BMW 2シリーズグランツアラー▲2シリーズアクティブツアラーのホイールベースを伸ばし3列目シートを備えた2シリーズグランツアラー。BMW初のミニバンだが、ここにきて大きく値落ちが進んでいる

5人乗りのアクティブツアラーより7人乗りのグランツアラーの方が値落ちは早い!?

BMW初のミニバンが2シリーズグランツアラーだ。ミニバンといっても箱型ではなく、同社は3列シートを備えた初のMPV(多目的車)としている。

2014年10月に登場した2列シートの2シリーズアクティブツアラーに続き、2015年6月にデビューした。

ボディはアクティブツアラーよりも200mm以上長い。とはいえ、全長約4.6m×全幅約1.8mと日本でも扱いやすいサイズだ。

プラットフォームを含め多くの部分でパーツを共有するアクティブツアラーと比べると、新車時価格で約30万円程度高いのだが、デビューから6年が経ち、最近では中古車の平均価格の値落ち額で差が出てきた。

アクティブツアラーが前年比約20万円の値落ちに対し、グランツアラーは約40万円の値落ちとおトク感が増しているのだ。その詳細を見てみよう。
 

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BMW 2シリーズグランツアラー(現行型)×全国 ※平均価格昇順

価格差が縮まり、グランツアラーのお得感が増している

グランツアラーとアクティブツアラー、両車の平均価格を見るとどちらもゆるやかな下落傾向が続いている。これは、他の一般的な中古車の値落ち動向と比べ、特段大きな違いはない。

しかしよく見ると、2021年7月時点のアクティブツアラーの平均価格は188.2万円、同グランツアラーは203.9万円。新車時にはグランツアラーの方が約30万円高いのだが、中古車の平均価格の差は約15万円と、半分ほどまでに縮まっている。

ここ1年間の値落ちを見てみると、アクティブツアラーが22.1万円落ちたのに対し、グランツアラーは38.9万円。どちらも右肩下がりではあるものの、その角度に違いがあるというわけだ。
 

BMW 2シリーズアクティブツアラーの平均価格推移グラフ▲こちらは5人乗りのアクティブツアラーの平均価格の推移。徐々に価格は下がっているが、比較的フラットな波形だ
BMW 2シリーズグランツアラーの平均価格推移グラフ▲一方、こちらは7人乗りグランツアラーの平均価格推移。アクティブツアラーに比べ、下落の角度が大きいことがわかる

これらの要因は、新車時はメーカーが価格を決めるのに対し、中古車は需要と供給のバランス、言い換えれば市場の声が価格を決めるということに起因するものが大きいと考えられる。

それを裏付けるように、価格の下落が早いグランツアラーの中古車流通台数は、アクティブツアラーの半数程度とかなり少ない。

もちろん一概には言えないのだが、中古車の流通台数はそのモデルの新車時の人気に比例する傾向がある。そういう点では、グランツアラーの人気が相対的に低く(=需要が少なく)、結果値落ちの進む傾向が早いと考えることができる。

3列目シートをしまえば、アクティブツアラーを上回るクラス最大級の積載能力がある。当然、常に7人乗りは必要ないという方も多いはずだが、なにも3列目があるからといって、必ず使わなければいけないということはない。

ここまで平均価格差が縮まっている状況では、“大は小を兼ねる”という考え方のもと、グランツアラーを選ぶというのも大いにアリではないだろうか?

