ウラカン

「とにかくかっこいい車」をタイプ別に一挙紹介!

車にとって性能や実用性はもちろん大切な要素でしょう。しかし、世の中には「いや、自分は性能うんぬん以上に“かっこよさ”を大事にしたいのだ!」と考えている人も決して少なくないはず。

そこでこの記事では、「かっこいい」を「スタイリッシュ」「ゴツい&イカつい」「クラシカルで渋い」という3つの方向性に分け、超絶独断でセレクトした合計30モデルの「とにかくかっこいい(と思える)車」を一挙紹介します!
 

 

目次

 

そもそも「かっこいい車」とは?

「かっこいい車」と言われても、その定義はきわめて曖昧である。ある人は、霧に煙る港町にたたずむ2シータークーペを見て「うおっ、かっこいい!」と感じるかもしれないし、また別のある人は、「収穫したサトイモを満載して農道を走る軽トラこそがかっこいいのだ!」的な美意識を持っているかもしれない。要するに、その定義は十人十色である――ということだ。

だが、それを承知のうえであえて定義づけをしてみるとしたら、以下のとおりとなるだろう。

「かっこいい車=最大公約数的なフォルムから、不必要なほどに逸脱している車」
 

ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)▲……例えばこんな車だ! 写真はランボルギーニ アヴェンタドール(初代)

車というものを「便利で経済的な移動手段」と考える場合、そのフォルムは、今現在の主流である「ちょっとだけ丸みを帯びた箱型の車」に集約する。それが人と荷物をなるべく効率的に載せたうえで、なるべく効率的に燃料(または電気)を使って走らせるための“最大公約数”的なフォルムだからだ。

人は、そういった最大公約数的な車に対して「あぁ便利だ!」と思うことはあっても、「あぁ、なんてかっこいいんだ!」と思うことはあまりない(希に、そう感じる人もいるかもしれないが……)。

人が「あの車、かっこいいかも!」と感じるのは、最大公約数的フォルム=便利で効率的な形状から大きく逸脱している車を見たときだ。

どう考えても人員は乗せにくいだろう、低く構えたフォルムのクーペ。「……戦争にでも使うのか?」と思ってしまうほどゴツいSUV。現代社会の効率性や安全観をまるで無視したうえで存在している、クラシックな車。

他にもあるかもしれないが、これらのような「合理性からの逸脱」に成功(?)している車を、人間の目と心は「かっこいい!」と認識するのである。
 

 

「かっこいい車」を3つにタイプ分けすると?

前項では思わずやや観念的な話になってしまったが、もっと端的に「かっこいい車にはどんなタイプがあるか?」と考えるなら、主には下記の3タイプが代表的なものとなるだろう。

Aタイプ:スタイリッシュ系(都会的、高級感がある)

フェラーリやランボルギーニ、あるいは日産 フェアレディZなどに代表される「ワイド&ローフォルムのスタイリッシュなスポーツカー」は、「かっこいい車」の代表格だろう。

またワイド&ローなフォルムではなくても、トヨタ ハリアーのような「流線型を意識したフォルムの車」は、スタイリッシュであると認識されやすい。
 

フェラーリ▲このような「地を這う流線型フォルム」に、多くの人は「……よくわからないがとにかくかっこいい!」という印象を覚える場合が多い。写真はフェラーリ 458イタリア(初代)
ハリアー▲写真はトヨタ ハリアー(4代目)

Bタイプ:ゴツい&イカつい系(迫力がある、ワイルド)

ワイド&ローとは対極的なフォルムだったとしても、そこに強烈な「ゴツさ」と「迫力」がある場合、ある種の人はそこに「かっこよさ」を見いだす。

具体的にはメルセデス・ベンツ Gクラスやジープ ラングラーなどであり、セダンであっても日産 プレジデントのような四角くデカい車は、このタイプのかっこよさに該当してくる。
 

ディフェンダー▲「強そうなもの」に憧れを抱くのは人間の本能だろうか? 写真はランドローバー ディフェンダー(2代目)

 

Cタイプ:クラシカル&渋い系(古くて洗練、ツウっぽい)

基本的には「古い」というただそれだけでも、車というのはなんとなく渋さとツウっぽさが付帯してくるため、ほぼ自動的に「かっこいい(またはカワイイ)」と認識される。

とはいえ、そこにさらに“美しさ”も加われば鬼に金棒である。具体的には1970年代のいすゞ 117クーペなどが、それに該当するだろう。
 

タイプⅠ▲こちらは往年のフォルクスワーゲン タイプⅠ(通称ビートル)。こういった古い車は、ただそこにあるだけで「何やらかっこいい」「妙にカワイイ」と思えてくるケースが大半だ
ミニ▲写真はローバー ミニ(初代)

ではこれから、それぞれのタイプ別に「かっこいい車」を10モデルずつ紹介していこう!
 

 

スタイリッシュ系 かっこいい車ベスト10

まずは都会的で高級感がある「スタイリッシュ系」のかっこいい車10モデルをご紹介しよう。クールにキメたいあなたにオススメのセレクトだ。
 

 

1:日産 フェアレディZ(RZ34型)

●中古車流通台数:約20台
●中古車価格:総額780万~1300万円
●新車時価格:524.2万~696.6万円
 

Aクラスセダン▲こちらが2022年夏に発売となった現行型日産 フェアレディZ
 

ロングノーズ、ショートデッキ、ハッチゲートをもつファストバックスタイル、鮮やかなボディカラー、スポーツマインドを感じさせるが、過度に武闘派すぎないニュアンスのインテリアデザイン――など、スタイリッシュ系スポーツクーペのお手本ともいえる1台。

古典へのオマージュとリスペクトを前面に出しつつも、決して「単なる懐メロ」ではなく、きちんと「現代社会をリアルに生きるサムシング」として作られている点が、2022年夏に誕生したこの車のかっこよさの本質だ。
 

