マツダRX-8 ▲全長4435mm×全幅1770mm×全高1340mmと、現行型のMAZDA3とほぼ同じサイズ。観音開きドアの開口部幅は約900mmあり、大人4人が十分座れる広さがある
 

マツダ RX-8の中古車は今

2003年4月に登場した4人乗りのスポーツカー、RX-8。現時点で最後のロータリーエンジン搭載車となるモデルだ。2ドアスポーツカーのRX-7のスピリットを受け継ぎ、スポーツカーとしての走りの楽しさが追求されている。

生産が終了した2012年6月までの約9年間で、マイナーチェンジは2008年3月の一度きり。他に一部改良が2回施されている。また、特別仕様車が多いのも、特徴のひとつだ。

現在、RX-8の中古車流通台数は約360台あり、平均価格は約90万円。また、スポーツカーらしく修復歴有り車が、全体の約2割を占める。生産中止から8年以上がたち、コンディションを考えると、「いつかは」と狙っている人はそろそろアクションを起こした方がいいだろう。

ここからは、2008年3月のマイナーチェンジを境に前期型と後期型に分けて、それぞれの特徴やオススメの選び方、中古車相場について紹介する。

 

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RX-8(前期型)の特徴と中古車相場

■RX-8(前期型)DATA
生産期間:2003年4月~2008年2月
中古車流通量:約290台
中古車価格帯:20万~240万円

マツダRX-8 ▲RX-7が生産終了となり、一度は消えかけたロータリーの火を約1年後に再びともしたRX-8。4ドアだが観音開きドアの採用などでキャビンを小さく見せたり、フロントフェンダーを盛り上げるなどスポーツカーとしてのデザインにまとめ上げられている

■RX-8(前期型)の特徴
1967年に初めてコスモスポーツに搭載されて以来、マツダの代表エンジンとなったロータリーエンジン。燃費が悪いというデメリットがあった一方で、軽量コンパクトなうえに9000回転まで吹け上がるという、特にスポーツカーに適した特性があった。RX-8にはさらにマツダが積み重ねてきた、低重心レイアウトや約50:50の前後重量配分、フロントミッドシップ・リアドライブなどローターリーエンジン・スポーツカーのノウハウが詰め込まれたモデルだ。
 

マツダRX-8 ▲「タイプS」と「タイプE」にはBOSEサウンドシステム+9スピーカーを標準装備。シフトノブはロータリーエンジンをイメージしたおむすび型のデザインとなっている

デビュー時に搭載されたロータリーエンジンは、最高出力250ps、最大トルク216N・mのハイパワーユニットと、210psに222N・mのスタンダードユニットの2種類。トランスミッションには5速MT と6速MT、4速ATが用意された。

デビュー時のグレード構成は下記のとおり。

・「タイプS」|ハイパワーユニット×6速MT
・「タイプE」|スタンダード×4速AT
・「ベースモデル」|スタンダード×5速MT or 4速AT

10・15モード燃費は「ベースモデル」の5速MTで10km/L、「タイプS」で9.4km/L、「タイプE」と「ベースグレード」の4速ATで9km/Lだった。唯一、ハイパワーユニットを備え6速MTのみとした「タイプS」がスポーツモデルで、本革シートを標準装備し4速ATのみのグレードである「タイプE」がツアラー的スポーツカーといったところだ。
 

マツダRX-8 ▲Cピラーの形状は、初代RX-7のイメージから採用された。タイヤを四隅ギリギリに配置して安定感を強調している。トランク容量は約290Lで、スーツケース2つを収められる広さ

2006年8月には、4速ATが6速化された。この時同時に、ベージュの本革シートなど内外装の質感を向上させるオプション「サンドベージュレザーパッケージ」が「タイプS」と「タイプE」で選べるようになった。
 

マツダRX-8 ▲前席が本革電動シートとなる「サンドベージュレザーパッケージ」。「タイプE」のサンドベージュレザーパッケージはアルミペダルや225/45R18タイヤ&アルミホイールが備わる(タイプSにはもともと標準装備)

前期型に限っても特別仕様車が多く、中でも走行性能に特化したグレードは今でも人気が高い。

まず、デビュー年の2003年12月には、走行性能を重視した限定車「マツダスピードバージョン」が300台限定で、さらに翌2004年8月にその進化モデルである「バージョンII」が180台限定で販売された。どちらも「タイプS」をベースに、エンジンや足回りのチューンが施されたモデルだ。
 