以下、改めてBMW 2シリーズグランツアラーはどんな車なのか解説していこう。
 

3列目シートを畳めばクラス最大級のラゲージ空間を作れる

2015年5月に登場した2シリーズグランツアラー。3列シート7人乗りながら、全長は2列シートのアクティブツアラーに対し+215mmの4565mm、全幅は1800mmと同じだが全高は+95mmの1645mmと、ライバルのフォルクスワーゲン トゥーラン(現行型)とほぼ同じサイズ感だ。

3列目シートを使っている状態ではラゲージはミニマムだが、3列目を倒すと容量は560Lとなり、普段の買い物はもちろん、アウトドアスポーツやキャンプにも使えるだろう。さらに、2列目シートを倒せば最大1820Lまで拡大できる。
 

BMW 2シリーズグランツアラー▲アクティブツアラーに対しホイールベースも110mm延伸され、室内空間が広げられている
BMW 2シリーズグランツアラー▲コーナリング中に外側へ膨らむ兆候を感知すると、自動で車両姿勢を制御してくれるドライビングパフォーマンスコントロールが全車に標準装備されている

ちなみに、アクティブツアラーのラゲージ容量は通常時で468L、最大時で1510L。このクラスでは十分広い方だが、グランツアラーはさらに積載能力が高いのだ。

搭載されたエンジンは1.5Lターボ(218i)と2Lターボ(220i)、2Lディーゼルターボ(218d)の3機種。218iには6速AT、それ以外は8速ATが組み合わされた。いずれもFFだが、2017年1月に218dの4WDモデルの218d xDriveが追加された。
 

BMW 2シリーズグランツアラー▲写真のように3列目シートはミニマム。子供でも膝が立つので長時間は厳しい。非常用と考えた方がいいだろう
BMW 2シリーズグランツアラー▲日本仕様は右ハンドル。センターコンソールに8.8インチのディスプレイが備わる。USBオーディオインターフェイスや、ハンズフリー機能も標準装備されている

衝突被害軽減ブレーキを含むドライビングアシストやiDriveナビゲーションシステム、LEDヘッドライト、リアビューカメラを標準装備するなど機能も充実している。

また、レザーシートや電動フロントシートを備えるなど上質なデザインの「ラグジュアリー」ラインや、エアロパーツやM社製サスペンションなどが備わるスポーティな「Mスポーツ」ラインも用意された。

2018年6月にはマイナーチェンジが行われ、外観デザインが小変更された。同時に、218iのトランスミッションが6速ATから7速DCT(デュアルクラッチ式2ペダルMT)に変更されている。

デビュー時の車両本体価格は218i系が358万~405万円、218d系が379万~426万円、220i系が424~452万円、218d xDrive系が424万~472万円。
 

BMW 2シリーズグランツアラー▲3列目シートを備えた状態。ラゲージはミニマムだが、ラゲージ下にも小さいながらトノカバーを収納できるほどの収納が用意されている
BMW 2シリーズグランツアラー▲3列目シートはシートに備わるレバー操作で写真のように畳むことができる。2列目シートもシートのレバーを操作するか、ラゲージ側のリリースボタンを押せば簡単に倒すことができる。2列目シートと助手席を倒せば最大2.6mの長尺物を載せることも可能

ディーゼル×FFの218d系は台数豊富で選びやすい

前述のとおり、7人乗りのグランツアラーの流通台数は、5人乗りのアクティブツアラーに比べ半数程度とかなり少ない。それでも、直近7月には約340台の掲載があり、決して選択肢が少ないということはない。

その中で今回オススメしたいのは、全体の約6割を占めるFFのディーゼル、つまり218d系だ。

原稿執筆時点(2021年8月30日)では、掲載される物件の半数ほどが218d系と選びやすく、走行距離5万km未満でも支払総額150万円以下から、つまり新車時の半額以下で十分狙える状況だ。

先述のように、218d系は装備の違いでベースグレードと「ラグジュアリー」「Mスポーツ」「スポーツ」という具合に細分化されているが、そもそも基本的な装備はベースグレードで十分充実しているので、どれを選んでも満足度は高いはずだ。

ディーゼルエンジンで2WD(FF)ゆえ、ランニングコストも抑えやすい。街乗りが中心だが、たまにキャンプやアウトドアスポーツに出かけたい、といった人には特にオススメだ。
 

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BMW 2シリーズグランツアラー×218d系×全国

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文/ぴえいる、写真/BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。