フィアット パンダ▲小さなSUVで生活四駆+αの機能が備われば、高額の大型SUVじゃ行けないような狭い場所へも入っていける。つまり活動範囲を広げられるから、カーライフがもっと楽しくなるだろう

2010年式以降で150万円以下から選べるアクティブなSUV

全長4mを切るようなコンパクトカーは、小回りが利いて取り回しがよい。

特に道幅の狭い住宅地などで、その恩恵を受けることが多いだろう。

そして、小さくて軽量ゆえ燃費が良く、毎日乗っても経済的というメリットがある。

さらに、それが各種機能の備わった4WDを搭載し、最低地上高もある程度確保されているSUVとなれば、ぬかるんで凸凹になった悪路や雪の積もるエリアにも行ける。

そのような場所で暮らす人はもちろんだが、アウトドアに出かけることが多い人にとっても、4WDのコンパクトSUVはめちゃくちゃ便利だ。

得てしてそういった場所は、大きなSUVでは入っていけない狭い道の方が多いのだから。

しかし、現状コンパクトSUVは2WDか、4WDでも「前輪が滑ったら後輪にも駆動力を伝える」という、いわゆる“生活四駆”モデルが圧倒的に多い。

例えば、人気のトヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーの4WDもそのタイプだ。

雨や少量の積雪など、普段の生活で使用するにはこの生活四駆でも十分なことが多いが、先述したような「よりアクティブな使い方」を考えると、少々頼りないのも事実。

そこで、今回はそうじゃないコンパクトSUV、つまり生活四駆+αの性能を備えていて、現役バリバリの2010年式以降の物件が、支払総額150万円以下から探せるモデルを選んでみた。

いずれの車の4WDはそれぞれ特徴が異なるので、使用用途も踏まえて考えてどんな四駆がいいか、しっかり選んでほしい。

生活四駆+αの全長4m以下のSUV、早速見ていこう。

通勤や買い物から、週末の冒険までお任せ!
スズキ イグニス(現行型)

スズキ イグニス▲全長3700mm×全幅1660mm×全高1595mm。エクステリアのデザインには、フロンテクーペをはじめスズキの歴代の名車の面影があちこちにちりばめられた。ツートーンルーフもオプションで用意されていた
スズキ イグニス▲メーカー純正ナビには、車を俯瞰で見られる全方位モニターやApple CarPlay機能を装備。一部グレードを除き後席は左右独立でスライド&リクライニング機能が備わる

2016年1月にデビューしたスズキ イグニス。

世界には日本よりも道が狭かったり、未舗装など道路状況の悪いエリアはたくさんあり、そういった地域での利用も視野に開発された世界戦略車だ。

それゆえ最低地上高は180mm確保され、4WD+αの機能も用意された。

通常は前輪のみで、滑りを感知すると後輪も駆動するのは、いわゆる生活四駆と同じ。

イグニスはさらに、ブレーキペダルを踏まなくても自動的に車速を約7km/hにコントロールするヒルディセントコントロールを装備。

エンジンブレーキでは減速できないほどの急な下り坂などで重宝する。

さらに雪道やぬかるみなど、滑りやすい路面での発進をスムーズにするグリップコントロールも備えている。

搭載されるパワーユニットは1.2L+モーターのマイルドハイブリッド。これにCVTが組み合わされる。

MG 4WDで28.8km/L(JC08モード)と燃費も良く、2つのカメラとセンサーを使った衝突被害軽減ブレーキなど、先進安全機能も用意されている。

デビュー時の4WD車の車両本体価格は151万9560~177万8760円。

原稿執筆時点(2020年5月7日)では、支払総額100万円以下から見つけることができた。

燃費が良いため、毎日の通勤や買い物の足として使い、雪深い地域や、狭い林道の多いエリアを走ることもある人に向いている。

▼検索条件

スズキ イグニス(初代・現行型)×4WD×全国

広い室内空間をもつワゴン型SUV
スズキ クロスビー(現行型)

