フェラーリ 458イタリア ▲誰もが……というわけでもないでしょうが、多くの車好きが羨望の眼差しで見つめるイタリア製のスーパーカー。高嶺の花であることは言うまでもありませんが、しかし中古車なら、意外とギリギリ購入可能だったりもするのでしょうか?

こんな時代でも数千万円級のスーパーカーはよく売れている

1月27日発売の雑誌「カーセンサーEDGE 3月号」では、「スーパーカーよ永遠なれ。」と題した各国製スーパーカーの大特集を展開している。

ここでは、同特集内に掲載された「スーパーカーの中古車事情 01」をweb用に再構成した特別バージョンをお届けしながら、イタリア製スーパーカーの中古車相場について考えてみたい。
 

フェラーリ 458▲こちらの写真はフェラーリ 458イタリアの運転席まわり

2021年に入ってからというもの、「日本車の2020年米新車販売台数は前年比17.1%減!」「2020年の国内新車販売台数は前年比11.5%減!」などの悲観的なニュースが自動車業界を駆け巡っている。

だが、スーパーカーの世界は――中でも特にイタリアンスーパーカーの世界は――不景気風とは無縁のようで、人気モデルの相場高騰は続き、そしてそれを普通に購入する富裕層の数はさほど減っていない(もちろん、飲食店オーナーなどではコロナ禍の影響を受けてしまったケースも多いが)。

例えば、5000万円を下ることはほとんどないフェラーリ 488ピスタが飛ぶように……かどうかはさておき、まぁ普通に売れており、またランボルギーニ ウラカンの中でも、人気となっているのは3000万円オーバーとなるのは必至のペルフォルマンテまたはEVO。

いやはや、世の中がどうなろうとも、あるところには常にあるのがお金というものである。
 

「まあまあ現実的」といえるのはガヤルドと458イタリアか?

そんな状況下で、もしも「現実的な線で」イタリアンスーパーカーを探すとしたら、まず候補となるのはランボルギーニ ガヤルドだろうか。
 

ランボルギーニ ガヤルド▲こちらがランボルギーニ ガヤルド。V12エンジン搭載モデル(アヴェンタドールやムルシエラゴなど)と違い、ドアは上方向にではなく横方向に普通に開く、いわゆるヒンジ式

ランボルギーニ ガヤルドとは、ご承知のとおりウラカンの前身にあたるV10エンジン搭載の“ベビー・ランボ”。

こちらの比較的走行距離多めな(といっても2万~3万km台)初期ベースグレードであれば、車両価格は850万~980万円といったところ。下取り車の価格次第では、さほど高額ではないローンを組むことができるはずで、何ならキャッシュで買える人もいるだろう。

もう一方の雄であるフェラーリでは、1世代前のV8ミッドシップフェラーリである458イタリアが「まあまあ現実的な線」といったニュアンスになる。
 

フェラーリ 458イタリア▲2世代前のV8ミッドシップフェラーリである458イタリア。満載された当時最新の電子制御により、そのコーナリングはUFOの動きのように(?)クイックで鋭い

具体的には、走行距離少なめでオプション装備が充実している個体はさすがに2400万円以上となるが、やや走行多めな(といっても3万~4万km台)個体またはオプションが少々微妙な個体であれば、車両1800万円前後で探すことも可能だ。

もちろん車両1800万円というのは、市井の人間にとってはかなりのビッグマネーだが、同時に「ギリギリなんとかならなくもない……かも?」ぐらいの線でもあるはず。

頭金や下取り車次第ではあるが、車のローンに月額10万円を投入できるクラスタであれば、「フェラーリ 458イタリアと暮らす毎日」というのは決して夢物語ではない。

その他2モデルと併せ、下記に「現実的な(と言えなくもない)予算で買えるイタリアン・スーパーカー」の相場状況を詳述した。ご興味のある方は、そちらをお目通しいただきたい。

とりあえず注目したいのはこの4モデル!