Aクラスセダン▲古典とモダンが融合したニュアンスがあるフェアレディZのインテリア

あまりにもスタイリッシュゆえに「ジャージ姿で運転できない」「あまりにも人気があるため中古車価格が高い」などの難点(?)はあるが、それでも、このかっこよさに対してなら「人生を棒に振ってもいい!」と思えてしまうほどの、魔力的なかっこよさを秘めた1台である。
 

▼検索条件

日産 フェアレディZ(RZ34型)
 

2:アウディ TT(初代)

●中古車流通台数:約70台
●中古車価格:総額40万~210万円
●新車時価格:470万~562万円
 

Aクラスセダン▲1999年に登場した初代アウディ TT

ドイツのアウディ社が作っている2+2クーペの初代モデルである。

走行性能に関しては、この初代よりも2代目のほうがぜんぜん上で、さらには3代目(現行型)のほうが100倍ほど(?)優秀なのだが、「かっこよさ」だけで言うならば、初代こそが100点満点である。2代目以降もかなりかっこいいのだが、デザインがやや「最大公約数的」に変化してしまったのだ。

その点この初代はバリバリのアバンギャルド(前衛)である。執拗に“円”のイメージを繰り返しているエクステリアデザインはどこか現代アート的であり、アルミ削り出しのパーツを使っているインテリアも渋い。
 

Aクラスセダン▲インテリアにも「円のモチーフ」が多用されている
 

スタイリッシュでありつつ、どことなく「アート方面の造詣も深そうな人」に見えるのが、この初代アウディ TTという車だ。できればフルノーマルでキレイに乗りたい。
 

▼検索条件

アウディ TT(初代)
 

3:フェラーリ 458イタリア(初代)

●中古車流通台数:約40台
●中古車価格:総額2000万~4000万円
●新車時価格:2380万円
 

Aクラスセダン▲4.5L V8エンジンを搭載するフェラーリ 458イタリア
 

こちらも先述のアウディ TT同様に走行性能だけでいえば、後継モデルである488GTBなどのほうが明らかにハイパフォーマンスではある。だが「かっこよさ」については、2015年に販売を終えた3世代前のモデルである458イタリアに軍配が上がるだろう。イタリア車に対して「軍配」という単語を使うのが適切かどうかはさておき。

後継モデルである488GTBと、こちら458イタリアとのデザイン上の差異は「微妙に違うだけのような気もするし、大きく違うような気もするし……」という、なんとも微妙なものだ。

この微妙さは「誰がデザインしたのか?」という部分に負っているのだろう。458イタリアが、それまでフェラーリの市販車をデザインしてきたイタリアの名門カロッツェリア「ピニンファリーナ」の手によるデザインであるのに対し、488GTBはフェラーリ社の内製だ。
 

フェラーリ▲運転席はジェット戦闘機のコックピットのよう?
 

「微妙なタッチの違い」が結果に大きな影響を与えるというのは、車のデザインも絵画も書も同じこと。「アグレッシブなのだが、同時に可憐でもある」という絶妙なタッチは、やはりピニンファリーナならではのものだったのだろう。
 

▼検索条件

フェラーリ 458イタリア(初代)
 

4:ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)

●中古車流通台数:約60台
●中古車価格:総額3900万~1億1000万円
●新車時価格:4100.3万~5670.3万円
 

Aクラスセダン▲6.5Lの超強力なV12エンジンを搭載するランボルギーニ アヴェンタドール
 

あまりにも高額な車ゆえ紹介するのもはばかられるが、「スタイリッシュ系のかっこいい車」といえば、これを省略するわけにもいくまい。イタリアンスーパーカーにおいてはフェラーリと対を成すもう一方の雄、ランボルギーニのV12エンジン搭載モデルである。

「スーパーカー」という概念を煮しめてカタチにしたようなフォルム。人間の、主に男性が本能的に有している「攻撃性」のようなものを、ある種の美として昇華させたかのようなたたずまい。そして上方に向かってズサッと開くシザーズドア。

……まぁ多くの言葉は必要あるまい。とにかく「スーパーカー」の化身であり、権化である。一番安いモノでも総額4000万円近くになるそのプライスも、ある意味かっこいい。
 

Aクラスセダン▲こちらのコックピットもジェット戦闘機的だ

▼検索条件

ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)
 

5:トヨタ GR86(初代)

●中古車流通台数:約210台
●中古車価格:総額300万~600万円
●新車時価格:279.9万~363.2万円

 

トヨタ GR86(初代)▲「トヨタ 86」の後継モデルにあたるトヨタ GR86

ランボルギーニ アヴェンタドールという、購入検討対象としてはあまりにも非現実的なモデルを紹介してしまったから――というわけでもないのだが、こちらトヨタ GR86は、スタイリッシュ系のかっこいい車の中ではかなりリーズナブルであり、それでいて「安っぽさ」みたいなものは感じさせない秀逸な存在だ。

前身にあたるトヨタ 86(2012~2021年)は、失礼ながら「一部に子供っぽさが感じられるデザイン」であると個人的には思っていたが、現行型であるGR86は大人の鑑賞眼に耐えうるスタイリッシュさがあり、どことなくフランスの「アルピーヌ A110」に通じる世界観を持っているように感じられる。
 

トヨタ GR86(初代)▲さすがにフェラーリやランボルギーニほどの「戦闘機感」はないが、なかなか硬派でカッコよく仕上がっているGR86の運転席まわり

とはいえ、下品な運転や下品な改造をすると途端にガキっぽくなってしまう可能性はあるが、キレイめに乗りこなせば、きわめてスタイリッシュに見えるはず。そしてコスパ(要は中古車価格)も、スポーツカーとしてのクオリティから考えればきわめて高い。
 

▼検索条件

トヨタ GR86(初代)
 

6:アルピーヌ A110(2代目)

