トヨタ クラウン ▲「次もクラウン!」あるいは「次こそクラウン!」と思っていても、新型クラウンシリーズはいずれも全幅1800mmオーバーとなってしまったことで、諦めざるを得なくなった人も多いはず。ならば、全幅1800mm以下の車の中から「新型クラウンシリーズの代わり」になりそうなモデルをピックアップしてみることにしましょう!

新型クラウンシリーズは、機械式駐車場に収まらないことも……!

まずは2022年9月発売の「クラウン クロスオーバー」に始まり、その後は「クラウン スポーツ」「クラウン(セダン)」という形でバリエーションを広げていった新型トヨタ クラウンシリーズ。

それらはすべて、これまでのクラウン像を打ち破る部分もあわせて非常に魅力的であり、「欲しい!」とも思うわけですが、ちょっとした問題がないわけではありません。

それは歴代クラウンがこれまで死守してきた「全幅1800mm」という壁を、新型はあっさり超えてしまったことです。

もちろん、1800mm以上となった全幅が問題にならない人も多いでしょう。しかし愛車を立体駐車場に入れている人や、これまでのクラウンのサイズ感に慣れ親しんでいた人は、「サイズ的にちょっと厳しい……」と感じているかもしれません。

そこでこの記事では、新型クラウンシリーズとある意味似たような魅力を持ち合わせていながら、それでいて一般的な機械式駐車場にも入れることができる「全幅1800mm以下」のオススメモデル5車種をピックアップしたいと思います。
 

トヨタ クラウン▲写真は新型クラウンのインテリア。これを入手するに越したことはないのですが、無理なものは無理ということで、「代わり」を探してみましょう!
 

新型クラウンの代わり①|メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代・現行型)
→想定予算:総額280万~530万円

トヨタ クラウンとおおむね同格となるドイツ車は、メルセデス・ベンツで言うとEクラスかCクラス、BMWで言うなら5シリーズか3シリーズでしょう。とはいえ最近はどの国の車も大柄になっているため、現行型のそれらはすべて全幅1800mm以上です。

しかし「現行型メルセデス・ベンツ Aクラスセダン」であれば、そのボディサイズは全長4560mm×全幅1800mm×全高1445mm。一般的な立体駐車場にばっちり収容できる寸法です。
 

メルセデス・ベンツ Aクラスセダン▲こちらが現行型メルセデス・ベンツ Aクラスセダン

現行型メルセデス・ベンツ Aクラスセダンは2019年7月に上陸した、AクラスやBクラスと同じ前輪駆動プラットフォームをベースとするコンパクトセダン。主なパワーユニットは最高出力136psの1.3L直4ガソリンターボの他、同224psの2L直4ガソリンターボと、同150ps/最大トルク320N・mとなる2L直4ディーゼルターボの3種類をラインナップしています。

新型クラウンの購入を考えていた人からすれば「ベンツとはいえFFで、しかもプラットフォームはAクラスかぁ……」と、やや残念に思うかもしれません。しかし全長以外の寸法は先代のクラウンとおおむね同一であり、FFとはいえ走行フィールの良さはかなりのモノ。また「最新世代のメルセデス・ベンツである!」という点においても、新型クラウンに勝るとも劣らぬ満足感を、オーナーに与えてくれるでしょう。
 

Aクラスセダン▲なかなかの上質感があるAクラスセダンのインテリア。インフォテインメントシステムは、音声かまたはセンターコンソールのタッチパッド付きコントローラーで操作する
 

とはいえ1.3L直4ガソリンターボの「A180」では、「新型クラウンの代わり」としてはやや物足りない感じもあります。そのためここは2Lガソリンターボの「A250」か、2Lディーゼルターボの「A200d」を選ぶべきかもしれません。

その場合であっても走行1万km台までの低走行物件を、総額280万~530万円のレンジで容易に見つけることが可能です。
 

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新型クラウンの代わり②|アウディ A3セダン(初代)
→想定予算:総額200万~420万円