ということで以下、まあまあ現実的な予算(?)で狙えるイタリアン・スーパーカーの概要と、それぞれの中古車相場を記す。

これらを実際に買える人はの数は少ないかもしれないが、参考として、あるいは目の保養として(?)、ご覧いただけたならば幸いだ。

●ランボルギーニ ガヤルド
注目相場:850万~1700万円

ランボルギーニ ガヤルド▲1世代前のベビーランボ(フラッグシップと比べればやや小さいエンジンを搭載するランボルギーニ)であるランボルギーニ ガヤルド

2003年から2013年まで販売された、5Lまたは5.2L V10搭載のランボルギーニ。2008年途中にフェイスリフトを実施している。

車両850万~980万円ほどの安価な(?)ゾーンで狙えるのは前期型ベースグレードで、走行距離は3万km前後となるのが一般的。

前期スーパーレッジェーラかフェイスリフト後の後期型を狙うとなると、相場は1300万円~というイメージに変わる。

考え方次第だが、「どうせ型落ちの中古車なのだから、中途半端に高いカネは出さず、いっそ1000万円以下に絞って考えてみる」というのも悪くはない。

▼検索条件

ランボルギーニ ガヤルド×全国

●ランボルギーニ ムルシエラゴ
注目相場:1500万~2400万円

ランボルギーニ ムルシエラゴ▲2001年から2010年まで販売された、1世代前のフラッグシップ・ランボルギーニ。搭載エンジンは6.2Lまたは6.5LのV12 DOHCで、ドアはヒンジ式ではなく上方向に開くシザーズドアとなる

「せっかくランボルギーニを買うなら、ベビーランボではなくフラッグシップがいい!」と考える場合には、アヴェンタドールが候補となるわけだが、アレは最安値でも3000万円級。

だが1つ前のフラッグシップである「ムルシエラゴ」なら、ギリギリではあるが現実的な選択肢として注目することができる。

とはいえこれも基本的には2000万円超の個体が中心となるのだが、初期モデルであれば車両1600万円台から検討可能。

eギアのクラッチ交換が済んでいて、その他もしっかり整備されてきた個体であるならば、ぜひ注目したい。

▼検索条件

ランボルギーニ ムルシエラゴ×全国

●フェラーリ 458イタリア
注目相場:1650万~2800万円

フェラーリ 458イタリア▲こちらがフェラーリ 458イタリア。搭載エンジンは4.5L V8DOHCで、最高出力は570ps
 

ネオクラシックとして相変わらず人気のF355も候補のひとつだが、あくまで「近年のフェラーリ」の中で現実的な線を求めるとすれば、2009年から2015年まで販売された458イタリアだろう。

「暴落しそう」と言われ続けていた相場は結局さほど暴落しなかったが、それでも、最近は車両1800万円台付近でまずまず良好な1台が探せる状況に。ただ、本当にコンディションとオプション装備が良好な個体は2300万円~というイメージではあるのだが。

もちろん車両価格は高いわけだが、その代わりリセール価格も高いため、実質的な負担額はそこまで大きくはない1台だ。

▼検索条件

フェラーリ 458イタリア×全国

●フェラーリ 488GTB
注目相場:2500万~3500万円

フェラーリ 488GTB▲458イタリアの後を受けて2015年に登場したフェラーリ 488GTB。この世代からついにエンジンが過給器付きとなり、こちらの搭載エンジンは3.9L V8DOHCツインターボ。最高出力は670ps

「現行型か、限りなく現行型に近いV8ミッドシップフェラーリが欲しい!」となると、さすがに一般的な稼ぎでは少々難しい相場水準になってくる。

現行型であるF8トリブートは車両4300万円~で、その前身の488GTB(2015~2019年)でも2500万~3500万円というのがおおむねの相場だ。

ただ、ある程度以上の頭金(現金+下取り車)を用意したうえで残価設定ローンを使うのであれば、2016年式付近の初期型488GTBもいちおう射程圏内に入ってくる。

これも高リセールが期待できるため、実質負担額は額面ほどではないのだ(とはいえ、もちろん誰もが買える類の車ではないわけだが……)。
 

▼検索条件

フェラーリ 488GTB×全国
文/伊達軍曹、写真/フェラーリ、ランボルギーニ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。