●中古車流通台数:約35台
●中古車価格:総額680万~1000万円
●新車時価格:790万~2400万円
 

Aクラスセダン▲こちらがフランスのアルピーヌ A110
 

前項にて「トヨタ GR86は、どこかアルピーヌ A110に近いスタイリッシュさがある」との旨申し上げたが、並べてみれば、やはりアルピーヌのほうがよりスタイリッシュであるように思う(※異論は認めます)。

伝説のフレンチスポーツカー「アルピーヌ A110」が40年の時を経て復活した本作は、初代のイメージを忠実になぞりつつも、それだけでは終わらない“現代感”を標準装備。ドイツや日本のスーパースポーツとは趣きが異なる「やわらかさ」のような部分も、このフレンチスポーツのかっこよさを引き立てている。また、「あまり多くの数が走っていない」という希少性も、ある種のユーザーにとっては満足感につながるポイントであろう。
 

Aクラスセダン▲ドア内張りやシートサイドの柄のセンスの良さに、たまらなく「フランス」を感じる
 

決して安い車ではないが、総額680万円~という中古車価格は、少なくとも「現実的」ではある。
 

▼検索条件

アルピーヌ A110(2代目)
 

7:マツダ ロードスター(ND型)

●中古車流通台数:約610台
●中古車価格:総額140万~540万円
●新車時価格:249.5万~342.2万円
 

マツダ ロードスター(ND型)▲「ND」という型番で呼ばれる場合が多い4代目のマツダ ロードスター

「現実的なプライスで、なおかつスタイリッシュなスポーツカー」という意味では、コレも絶対に外せない。日本が世界に誇る軽量オープン2シータースポーツであるマツダ ロードスターの、現行モデルである。

マツダ ロードスターのデザインは2代目(1998~2005年)の際にやや迷走したような印象もあるが、2015年5月に登場した現行型4代目は、まさに「スタイリッシュなスポーツカーのお手本」と言いたくなるデザインに軌道修正。

地をはうような構えと、ロングノーズ&ショートデッキ。そしてシャープかつアグレッシブではあるのだが、どこか柔らかさも感じさせる顔つきなどは、日本が世界に誇れる“宝”と言っていい。
 

マツダ ロードスター(ND型)▲スポーティかつ硬派でありながら、色気も感じられるインテリア

また、「固定屋根がない」「2人しか乗れない」といった“潔さ”も、この車のかっこよさを本質的に成り立たせている要素だ。中古車価格は、比較的低走行なモノでも総額約180万円から。……これはもう買うしかあるまい!
 

▼検索条件

マツダ ロードスター(ND型)
 

8:ランドローバー レンジローバーイヴォーク(初代)

●中古車流通台数:約250台
●中古車価格:総額190万~550万円
●新車時価格:450万~855万円
 

レンジローバーイヴォーク(初代)▲こちらが初代ランドローバー レンジローバー イヴォーク。写真の5ドアの他に3ドアもある

ここまではスポーツカーのみを挙げてきたが、当然ながら「スタイリッシュで都会的」という概念はスポーツカーの専売品ではなく、流麗なデザインのSUVにも当てはまるものだ。いや、近年ではむしろSUVのほうが、古典的なスポーツカーよりも「断然スタイリッシュ!」とされる場合のほうが多いだろう。

そしてスタイリッシュなSUVというのはたくさんあるわけだが、代表的なのがコレだろうか。英国発祥のランドローバーブランドが製造販売しているコンパクトSUVの初代モデルだ。

この車のデザイン上のキーワードは要するに「クーペとSUVの融合」という近年ありがちなものだが、それをここまで上手に、そして美しくやりとげた例は、筆者は寡聞にして知らない。ランボルギーニ アヴェンタドールが「スーパーカーという概念の権化」であるならば、レンジローバー イヴォークは「スタイリッシュという概念の化身」であると言えるだろう。
 

レンジローバーイヴォーク(初代)▲写真は2013年末以降の、ATが9速になった世代のインテリア

2019年5月に発売された2代目のほうがよりスタイリッシュ(というか、より都会的)かもしれないが、あちらはまだ中古車価格もかなり高く、またデザインにおいて“大差”があるわけでもない。初代の状態良好な中古車で十分以上だ。
 

▼検索条件

ランドローバー レンジローバーイヴォーク(初代)
 

9:トヨタ ハリアー(4代目)

●中古車流通台数:約2300台
●中古車価格:総額280万~730万円
●新車時価格:299万~620万円
 

トヨタ ハリアー(4代目)▲都会派SUVとして大いに売れている現行型トヨタ ハリアー

「スタイリッシュさ」という観点だけでいえば、さすがにレンジローバー イヴォークにはかなわない部分も多いが、こちらトヨタ ハリアーの現行型も「都会的で上質なスタイリッシュ感」を強く感じさせる1台だ。

エクステリアは「スタンスのよいプロポーション」が重視されており、従来モデルより若干ロー&ワイド、そしてロングに変化。細部では、フロントまわりの薄いアッパーグリルと“切れ長”のヘッドランプに連続性をもたせることで、精悍かつシャープなイメージが強調されている。
 

トヨタ ハリアー(4代目)▲現行型ハリアーのインテリアはおおむねこのような世界観

希少性に欠けるのはややマイナスとなるポイントだが、そこさえ気にならないのであれば、ジャパニーズSUVとしてはトップレベルに「スタイリッシュでかっこいい!」と感じられるだろう。
 

▼検索条件

トヨタ ハリアー(4代目)
 

10:マツダ CX-5(2代目)

●中古車流通台数:約2500台
●中古車価格:総額140万~440万円
●新車時価格:246.2万~417万円
 

マツダ CX-5(2代目)▲2代目のマツダ CX-5。初代と違って切れ長の目が美しい

ジャパニーズSUVの中では、こちらのモデルもかなりかっこいい。ご存じマツダのミドルサイズSUVの第2世代である。

2012年に発売された初代CX-5は、スタイリッシュなデザインであることを身上とする近年のマツダにしては、正直やややぼったいデザインであるようにも思えたが、2016年12月登場のこちら2代目はスーパースタイリッシュ。

