全日本選手権スーパーフォーミュラ



スーパーフォーミュラの第6戦がスポーツランドSUGOで行われ、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が圧倒的な速さで独走。今季2勝目を挙げた。シリーズタイトルを争う中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)と石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)は共にピットでのタイムロスや戦略もあり、それぞれ4位、5位でフィニッシュ。それでもドライバーズランキングでは2位、1位のポジションを維持し、優位な状況で最終戦に臨むこととなった。

スーパーフォーミュラの第6戦が10月17日(土)、18日(日)の両日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われた。

全7戦で戦われている2015年のスーパーフォーミュラもいよいよ残り2戦となった。最終戦へ向けての山場となる一戦の舞台は東北、SUGOのテクニカルコース。

今季のスーパーフォーミュラは開幕戦でアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が勝利を挙げるも、第2戦では石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がポール・トゥ・ウィンで悲願のトップフォーミュラ初優勝。第3戦はジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)が制し、開幕3戦で3人の異なる勝者が生まれることとなった。

第4戦は絶好調の石浦が2勝目。第5戦は、負傷により1戦欠場も、出場した3戦全てで2位表彰台を獲得していた中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が今季初勝利を挙げた。これでタイトル争いは、2戦を残して唯一2勝を上げている石浦がひとつ抜け出し、7ポイント差で中嶋一貴、12ポイント差でオリベイラが追う形となった。

今大会で最大11ポイント、最終戦は2レース制+ボーナスポイントで最大18ポイント獲得出来るため、逆転タイトルの可能性は4位のロッテラー(21ポイント差)、5位の小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans : 27ポイント差)にも残された状況でSUGO大会に臨むこととなった。

◆予選◆

予選日の17日(土)は朝から快晴。午前中のフリー走行を経て、午後1時45分より気温20度/路面温度30度のコンディションの下、ノックアウト方式の予選Q1が開始された。

セッション開始と共に全車が一斉にコースインしたが、開始4分を過ぎたところでジェームス・ロシター(KONDO RACING)がスピンしコース上にストップ。赤旗中断となった。ロシターは自力でピットへと戻れなかったため、ここでアタックを終えることとなり、最後尾グリッドが確定した。

再開後3分ほどで再びコースオフ車両により赤旗。残り14分ほどで再開されると、まず全車一旦タイムをマークした後、ピットインして新品タイヤで本格的なアタックが開始された。

2周のウォームアップラップの後、各車がタイムを更新していく中、小林がこれまでのコースレコードを上回るタイムをマークしトップに。しかし、すぐにこれをロッテラー、オリベイラが上回り更にレコードを更新。

午前中のフリー走行の終盤にコースオフし、車両にダメージを負いながら、メカニックの懸命な修復で予選出走に間に合った中山雄一(KCMG)は、チェッカー目前の最後のアタックで好タイムをマークし8番手。Q2進出を決めた。

このQ1では、国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が苦戦し17番手、ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)が18番手となり、最後尾のロシターと共にグリッド決定となった。

7分間の予選Q2では、ロッテラーがいきなりQ1首位のオリベイラのタイムをコンマ4秒短縮する速さを見せトップに。これに石浦が続いた。オリベイラ、中嶋一貴も安全圏のタイムをマーク。小林は最終ラップで7番手に飛び込み、この5名がQ3へ進出。

トップの8台がコンマ5秒台に入る激戦となったこのQ2、アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL)は既存のレコードタイムを更新するも10番手、平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)13番手、中山もQ1のタイムを更新出来ず、14番手でQ2敗退となった。

予選Q3(7分間)は、1台がセッション開始と同時に出て行ったが、5台のトヨタ勢は、残り5分半を切ったあたりでコースイン。まず中嶋一貴がQ2でのロッテラーのタイムを上回ってトップに立つも、ロッテラーは更にこのタイムを更新。今季開幕戦で勝利した後、不満の残るレースが続いていたロッテラーが、コースレコードで今季初、国内トップフォーミュラで自身9回目となるポールポジションを獲得した。

中嶋一貴が2番手で続き、トムス勢が最前列に並ぶことに。石浦は第3コーナーのブレーキングでミス。このミスがなければポールポジションも狙える速さを見せていた石浦だったが、それでも2列目3番手につけ、タイトルを争う2人は好位置からのスタート。

