアウインドウ、ラゲージボードを設置できるスリット付きデッキサイドトリムが備わる内装

安全装備がセット化されたスマートアシストに加え、全車速追従機能付きのアダプティブ・クルーズコントロールとレーンキープコントロールも採用され、長時間にわたる高速走行時の疲労軽減に役立つ。

また、ハイゼットカーゴに続いてアトレーにも4人乗車を可能としながら、オープンデッキを併せ持つデッキバンが新設定された。ターボエンジンによる力強い走りで幅広いレジャーニーズに対応。
 

ダイハツ ハイゼット▲汚れたレジャー用品も気にせず積めるオープンデッキが魅力的なデッキバン。ハイゼットだけでなく、アトレーにも設定された

福祉車両であるスローパーは、ハイゼットとアトレーの両方に設定されている(非課税で168.5万~220.0万円)。車体のスクエア化によって室内空間が拡大され、車いすの乗降をサポートするウインチボックスが見直され、足元も広がった。

助手席側のリアシートは大型化され、フロントシートと同等の乗り心地を実現。また、スロープには前倒し機構が採用されて普段づかいの使用性が向上した。
 

文/マガジンX編集部、写真/ダイハツ