「魂動デザイン」はより高い領域へと引き上げられ、艶やかさと精悍さを融合させたエクステリア、そして並み居る欧州車のセンスに決して負けていないインテリアは、「都市で映えるSUVの極致」と言っていいだろう。
 

マツダ CX-5(2代目)▲なんともシュッとしたイメージのインテリア。マツダの車は総じて内装がしゃれている

2021年11月にデザインのリファインを行っているが、カタチ的なかっこよさでいえば前期型でも十分以上。ただし走りの部分に関しては、年式が新しければ新しいほど洗練されている。
 

▼検索条件

マツダ CX-5(2代目)
 

ゴツい&イカつい系 かっこいい車ベスト10

続いては「ゴツい感じ」がたまらなくステキな「ワイルド系のかっこいい車」を10モデル紹介。

その迫力には、どうしたってある種の魅力を覚えずにはいられない!

 

1:ジープ ラングラー アンリミテッド(JK型)

●中古車流通台数:約540台
●中古車価格:総額170万~600万円
●新車時価格:379.1万~468.7万円
 

ジープ ラングラー アンリミテッド(JK型)▲「ジープ ラングラー」としては3代目となる先代のラングラー アンリミテッド

ワイルドなかっこよさが炸裂している車というのはたくさんあるのだが、その中でもナンバーワンを選ぶとしたらコレだろう。米国陸軍が第二次世界大戦時に使用していた軍用車「ジープ」の末裔である。基本となるのは3ドア版、しかし圧倒的に人気が高いのは5ドア版の「アンリミテッド」だ。

2018年11月に登場した現行型のほうが明らかに「運転しやすい」とはいえるのだが、現行型は微妙に丸みを帯びたフォルムに変更されたため、「ワイルド感」という部分はやや減じてしまっている。しかし、先代はあくまで直線基調のハードボイルド系。現代のジープ ラングラーはもはや軍用車ではないわけだが、どこか「軍用車に乗っているかのような気分」になるのは確かだ。
 

ジープ ラングラー アンリミテッド(JK型)▲シンプルで機能的なインテリア。泥道が似合うニュアンスだ

もちろんハードな悪路を走破することも得意とする車だが、舗装路を走っているだけでも、十分なワイルド感にひたることができるだろう。高い中古車はかなり高いが、総額280万円付近のゾーンでもまずまず好条件な1台が見つかるはずだ。
 

▼検索条件

ジープ ラングラー (JK型) × アンリミテッド系
 

2:メルセデス・ベンツ Gクラス(初代)

●中古車流通台数:約340台
●中古車価格:総額390万~2400万円
●新車時価格:793万~1789万円
 

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代)▲先代メルセデス・ベンツ Gクラスの2016年モデル
 

こちらは米国陸軍ならぬNATO(北大西洋条約機構)に制式採用された軍用車の民生版。先代のジープ ラングラー アンリミテッドと同じく、四角四面な「いかにも軍用車っぽいフォルム」と、軍用車ならではの抜群の悪路走破性能が魅力となる。

これも現行型(2018年6月~)のほうが明らかに運転しやすく、各部もかなり現代的かつ快適になっているのだが、フォルムがやや丸っこくなったということもあって、「ワイルド感」という部分では先代に少々劣る。この四角四面な感じこそが、ここでいうかっこよさの源だ。
 

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代)▲初期のインテリアは朴訥としていたが、2016年モデルはなかなかのキラキラ系
 

1990年代や2000年代のモデルは「シンプルでハードボイルドなワイルド系」といった雰囲気だが、2010年代後半のモデルはけっこうキラキラしたセレブ系っぽいビジュアルに変化している。どちらを選ぶのもお好み次第だが、2010年代後半のキラキラ系は中古車価格800万円以上になる場合がほとんどだ。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代)
 

3:ランドローバー ディフェンダー(2代目)

●中古車流通台数:約20台
●中古車価格:総額500万~750万円
●新車時価格:425万~445万円
 

ランドローバー ディフェンダー(2代目)▲先代ランドローバー ディフェンダー。写真は累計生産台数200万台を記念したワンオフモデル

先ほどから軍用車の話ばかりで恐縮だが、こちらは英国のランドローバー社が製造し、各国の軍用車両や警察車両などとして使用されたモデル。ボディのエッジ部分とホイールアーチ以外は曲面というものがほとんどない、あくまでもまっ平らなボディパネルがひたすらワイルドでかっこいい。

……同じ話ばかりしているような気もするが、こちらも現行型はスタイリッシュで運転しやすく、かなり快適な感じに生まれ変わっているのだが、快適でスタイリッシュな分だけ、ワイルドさはやや弱い(といっても、他の一般的なSUVと比べれば現行型ディフェンダーも十分以上にワイルド系だが)。
 

ランドローバー ディフェンダー(2代目)▲こちらも記念ワンオフモデルのインテリア。通常モデルとはデザインなどが異なります

先代の乗り心地ははっきり言ってあまり良くはないが、そこを含めて「自分だけの相棒!」といったニュアンスでワイルドに愛せるはずだ。
 

▼検索条件

ランドローバー ディフェンダー(2代目)
 

4:トヨタ ランドクルーザー70(初代)

●中古車流通台数:約300台
●中古車価格:総額200万~700万円
●新車時価格:173.6万~360万円
 

トヨタ ランドクルーザー70(初代)▲2014年に期間限定で再発売されたトヨタ ランドクルーザー70

現行型のトヨタ ランドクルーザーは「タフなクロカン四駆であると同時に、ラグジュアリーなプレミアムSUVでもある」といった感じの立ち位置になっているが、1984年から2004年まで販売され、その後2014年から2015年にかけても期間限定販売されたこちら“ランクル70”は、まごうことなきヘビーデューティ系。