4番手以降は、7番手までの4台が僅か100分の6秒以内に入るという非常に厳しい戦いとなり、オリベイラが6番手、他車に引っかかってタイムをロスした小林は7番手から明日の決勝をスタートすることとなった。

◆決勝◆

決勝日の18日(日)も好天。午後2時30分、昨日よりもやや高い気温22度、路面温度33度というコンディションの下でフォーメーションラップが開始された。

全車グリッドに整列後、レッドシグナルが消え、スタートが切られると、最前列2番手の中嶋一貴が好ダッシュを見せ、首位に浮上。僅差でロッテラーが続いた。その後方では、石浦、小林共に一つずつ順位を落とし、それぞれ4位、6位で1コーナーへ。

スタートで小林の先行を許し7位に後退したオリベイラは、4周目の1コーナー進入で小林をパス。翌周、更に前を行く車両をかわそうとしたが、1コーナーでコースオフ。再び7位にポジションを落としてしまった。

予選でコースオフし最後尾スタートとなったロシターが6周終了と早い時点で給油ピット。続いて、9周目終了時に、13番手スタートから1位まで順位を上げていた平川が給油のみのピットへ。翌周には小林、スタート直後の接触で車体前部にダメージを負っていたカルダレッリもピットに向かった。

首位を逃げる中嶋一貴は2位ロッテラーに対し1秒の差。その後方3位は2秒以上離しての快走を見せていたが、14周目にはロッテラーが猛追を開始。最終コーナーから15周目のストレートでオーバーテイクシステムを使い、1コーナー進入で一気に中嶋一貴をパス。首位を奪還した。

首位に立ったロッテラーは速さを見せ、後続を引き離し独走態勢に。中嶋一貴も後続との差を維持したまま2位、石浦も4位のまま周回を続けた。

後方では、先にピットインしていた小林らが、ハイペースで追い上げを開始。これを見た石浦は26周目に給油のみのピットインを行ったが、給油ノズルが上手く入らないトラブルに見舞われ、タイムロス。28周目には中嶋一貴もピットへ向かい、給油中に作業を終えることが可能なリア2輪のみ交換。しかし、こちらも給油ノズル挿入でタイムロスを喫し、追い上げてきたライバルの先行を許すこととなってしまった。

リア2輪のみ交換の中嶋一貴は、先にピットを終えていた石浦の直前でピットアウト。まだタイヤの温まっていない中嶋一貴を石浦は懸命に攻めたが、中嶋一貴も巧みなブロックでこれを阻止。ポジションをキープした。

首位を行くロッテラーは、周回遅れをかき分けながらもハイペースで後続を引き無していき、2位との差を15秒以上へ広げて53周目終了時点でピットイン、給油のみでコースへ復帰。その直後、3位で追っていたオリベイラもピットへ向かったが、再発進時にエンジンストール。10秒ほどタイムをロスし、上位争いから脱落してしまった。

最後までピットを引っ張ったのは、14番手スタートの中山。昨年無給油作戦を採り、残り3周で燃料切れに見舞われた中山は、2位に浮上すると上位勢と遜色ないタイムを刻み、残り10周でピットイン。順当に行けば8位でコースに復帰出来ると思われたが、中山も給油ノズルが入らないアクシデントに見舞われ、タイムをロス。接近戦のまっただ中の10位でコースに復帰することとなった。

中山のピットインで全車ピットを終え、首位のロッテラーは17秒以上もの大差で首位を快走。中嶋一貴は4位、石浦宏明が5位で、ほぼ1秒ずつ離れている前走車を追ったが届かず。

ロッテラーは最後は約24秒もの大差をつけて圧勝のポール・トゥ・ウィン。今季2勝目を挙げた。中嶋一貴は4位、石浦が5位。最後まで平川と6位争いを繰り広げた小林は逃げ切って6位。平川が最終ラップに燃料切れに見舞われたため、これをかわしたオリベイラが7位、平川はなんとかチェッカーへとたどり着き、8位でフィニッシュした。平川と小林はフィニッシュ後のクールダウンラップ中に燃料切れでコース上にストップするという、ぎりぎりでのフィニッシュであった。

