日産 GT-R▲歴代GT-Rのみならず、価格高騰の傾向がR35 GT-Rにまで迫っています

日本が世界に誇るスーパースポーツが実は大幅値上がり傾向

日産のイメージリーダーとして、フェアレディZとともにそのポジションを担っているGT-R。それまではスカイラインの1グレードであったスカイラインGT-Rから、単一車種として2007年に登場したモデルです。

デビュー当時から海外のスーパーカーに肩を並べる性能を有していながらも、700万円台からのスタート価格や、普段のアシとしても使えるフレキシブルさを持ち合わせており、日本のみならず海外からも熱視線を集めた1台でした。
 

日産 GT-R

搭載されるエンジンは3.8L V6ツインターボエンジンであるVR38DETT型エンジンで、最高出力はデビュー時で480ps、のちに追加された「NISMO」では600psを発生するモンスター級のもので、トランスミッションは6速デュアルクラッチトランスミッションの2ペダルMTを採用。
 

日産 GT-R▲上搭載されるエンジンは、職人の手作業によって組み立てられる

駆動方式は第2世代のスカイラインGT-Rと同じく4WDが採用され、システムはアテーサE-TSの改良版を採用して大パワーを余すことなく路面に伝えてくれるのです。

そんなGT-Rは2022年となった現在でも毎年アップデートを繰り返しながら、いまだに一線級のポテンシャルをもったスーパースポーツとして君臨し続けているワケなのですが、2022年5月には早々に2022年モデルの予定販売台数に達したということでオーダーがストップしています。

そこで気になるのがGT-Rの中古車になるのですが、なんとその平均価格は昨年の同時期(4月時)に比べて約380万円もアップしてしまっているのです。
 

日産GT-Rの相場価格の変動とその理由は?

執筆時点(2022年4月)の中古車平均価格が、驚きの1301.5万円となってしまったGT-R。昨年4月の時点では917.2万円でしたから、実に380万円もの平均価格アップということになります。
 

日産 GT-R

中古車平均価格アップの背景のひとつには、車両本体価格2000万円を超えるような高額物件、具体的にはGT-Rのトップに君臨する「NISMO」モデルの流通量が増えたことが挙げられます。

そしてもうひとつ考えられるのは、プレミア価格化が早くも進行しているということです。

現在2000万円超の価格が付けられた中古車の多くは2015~2018年式のNISMOですが、当時の新車時価格はおよそ1500万~1900万円。すでに中古車価格が新車時価格を超え始めています。
 

日産 GT-R▲こちらは2022年モデルのNISMOグレード

また、上位グレードのみならず、中間グレードも同様のことがいえます。具体的には、新車時価格1200万円前後のグレードが、ワンオーナー車や低走行車といった程度の良いものでは1800万円前後で流通しています。オプションが多く付いている、ということも考えられますが、それを考慮してもプレミア価格化が進んできているのです。

ちなみに、最安値の部類に入るGT-Rであっても現在は700万円台~となっており、新車時価格に迫る勢いです。一時期の300万円台でも見つけることができた、という時代は遠い昔の話となりつつあるようです。

では、なぜこんなにGT-Rの平均価格が押し上げられているのかというと、恐らく2022年モデルをもってGT-Rが終売になるのではないか? というウワサが流れているのもひとつの原因でしょう。

新型が登場するのか、はたまたいったんGT-Rの名前に終止符が打たれるのかは不透明なところではあります。ですが、スカイライン時代の歴代GT-Rも販売終了後に価格がハネ上がっていることを考えると、GT-Rを購入しようと思っている人は、早めに行動に移さなければ、良質な物件や常識的な価格の物件があっという間に完売となってしまう可能性も大いに考えられます
 

マイナーチェンジで進化し続けた、日産GT-Rの変革

2007年12月に販売をスタートしたGT-Rは、今年で登場から15年となる長寿モデル。とはいえ、年次アップデートを繰り返していまだに一線級のポテンシャルを持ち合わせているのは前述したとおりですが、エクステリアの変更を含むマイナーチェンジは現在までに3回実施されています。

1度目のマイナーチェンジは2011年11月で、ここで初めてエクステリアの変更を実施。さらに、480psから485ps、530psと向上されて続けてきたエンジン出力は550psまで高められていました。

2度目のマイナーチェンジは2013年12月で、このタイミングでヘッドライトがLED化。稲妻のような形状のデイライトも備わることから「イナヅマヘッドライト」の愛称でも知られています。

そして、直近で最後のマイナーチェンジとなったのが2016年7月のこと。他の日産車と同じく「Vモーショングリル」が採用され、空力特性を向上させるためにボディ本体の形状にも変更が加えられました。

また、インテリアも大幅にアップデートがなされ、ナビディスプレイは7インチから8インチへと大型化がされた他、パドルシフトもステアリング固定式となり、ステアリングとともに回転する方式となっています。
 

日産 GT-R▲Vモーション部分にはシルバーの加飾が施されている
日産 GT-R▲こちらはプレミアムエディションの内装

初期型を狙うなら対策済みのものを! 2017モデル以降の低走行車はラストチャンス?

このようにたゆまぬアップデートが繰り返されてきたGT-Rだけに、当然ながら最新のGT-Rが最速のGT-Rと言えるワケですが、今から中古車を狙うならどんな仕様がオススメなのでしょうか?

まず、車両本体が700万~900万円未満の車両については多くが初期型で、わずかに2011年モデルも見つけることができるといった状態。初期型については、フライホイールハウジングからの異音が出やすいという弱点がありましたが、対策済みの物件が多い印象です。

また、低走行の初期型に近い物件がある一方で、大型オーバーフェンダーを含む派手なエアロキットを組み込んだカスタマイズモデルも存在しており、好みに応じてチョイスができる状態となっています。

2014年モデル以降については車両本体価格1000万円を切る物件はごくわずかで、2017年モデルまでの物件はそもそもの数が少なく、多くが「NISMO」となっているのも特徴的。つまり、2000万円クラスの物件が中心となっていました。

そして、最終型ともいわれる2017年モデル以降については逆にタマ数が増えており、非NISMOであれば、1500万円を切る価格の物件もチラホラ存在しています。新車当時の価格から考えるとプレミア価格となっていますが、走行距離が1万km未満の物件も多く、良質なGT-Rを狙うことができるラストチャンスかもしれません。

▼検索条件

日産 GT-R(R35型)×全国

今回は、日本が世界に誇るスーパースポーツ、日産GT-Rの中古車についてチェックしてみましたが、すでに多くの物件がプレミア価格化しており、新車価格を超えるものも珍しくない状況となっていました。

GT-R生産終了のウワサの影響もあっての一時的な値上がりの可能性もゼロではありませんが、今後さらに価格が上昇する可能性の方が高いと見るのが妥当ではないでしょうか。
 

文/小鮒康一、写真/尾形和美、日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。