現行型ランドクルーザー300や、先代であるランドクルーザー200のような快適性はほぼ皆無だが、「見た目的なかっこよさ(ワイルドなかっこよさ)」という点に関しては、こちらランクル70のほうが数倍は上であるように思える(※異論は認めます)。
 

トヨタ ランドクルーザー70(初代)▲なんとも飾り気のないインテリアだが、そこが逆に本質的でかっこいい

本当は往年のディーゼルエンジンを搭載したランクル70がシブいとは思うが、ディーゼル規制の関係で、実際に乗るのはちょっと難しい。そのため、2014~2015年に期間限定で再発売されたガソリンエンジン搭載モデルを選ぶのが定石となる。その場合の予算目安は総額340万~550万円といったところだ。
 

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー70(初代)
 

5:トヨタ FJクルーザー(初代)

●中古車流通台数:約440台
●中古車価格:総額180万~550万円
●新車時価格:314万~349.3万円
 

トヨタ FJクルーザー(初代)▲最初は北米専用モデルだったトヨタ FJクルーザー

FJクルーザーは、2006年3月にトヨタが北米市場に投入したミドルサイズのSUV(※日本で使う分にはかなり大きめ)。往年の「ランドクルーザーFJ40」をイメージしたレトロなスタイルで大人気となり、2010年11月からは日本市場でも販売が始まったクロカン四駆だ。

フレーム構造のボディや車軸式のリアサスペンション、パートタイム式4WDなどを採用したヘビーデューティなクロカン四駆ではあるのだが、そのデザインはレトロでありつつも妙にポップで、そのあたりの良い意味でのアンバランスさが絶妙なかっこよさを生み出している。
 

トヨタ FJクルーザー(初代)▲パートタイム4WDの本格オフローダーゆえ、副変速機が付いている

中古車の流通量は豊富で、価格も上限は高いが、総額280万円前後のゾーンでも十分以上に好条件な1台を見つけることはできる。
 

 

▼検索条件

トヨタ FJクルーザー(初代)
 

6:トヨタ RAV4 アドベンチャー(4代目)

●中古車流通台数:約790台
●中古車価格:総額270万~500万円
●新車時価格:313.7万~450.3万円
 

トヨタ RAV4 アドベンチャー(4代目)▲現行型トヨタ RAV4。写真は特別仕様車である「アドベンチャー オフロードパッケージ」

FJクルーザーやランドクルーザー70などのラダーフレーム構造となる本格四駆だと、さすがに乗り心地の面でちょっと……という場合は、モノコックボディとなるこちらでどうか? といっても、通常の現行型トヨタ RAV4は、いい車ではあるものの「ワイルド感」がいささか乏しいのが難点(?)ではある。

しかし、2019年4月のデビュー当初からガソリン車には設定されていた「アドベンチャー」というフロントフェイスが異なるグレードであれば、まずまずワイルド系なアピアランスを堪能できる。特に「アーバンカーキ」というボディ色であれば、ちょっとゴツめなワイルド感が強調されるだろう。
 

トヨタ RAV4 アドベンチャー(4代目)▲写真はアドベンチャー オフロードパッケージのインテリア。内装に関しては正直ワイルド感に欠ける

また、2020年10月に発売された「アドベンチャー オフロードパッケージ」という特別仕様車は、ブリッジ型ルーフレールや18インチのオールテレインタイヤ、マットブラック塗装が施されたアルミホイールなどによる「さらなるワイルド感」が味わえる仕様だ。

ちなみに2021年12月には、ハイブリッド車にも「アドベンチャー」が追加されている。
 

▼検索条件

トヨタ RAV4 (4代目) × アドベンチャー
 

7:キャデラック エスカレード(3代目)

●中古車流通台数:約30台
●中古車価格:総額630万~1000万円
●新車時価格:1149万~1416万円

キャデラック エスカレード(3代目)▲アメリカンフルサイズSUVであるキャデラック エスカレード。写真は先代モデル

「いやいや、RAV4なんか……と言っては失礼だが、とにかく自分はRAV4クラスではなく、もっとドドーンとビッグで超絶大迫力なSUVに乗りたいのだ!」とおっしゃるのであれば、コレしかないだろう。アメリカンラグジュアリーフルサイズSUVの最高峰、キャデラック エスカレードである。

現行型エスカレードは中古車でもまださすがに総額1500万円以上が相場となるが、2015年から2020年まで販売された先代モデルであれば、総額630万円からというまずまず現実的な予算で探すことが可能だ。
 

キャデラック エスカレード(3代目)▲写真では伝わりづらいかもしれないが、運転席もとにかく広い!

この車は全長:5195mm × 全幅:2065mm × 全高:1910mmとなる巨大なボディと巨大なフロントグリルも、そして最高出力426psの6.2L V8 OHVエンジンもとにかく「存在感として強烈すぎる!」といったニュアンスであるため、逆にオラオラ系な運転などする気も起きなくなる。

周囲の車に進路を快く譲りながら、ゆったりとした気分とペースで走っているこの車とこの車のドライバーは、かなりかっこいい存在といえるだろう。
 

▼検索条件

キャデラック エスカレード(3代目)
 

8:トヨタ センチュリー(2代目)

●中古車流通台数:約70台
●中古車価格:総額80万~410万円
●新車時価格:925万~1253.8万円

トヨタ センチュリー(2代目)▲国産車唯一の「V12エンジン」を搭載していた先代トヨタ センチュリー

「大迫力のワイルド系」というと、ついついキャデラック エスカレードのようなフルサイズSUVや本格クロカン四駆をイメージしてしまうが、当然ながらその他のボディタイプにも「大迫力のワイルド系」は存在している。例えば先代のトヨタ センチュリーだ。