メルセデス・ベンツ Aクラスセダンが選択肢としてアリなら、よく似た存在である「アウディ A3セダン」でもいいのかもしれません。
 

アウディ A3セダン▲こちらが先代アウディ A3セダン

といっても、2021年5月に登場した現行型のA3セダンは残念ながら(?)全幅1815mmになってしまったのですが、2014年から2021年まで販売された先代であれば、ボディサイズは全長4465mm×全幅1795mm×全高1405mm。こちらもAクラスセダンと同様、一般的な立体駐車場に収容可能です。

上陸当初のパワーユニットは、最高出力122psまたは140psの1.4Lガソリンターボと、同180psの1.8Lガソリンターボ。2017年1月のマイナーチェンジ時には、1.8Lターボに代わって同190psの2Lターボが採用されました。
 

アウディ A3セダン▲水平基調のダッシュボードや丸型のエア吹き出し口、そして電動格納式の液晶モニターなどにより、いかにもアウディらしい「すっきりとした上質さ」が表現されているインテリア
 

「新型クラウンの代わり」として先代アウディ A3セダンを考えるのであれば、マイナーチェンジ後の2Lターボ搭載グレードである「2.0 TFSIクワトロ」および「40 TFSIクワトロ」か、もしくは、より強力な2L直4ターボエンジンを搭載するスポーツモデル「アウディ S3セダン」が適任かもしれません。ちなみにS3セダンのエンジンスペックは前期型が最高出力285psで、2017年1月以降の後期型が290psです。
 

アウディ A3セダン▲こちらはハイパフォーマンスバージョンである「アウディ S3セダン」の先代モデル

新型クラウンシリーズと比べると「かなり小ぶりな感じ」であることは否めない先代アウディ A3セダンまたはS3セダンですが、内外装の上質感や運転支援システムのレベルなどは決して負けていません。

そして何より「全幅1795mm」というのは、今の時代にあっては稀有なサイズ感ですので、プレミアムなコンパクトセダンがお好きな人であれば、きっと気に入るのではないかと思われます。
 

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新型クラウンの代わり③|スバル レヴォーグ(2代目・現行型)
→想定予算:総額320万~480万円

いわゆる車格としては新型クラウンと若干釣り合わないかもしれませんが、「全幅1800mm以下であり、なおかつ上質な走りも堪能できる車」としては、現行型スバル レヴォーグも候補になります。
 

スバル レヴォーグ▲全幅1795mmのステーションワゴン、現行型スバル レヴォーグ

ご承知のとおりスバル レヴォーグは、北米市場の嗜好に合わせてどんどん大柄になっていったレガシィ ツーリングワゴンとは異なる「日本の道にジャストフィットするサイズ感」を売りとするステーションワゴン。具体的なボディサイズは全長4755mm×全幅1795mm×全高1500mmで、こちらも一般的な立体駐車場に収めることができます。

現行型スバル レヴォーグはトヨタ クラウンシリーズと直接競合するタイプの車種ではないため、いわゆる内装の高級感みたいな部分に関しては、もちろんクラウンの方が一枚も二枚も上手です。しかし、レヴォーグはスバルの中では「上から2番目ぐらい」のポジションとなる車であるため、特に「STIスポーツ」というグレードであれば、インテリアのしつらえは十分に上質です。
 

スバル レヴォーグ▲写真は「STI Sport Black Interior Selection」のインテリア

そしてSTIスポーツでは、ザックス製の電子制御ダンパーも標準装備。ドライブモードを「Comfort」に設定すれば、クラウンも真っ青の(?)快適な乗り味が堪能できますし、逆に「Sport」または「Sport+」にすれば、スポーツカーに近いレベルの加速やコーナリング性能を味わうことも可能です。

「クラウンの代わり」として特にオススメなのは、最高出力275psの2.4Lターボエンジンを搭載する「STIスポーツR」ですが、同177psの1.8Lターボを搭載する「STIスポーツ」でも、十分といえば十分。ちなみにグレード名に「EX」と付いているグレードであれば、ハンズオフ運転が可能になる「アイサイトX」も付帯しています。

「立体駐車場に入れられる新型クラウンの代わり」としては、かなり悪くない選択肢ではないでしょうか。
 

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新型クラウンの代わり④|BMW 1シリーズ(4代目・現行型)
→想定予算:総額440万~720万円