タイトル争いでは、石浦が45ポイントで首位を維持。中嶋一貴が6ポイント差の2位、ロッテラーとオリベイラが共に14ポイント差の3、4位で、この4名が最終戦へタイトルの可能性を残して臨むこととなった。

また、今大会の結果、ロッテラーと中嶋一貴のPETRONAS TEAM TOM'Sは、最終戦を残してチームタイトルを決定した。

TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

PETRONAS TEAM TOM'S 2号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:

良いレースが出来、本当に素晴らしい一日だった。スタートは上手く行ったのだが、ややクラッチが滑り気味で、絶好のスタートを切った一貴に前に行かれてしまった。後方から一貴を観察し、最終コーナーで自分の方が状態が良いことが分かったので、オーバーテイクを仕掛け、パス出来た。その後はレースを楽しめた。クルマのバランスも良かったし、思うように走ることが出来て最高のレースだった。


全日本選手権スーパーフォーミュラ 第6戦 結果表

順位:No.:ドライバー:チーム:周回:タイム/差:予選:予選タイム:エンジン
1:2:アンドレ・ロッテラー:PETRONAS TEAM TOM’S:68:1:17'52.551:1:1'05.005:TOYOTA RI4A
2:16:山本 尚貴:TEAM 無限:68:23.881:4:1'05.314:HONDA HR-414E
3:40:野尻 智紀:DOCOMO TEAM DANDELION RACING:68:24.666:5:1'05.324:HONDA HR-414E
4:1:中嶋 一貴:PETRONAS TEAM TOM’S:68:25.453:2:1'05.177:TOYOTA RI4A
5:38:石浦 宏明:P.MU/CERUMO・INGING:68:28.371:3:1'05.246:TOYOTA RI4A
6:8:小林 可夢偉:KYGNUS SUNOCO Team LeMans:68:47.546:7:1'05.377:TOYOTA RI4A
7:19:ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:LENOVO TEAM IMPUL:68:48.168:6:1'05.344:TOYOTA RI4A
8:7:平川 亮:KYGNUS SUNOCO Team LeMans:68:49.787:13:1'06.060:TOYOTA RI4A
9:10:塚越 広大:REAL RACING:68:53.179:12:1'06.024:HONDA HR-414E
10:18:中山 雄一:KCMG:68:53.636:14:1'06.305:TOYOTA RI4A
11:34:小暮 卓史:DRAGO CORSE:68:54.548:8:1'05.495:HONDA HR-414E
12:64:中嶋 大祐:NAKAJIMA RACING:68:55.803:11:1'05.963:HONDA HR-414E
13:41:ナレイン・カーティケヤン:DOCOMO TEAM DANDELION RACING:68:56.764:16:1'06.438:HONDA HR-414E
14:3:ジェームス・ロシター:KONDO RACING:67:1 Lap:19:1'19.426:TOYOTA RI4A
15:4:ウィリアム・ブラー:KONDO RACING:67:1 Lap:18:1'07.912:TOYOTA RI4A
16:20:アンドレア・カルダレッリ:LENOVO TEAM IMPUL:67:1 Lap:10:1'05.838:TOYOTA RI4A
17:39:国本 雄資:P.MU/CERUMO・INGING:67:1 Lap:17:1'06.561:TOYOTA RI4A
18:65:ベルトラン・バゲット:NAKAJIMA RACING:66:2 Laps:15:1'06.322:HONDA HR-414E
:11:伊沢 拓也:REAL RACING:50:18 Laps:9:1'05.794:HONDA HR-414E

ドライバーズポイント

(第6戦終了時)
順位:ドライバー名:エンジン:ポイント
1:石浦 宏明:TOYOTA RI4A:45
2:中嶋 一貴:TOYOTA RI4A:39
3:アンドレ・ロッテラー:TOYOTA RI4A:31
4:ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:TOYOTA RI4A:31
5:小林 可夢偉:TOYOTA RI4A:17
7:平川 亮:TOYOTA RI4A:11
11:国本 雄資:TOYOTA RI4A:6
12:ジェームス・ロシター:TOYOTA RI4A:5
13:アンドレア・カルダレッリ:TOYOTA RI4A:4