トヨタ センチュリーは、ご存じのとおり大企業の重役さんが運転手付きで乗るタイプの超ラグジュアリーセダン。その現行モデルはV8エンジンをベースとするハイブリッド車に生まれ変わってしまったわけだが、2017年2月まで販売されていた先代のセンチュリーは、国産車唯一のV12エンジンを搭載するド迫力な1台だった。

ちなみにボディサイズのほうも全長:5270mm × 全幅:1890mm × 全高:1474mmと、なかなかのド迫力である。
 

トヨタ センチュリー(2代目)▲1997年モデルの運転席。なんともゴージャスというか、重厚な雰囲気だ

本来は運転手さんが運転する類の車ではあるが、これをプライベートカーとして使用している人もけっこういて、5L V12エンジンのパワーとトルク、そして静けさはとにかく超絶レベルであるとのこと。そして中古車は、安い部類のモノであれば総額100万円前後から探すことも十分可能なのだ。
 

▼検索条件

トヨタ センチュリー(2代目)
 

9:日産 プレジデント(3代目)

●中古車流通台数:約35台
●中古車価格:総額80万~280万円
●新車時価格:597万~916万円

日産 プレジデント(3代目) ▲こちらが3代目の日産 プレジデント

「トヨタ センチュリー的車の日産バージョン」といえるのが、同じくショーファードリブンカーである日産 プレジデントだ。

といっても、2003年から2010年まで販売された最終型(4代目)のプレジデントは「日産 シーマ」とコンポーネンツを共用するモデルになったのだが、1990年から2003年まで販売された3代目は、完全オリジナルの超高級サルーン。

さすがにエンジンは先代トヨタ センチュリーのようなV12ではないが、4.5L V8エンジンのパワーとトルクは(当然ながら)十分以上であり、全長:5225mm × 全幅:1830mm × 全高:1425mmというボディサイズから生まれる迫力もかなりのもの。
 

日産 プレジデント(3代目)▲3代目プレジデントの運転席まわりはこんな感じ

それでいて中古車は(実は)総額80万円程度から狙えてしまうというのも、この車の面白いところだ。
 

▼検索条件

日産 プレジデント(3代目)
 

10:ロールスロイス ゴースト(初代)

●中古車流通台数:約50台
●中古車価格:総額1300万~3400万円
●新車時価格:2940万~4118万円

ロールスロイス ゴースト(初代)▲初代ロールスロイス ゴースト。サイズもすごいが、とにかく存在感と高級感がものすごい!

「いやいや、センチュリーもプレジデントもまだ甘い! 自分はさらなる頂点を目指したい!」というのであれば、狙うべきは英国の「ロールスロイス」になるだろうか。中古車市場では様々なロールスロイス車が販売されているが、その中でも流通量が比較的豊富で、価格も比較的安価(?)なのが初代ロールスロイス ゴーストだ。

ロールスロイス ゴーストは、同社の最上級セダンであるファントムをひと回りコンパクトにしたというニュアンスの1台。もちろんコンパクトといっても、それは「ロールスロイスの基準で言えば」であって、実際のボディサイズは全長:5400~5570mm × 全幅:1950mm × 全高:1550mmと、トヨタ センチュリーよりも大きいぐらいなので、心配はいらない。
 

ロールスロイス ゴースト(初代)▲「贅沢」という概念を車の形で表現したかのような、ゴーストのインテリア

そして搭載エンジンは、最高出力570psの6.6L V12ターボ。……まるで雲の上を滑るかのような乗り心地を誇るロールスロイス ゴーストを「ワイルド系」と呼んでいいものかどうかはさておき、他のすべてを圧倒するほどの存在感を備えた「大迫力の1台」であることだけは間違いない。
 

▼検索条件

ロールスロイス ゴースト(初代)
 

クラシカル&渋い系 かっこいい車ベスト10

特別スタイリッシュなわけでも、ド迫力ボディじゃないとしても、妙にかっこよくて渋く見えるのが「クラシカルな車」。

最後は、レトロなイメージがたまらなくかっこいい10モデルを紹介します!
 

 

1:ローバー ミニ(初代)

●中古車流通台数:約350台
●中古車価格:総額80万~400万円
●新車時価格:139万~249万円
 

ローバー ミニ(初代)▲「ミニクーパー」という、ちょっと間違った俗称で呼ばれることも多い元祖ミニ

ドイツのBMWが作っている現行世代のミニもおしゃれな車ではあるが、「渋さ」に関しては、英国製のこちらのほうが数十倍は強烈だ。1959年から2000年まで一度もフルモデルチェンジされることなく作り続けられた、コンパクトカーの世界的傑作である。

英国トラッドなニュアンスの衣服および靴を着用して乗るように心がければ完璧だが、そこまでしなくても、普通にきれいめなファッションでこれに乗るだけで、どこからどう見ても“粋人”に見えてしまうはずだ。

このクラシカルな感じ(というか1959年頃ほぼそのままの、リアルクラシックな感じ)とこの“小ささ”は、他の車では絶対に出せない味である。
 

ローバー ミニ(初代)▲全長3075mmでしかないのだが、車内は意外と広く使うことができる

とはいえ、車内は意外と広く……いや決して広くはないのだが、大柄な人が乗っても、なぜかあまり窮屈ではない。近年は中古車価格が上がってしまっているが、まだまだ「現実的な価格」の範囲内ではある。
 

▼検索条件

ローバー ミニ(初代)
 

2:いすゞ 117クーペ(初代)

●中古車流通台数:約20台
●中古車価格:総額190万~410万円
●新車時価格:172万円~
 

いすゞ 117クーペ(初代)▲イタリアの巨匠ジウジアーロがデザインした美しき国産車、いすゞ 117クーペ

「クラシカルでおしゃれな車」というと、ほぼ自動的に輸入車(特に欧州車)が連想されるかもしれないが、我がニッポンにも主に1970年代、超絶おしゃれでかっこいい車が存在していた。世界的な工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインを担当した、いすゞの乗用車である117クーペだ。