ここまでは新型クラウンシリーズに(ある程度)近いサイズ感となる車種の中から「代わり」を探してまいりました。しかしこの際ですから立体駐車場問題をひとつのきっかけにして、もっと思い切った「ダウンサイジング」をしてみてのいいのかもしれません。例えばですが比較的小ぶりな「ハッチバック」に、愛車をズバッと切り替えてみるのです。

とはいえ、安価でチープな作りのハッチバックでは「新型クラウンの代わり」にはなり得ないため、ここはやはり「新型BMW 1シリーズ」の出番でしょう。
 

BMW 1シリーズ▲昨年10月に発売されたばかりの現行型BMW 1シリーズ

2024年10月に上陸したばかりの新型(現行型)BMW 1シリーズは、全長4370mm×全幅1800mm×全高1500mmのプレミアムコンパクト。

ボディサイズは、エントリーモデル「BMW 120」の値で全長×全幅×全高=4370×1800×1465mmと、先代に対してほぼ同一。ホイールベースは据え置きの2670mmとなっている。FFプラットフォームを採用しつつも、視覚的に長いノーズなどは非常にスポーティな印象であり、メーターパネルとセンターディスプレイを一体とした「BMWカーブドディスプレイ」などもモダンで素敵です。
 

BMW 1シリーズ▲「BMWカーブドディスプレイ」を採用するとともにシフトレバーを廃止し、操作系のスイッチ類はセンターコンソールに集約された
 

パワーユニットは、最高出力156psの1.5L直3ターボエンジンに同20psのモーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムと、同300psを発生する2L直4ターボエンジンの2本立て。そして登場したばかりの最新世代であるため、ハッチバックといえども運転支援システムは最新のモノがばっちり標準装備です。

そしてその中古車は早くも登場しており、1.5L直3ターボ+マイルドハイブリッドの「120i」は総額440万~550万円、2L直4ターボの「M135 xドライブ」は同610万~720万円付近で見つけることができます。
 

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新型クラウンの代わり⑤|トヨタ オリジン(初代)
→想定予算:総額390万~880万円

ここまで様々な「新型クラウンシリーズの代わり」を提案してまいりましたが、我ながら今ひとつしっくりきていません。やはりトヨタ クラウンというのは良くも悪くも強烈な個性と伝統を持つシリーズであるため、その代役は「クラウン」にしか務まらないのでしょう。

とはいえ現行型を買うのは全幅の関係で難しいですし、かといって先代や先々代のクラウンを買うというのも、最新世代のクラウンシリーズに興味がある人にとっては「今さら感」が強いはずです。

であるならば、いっそのこと「トヨタ オリジン」はどうでしょうか?
 

トヨタ オリジン▲初代クラウンをデザインモチーフとし、1000台限定で発売された「トヨタ オリジン」

トヨタ オリジンは、トヨタ自動車の国内生産累計1億台達成を記念して2000年11月に1000台が限定発売されたメモリアルカー。ベースとなったのは「トヨタ プログレ」ですが、デザインモチーフは1955年に発売された初代トヨタ クラウン。観音開きのドアや大型のフロントグリル、縦長のリアコンビネーションランプなどにより、初代クラウンのイメージがほぼ完全に再現されています。

ちなみにその製造は、トヨタの最高級車種である「センチュリー」の生産ラインに携わる選りすぐりのクラフトマンによって行われました。
 

トヨタ オリジン▲初代クラウン同様の「観音開きのドア」を再現。そして複数のパネルを組み合わせてリアフェンダーを形成している
トヨタ オリジン▲インテリアが「ほぼプログレ」なのは若干残念なところだが

ボディサイズは全長4560mm×全幅1745mm×全高1455mmという「立体駐車場に収まる寸法」で、パワートレインは最高出力215psの3L直6自然吸気エンジン+電子制御4速AT。今となっては特にコメントすべきこともない昔ながらのスペックですが、こと「存在感」に関しては、最新のクラウンシリーズ以上であると断言していいでしょう。

数は多くありませんが、いちおう平均価格515.4万円にて10台ほどが流通しています。新型クラウンの代わりとして、そして「周囲とほぼ絶対に被らない車」として、ご興味が湧いた方はぜひチェックしてみてください。
 

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文/伊達軍曹 写真/尾形和美、トヨタ、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、スバル
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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