マツダRX-8 ▲専用PCMやショックアブソーバーといった専用品を多数備え、エンジンや足回りに専用チューンが施された「マツダスピードバージョン」。エアロパーツも専用品が備えられた

2004年11月には、走りと装備の質感を高めた特別仕様車「スポーツプレステージリミテッド」が、2005年3月に「スポーツプレステージリミテッドII」が販売された。どちらも、専用サスペンションやボディ剛性強化、そして専用レザーシートの採用などで走り、インテリアの質感ともに向上が図られている。なお、ベース車は「タイプS」と「タイプE」の2タイプある。

2007年8月には、「ロータリーエンジン40周年車」が発売された。「タイプS」と「タイプE」をベースに、ロータリーエンジンらしい吹き上がり感の向上が図れた他、ビルシュタイン社製ダンパーや、黒の本革×アルカンターラの専用シートが採用されている。
 

■RX-8(前期型)の中古車相場
前期型は全流通台数の3分の2を占める。そのため後期型より選びやすくなっているが、修復歴の有無や走行距離など、コンディション次第で後期型よりも高額な物件も散見される。

「マツダスピードバージョン」や「マツダスピードバージョンII」は人気が高く台数も10台以下と非常に少ないため、コンディションによっては150万円前後の物件も。また、マツダスピードのパーツを備えた車や、社外品によるカスタムカーにも人気(=価格)が高いものがある。

手頃な価格で手に入れたいのであれば「ベースモデル」か、「タイプE」がオススメだ。ATのみとなるが、例えば本革シートを備えた「タイプE」は、総額50万円以下で狙うことが可能だ。

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RX-8(後期型)の特徴と中古車相場

RX-8(後期型)DATA
生産期間:2008年3月~2012年6月
中古車流通量:約90台
中古車価格帯:50万~400万円
 

マツダRX-8 ▲専用のフロントバンパーや、専用19インチアルミホイールを装備する「タイプRS」。インテリアでは赤いステッチが、シートやステアリングホイールなどにあしらわれている

■RX-8(後期型)の特徴
2008年3月に行われたマイナーチェンジでは、ハンドリング性能が向上。また、エンジンが大幅改良された。ハイオク仕様であることは変わらないものの、レギュラーガソリンでもパフォーマンスを損なわないよう手が加えられている。これは、当時ガソリン価格の高騰でハイオクが190円/1L程度まで値上がりし、ユーザーによってはレギュラーを給油する場合もあったからだ。

これらの改良により、ハイパワーユニットは最高出力が250psから235psへ、スタンダードユニットは210psから215psへと変わった。ハイパワーユニットの数値はダウンしているが、加速感やふけ上がり感は増している。燃費は前期型と同数値だ。

このマイナーチェンジでは、19インチアルミホイールやレカロ社製バケットシート、ビルシュタインダンパーなどを備えた走りのグレード「タイプRS」も追加されている。

2009年5月には、全車にオートワイパー機能と、オートライトシステムが標準装備された。同時に「ベースモデル」の名称が「タイプG」に改められている。
 

マツダRX-8 ▲特別仕様車の「スピリットR」

生産終了間際には特別仕様車「スピリットR」が2011年10月に限定1000台で、2012年4月には追加で1000台販売された。
 

■RX-8(後期型)の中古車相場
前期型の約半分と選択肢の限られる後期型。価格重視なら、総額80万円プラスαで狙える「ベースグレード」と「G」がオススメ。 上級グレードの「タイプS」や「タイプRS」は、100万円以下の選択肢もあるが、こちらは多走行車が多めになる。コンディション重視なら、予算150万円プラスαが目安だ。チューニングが施されたり走行距離の少ない物件は、総額200万円以上のものもあり、予算に合わせて検討ができるものの、流通台数が少ないため決断は早い方がいいだろう。

ATモデルとなる「タイプE」も流通台数が少ない。予算の目安は100万円前後。

最後の特別仕様車「スピリットR」は約30台見つかり、その価格帯は約140万~400万円となる。

前期型と比べてエクステリアをカスタマイズした中古車は少ないが、ダンパーを社外品に交換済みの物件が多い。その分、価格も上がりがちだが「年式や走行距離を考えれば購入後に交換したい」と考えている人は、あえて狙ってみるのもオススメだ。
 

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※記事内の情報は2021年6月16日時点のものです。
 

文/ぴえいる 写真/マツダ
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。