車全体のフォルムがとにかくかっこいい車だが、前後のホイールアーチに呼応してうねるフェンダーのラインは特に、現代の車ではほぼ絶対に味わえない“美”にあふれている。この美しい車を、カーマニアっぽい感じではなくさらりと自然体に乗りこなせたら、それはもう「死ぬほどかっこいい!」としか言いようがないだろう。
 

いすゞ 117クーペ(初代)▲世代によって細部は異なるが、インテリアはおおむねこのようなデザイン

古い車なので当然ながらメンテナンスフリーではないが、この車を専門に扱っているショップを頼れば、意外と普通に維持することも可能だ。
 

▼検索条件

いすゞ 117クーペ(初代)
 

3:ボルボ 240エステート(初代)

●中古車流通台数:約50台
●中古車価格:総額140万~300万円
●新車時価格:393万~418万円
 

ボルボ 240エステート(初代)▲基本設計は1960年代までさかのぼることもできるボルボ 240エステート

いすゞ 117クーペもかなりステキだが、「さすがにちょっと古すぎる」と感じる場合にはコレでどうか? 1974年発売と設計は古いが、1993年まで新車販売が続いていたボルボのステーションワゴン、240エステートだ。

もちろん細かな変更点はあるものの、メカニズムとデザインの基本は1970年代のそれが最後まで不変であったため、「クラシカル」というよりも「リアルクラシック」であるという点が、まずはこの車の魅力となる。
 

ボルボ 240エステート(初代)▲インテリアは非常にシンプル。それが、かえって渋い

それに加えて、なんだかんだの改良を加えながら1993年まで基本的な形は変えずに製造と販売が続いたため、「まあまあ新しい年式の車両を買うことができる」というのも、ボルボ 240エステートという車の大きな魅力だ。
 

▼検索条件

ボルボ 240エステート(初代)
 

4:シトロエン 2CV(初代)

●中古車流通台数:約10台
●中古車価格:総額190万~240万円
●新車時価格:―
 

シトロエン 2CV ▲そもそもは1940年代のフランス農民のために開発されたシトロエン 2CV

前掲のボルボ 240エステートもシーラカンス的な車だが、よりシーラカンス度が高いのがこちら、フランスのシトロエン 2CVだ。最初の発売はなんと1948年。そこから1990年まで、基本設計と基本的なカタチを変えずに製造と販売が続けられた1台である。

ボーダーの長袖Tシャツやツイードのジャケットなどを着用しつつこの車に乗るのは「おしゃれの極み」と言える行為だが、問題は「今の交通環境で、基本設計が1948年だった車を普通に安全に乗れるのか?」ということだ。
 

シトロエン 2CV ▲このレトロ感というか、“感”ではない本当のレトロさが思いっきり渋い。ちなみに4MTのギアチェンジはシフトレバーを押したり引いたりして行う

結論を申し上げると、乗れる。筆者も10年ほど前、この車に普通に乗っていた。もちろんあまりスピードは出ないが、ちょっと気を使いながら運転するようにすれば、一般道も高速道路も何ら問題なく走ることが可能なのだ。まぁエアコン(クーラー)がないので真夏は大変だが、それ以外は本当におしゃれで楽しい車である。
 

▼検索条件

シトロエン 2CV (初代)
 

5:日産 パオ(初代)

●中古車流通台数:約50台
●中古車価格:総額50万~210万円
●新車時価格:138.5万~154万円
 

日産 パオ(初代)▲バブル期に始まった「日産パイクカーシリーズ」の第2弾として登場した日産 パオ

前掲のシトロエン 2CVは本当にオススメできる「ある意味かっこいい車」だが、それなりの覚悟がないと乗れない車であることも事実だ。そのため「もう少し気楽な感じで乗れるクラシカルな車はないものか?」と思う人も少なくないだろう。

そんな場合には、日産が1989年に発売した日産 パオがオススメとなる。

日産 パオは、当時の日産 マーチをベースに作られた車。鉄板むき出しに見えるボディパネルや各ドアのアウターヒンジ、1メーターのダッシュパネルとクラシカルな2スポーク大径ハンドルなどに代表される独特なデザインは、新車当時は「なんちゃってクラシック」に感じられたものだが、あれから30年以上の月日がたったことで、なんちゃってだったパオは「リアルクラシック」になった。キレイに乗れば、かなりおしゃれでかっこいいだろう。
 

日産 パオ(初代)▲新車時は「なんちゃって」に思えたインテリアデザインだが、今となっては「ガチなレトロ」だ

とはいえ中身はマーチなので、シトロエン 2CVと違って比較的気楽に乗り、維持することもできるわけだ。
 

▼検索条件

日産 パオ(初代)
 

6:日産 フィガロ(初代)

●中古車流通台数:約40台
●中古車価格:総額120万~280万円
●新車時価格:187万円

日産 フィガロ(初代)▲初代マーチをベースに作られた日産 フィガロ。いちおう4人乗り(実質2人乗りだが)

日産が1990年前後に作っていた「パイクカー」の中では、コレも外すことができない。パオと同じく当時のマーチをベースに作られたクラシカルな小型オープンカーの日産 フィガロである。

アクリルコーティングが施されたホワイト革仕上げのルーフは超絶おしゃれで、スイッチ類やメーターまわりにメッキが施されたインテリアもかなりステキ。某人気ドラマの主人公「右京」が劇中でこれを愛車としていたのは有名な話だが、世界的にも実は大人気で、英国のオーナーズクラブもかなり盛り上がっているらしい。
 

日産 フィガロ(初代)▲オフホワイトを基調とするしゃれたインテリアだ

販売終了から30年以上がたった今も中古車価格は上がり続けているが、それでも「非現実的な相場」にはなっていない。総額200万円台の予算を投じるつもりがあれば、レストア済みの1台が見つかるはずだ。
 

▼検索条件

日産 フィガロ(初代)
 

7:フォルクスワーゲン タイプⅠ(初代)

●●中古車流通台数:約90台
●中古車価格:総額120万~500万円
●新車時価格:―
 

フォルクスワーゲン タイプⅠ(初代)▲「ビートル」との愛称で世界中の人から愛されたフォルクスワーゲン タイプⅠ

「1990年頃のパイクカーも悪くはないが、自分はやっぱり“リアルクラシック”な車が好きだ」とおっしゃるのであれば、狙い目のひとつはフォルクスワーゲン タイプⅠ、「ビートル」という愛称で知られているあの車になるだろう。

もともとは1930年代、当時のドイツの「国民車構想」に基づいてフェルディナント・ポルシェによって設計された車で、第二次世界大戦後に量産を開始。それ以来2003年まで、基本的なカタチは不変なまま製造販売された。

とにかく問答無用でかっこいい(というかレトロでおしゃれな)車であるのはもちろんのこと、専門店やアフターパーツの数も世界的に豊富であるため、古い車であるにもかかわらず「普通に維持できて、なおかつカスタマイズも楽しめる」というのがまずは魅力。

そしてドイツでの生産が終了した後も2003年までメキシコで新車の製造が続いたため、「けっこう新しい年式が買える」というのも、“ビートル”の素晴らしいところだ。
 

▼検索条件

フォルクスワーゲン タイプⅠ(初代)
 

8:日産 サニートラック(2代目)

●中古車流通台数:約20台
●中古車価格:総額120万~210万円
●新車時価格:―
 

日産 サニートラック(2代目)▲こちらが「サニトラ」こと2代目の日産 サニートラック

前掲のフォルクスワーゲン タイプⅠとボディタイプはまったく異なるが、「人々から長~く愛され続けている」という点において少し似ているのが日産 サニートラック。初代は1967年に登場し、2代目は1971年に登場した、当時の日産 サニーをベースとするピックアップトラックだ。

なんだかんだで国内では1994年まで販売されたが、その後もファンの間で人気を維持し続け、今でも海辺に行けばコレにサーフボードを積んでいるユーザーをしばしば目にする。ヘビーデューティなたたずまいとリアルクラシックである点、そして思い思いのカスタマイズも楽しめるという点が、ひたすらかっこいい存在である。ちょっとローダウンさせた“サニトラ”は特に渋いかも!
 

日産 サニートラック(2代目)▲純正状態のインテリアはこういった感じだったが、今やほとんどのサニトラの内装にはカスタマイズが施されている

▼検索条件

日産 サニートラック(2代目)
 

9:マツダ ロードスター(NA型)

●中古車流通台数:約180台
●中古車価格:総額70万~360万円
●新車時価格:169万~340万円
 

マツダ ロードスター(NA型)▲1989年に発売され、世界中の車好きを虜にした初代マツダ ロードスター

コレも、もはや「クラシカルで渋い」と評すべきお年頃だろう。1989年に発売され、世界に衝撃を与えた軽量オープン2シーター、初代マツダ ロードスター(当時の呼び名はユーノス ロードスター)である。

過剰な装飾を排したシンプルなボディは美しさと同時に「禅の精神」のようなものも感じさせるが、レザーとウッドを多用したインテリアは、どこか往年の英国車の精神も感じさせる。これのボディをなるべくキレイに磨いて、なおかつちょっとおしゃれをしたうえで、なるべく屋根を開けて走れば――そこはもう渋さの極致である。

まぁ渋さうんぬん以上に「運転して超楽しい車!」というのがまずはあるわけだが、それと同時に、このクラシカルなニュアンス(というか、もはやリアルクラシックであること)が、なんともかっこよく思えるのだ。
 

マツダ ロードスター(NA型)▲写真の「Vスペシャル」では、タンカラーの内装やナルディ製ウッドステアリングなどが特徴となる

ここ最近はずいぶん中古車価格が上がってしまったが、それでも総額200万円前後で、まずまず好条件な1台が確実に見つかるだろう。
 

▼検索条件

マツダ ロードスター(NA型)
 

10:MG B(初代)

●中古車流通台数:約10台
●中古車価格:総額290万~420万円
●新車時価格:―
 

 MG B(初代)▲英国のスポーツカーブランド「MG」が1962年から1980年まで製造したMG B。シブいオープンカーだ
 

「初代マツダ ロードスターも十分以上に渋いが、自分はさらに渋い“本場のライトウェイトオープン”がかっこいいと思うのだ」という人もいらっしゃろう。その場合は軽量オープンスポーツの本場、すなわち英国のMG Bが狙い目となる。

この場合、初代マツダ ロードスターが手本とした初代ロータス エランでもいいというか、むしろエランのほうが適切なのかもしれないが、いかんせん初代ロータス エランの中古車はかなり高額で、そもそもほとんど流通していない。となれば、次善の策としてMG Bがオススメとなるのだ。

MG Bのビジュアルが初代ロードスター以上に渋いのは、単純に年季が入っているから。やはりせいぜい約30年前の車である初代マツダ ロードスターは、40~60年前の車であるMG Bに、こと“たたずまいの渋さ”という面ではかなわないのだ。

古い車ゆえメンテナンスが心配かもしれないが、専門店にて最初の段階でケチらずにビシッと整備しておけば、その後はさほどの手間はかからずに維持できるケースが多いだろう。
 

▼検索条件

MG B(初代)
文/伊達軍曹
写真/ランボルギーニ、フェラーリ、ジャガー・ランドローバー、日産、アウディ、トヨタ、アルピーヌ、マツダ、ステランティス、メルセデス・ベンツ、GM、ロールスロイス、BMW、ボルボ、フォルクスワーゲン、いすゞ、MG、向後一宏
※記事内のデータはすべて2023年4月10日現在のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。