スズキ クロスビー▲全長3760mm×全幅1660mm×全高1705mm。軽自動車のハスラーと同じイメージで構成されたエクステリア。エンジンを切ったら自動でライトが消灯する機能が同社の小型車で初めて採用された。オプションでツートーンルーフを選べるのはイグニスと同様
スズキ クロスビー▲MZグレードには全席の座面に撥水加工が施されているので、濡れたウエットスーツなどでも気軽に乗り込める。後席に加えて助手席の背もたれも倒せるので、長いものを載せやすい。後席はラゲージ側からスライドさせることが可能

2017年12月に登場したスズキ クロスビーは、イグニスとプラットフォーム(車の骨格)を共有する、いわば兄弟車だ。

4WDは生活四駆に加え、ヒルディセントコントロールグリップコントロールを備える点はイグニスと同じ。

最低地上高も同じく180mmだし、全車マイルドハイブリッドを搭載する点も同様だが、イグニスが1.2Lエンジンを積むのに対し、よりパワーのある1Lターボがモーターと組み合わされる。トランスミッションも6速AT(イグニスはCVT)だ。

また、イグニスよりもボディサイズは大きく、「広い室内空間をもつワゴンとSUVの楽しさを融合」というコンセプトどおり、縦方向も広い室内空間が魅力だ。

その分4WD車の燃費はイグニスには劣るが、それでも20.6km/L(JC08モード)と十分良い。

後席の背面やラゲージフロアには汚れの落ちやすい素材が採用されているので、濡れたり、泥のついたアウトドアグッズを気軽に放り込みやすい。

衝突被害軽減ブレーキなど先進安全機能はイグニスとシステムが異なり、後退時の衝突被害軽減ブレーキが備わる。

また、ヘッドライトのハイ/ロービームの自動切り替え機能が用意されている他、4WD車はエンジンやトランスミッションの特性を任意に切り替えられる機能(スポーツモード/スノーモード)を備える。

デビュー時の4WD車の車両本体価格は190万8360~214万5960円。

原稿執筆時点で支払総額150万円以下は2台だけだが、いずれも走行距離5万km未満だ。

アウトドアで雪深いエリアへ出かけたり、サーフィンなどで狭い道を通り海辺に出たい! なんて人に向いている。

▼検索条件

スズキ クロスビー(初代・現行型)×4WD×全国

コイツとならどんな場所だって行ける!
スズキ ジムニーシエラ(2代目)

スズキ ジムニーシエラ▲全長3550mm×全幅1600mm×全高1670mm(2012年5月時点)。2012年5月の一部改良で、衝突時の歩行者の被害軽減を目的にボンネットを高くしてエンジンルームのクリアランスを確保。その際ジムニーのボンネットが流用されたため、ターボ車ではないのにエアスクープが備わった。最低地上高は190mm
スズキ ジムニーシエラ▲アウトドアニーズに対応し、撥水加工されたシート&ドアトリムなどを備えた特別仕様車「ワイルドウインド」や「ランドベンチャー」「クロスアドベンチャー(写真)」が度々設定されている

渓流釣りや上流の河原でのソロキャン、林道走破など、本気で遊びたい人にピッタリなのが、やはり日本が世界に誇るスズキ ジムニー/ジムニーシエラだろう。

非常に高い走破性をもつことで有名なトヨタ ランドクルーザーでも行けない道も、ジムニー/ジムニーシエラなら行けるといわれるほど、そのコンパクト&本格的4WD機能は道を選ばない。

ジムニーシエラは、軽自動車のジムニーをベースにオーバーフェンダーを備え、排気量の大きなエンジンを搭載したモデルだ。

1998年から2018年まで長きにわたり生産された2代目は、当初ジムニーワイドの名で登場。1.3Lエンジンを搭載し、5速MTまたは4速ATが組み合わされた。

2000年4月に新型の1.3Lエンジンに変わり、2002年1月のマイナーチェンジで名称がジムニーシエラとなった。

すべて4WDだが通常は後輪のみで走り、必要に応じて4WDに切り替えるパートタイム式を採用。

当初は走行中でも2WD/4WDを切り替えられるトランスファーレバーを備えていたが、2004年10月に切り替えスイッチ式に変更された。

2014年8月には横滑り防止装置とトラクションコントロールが採用されている。

2012年5月の一部改良時の車両本体価格は159万1000~177万5000円。

原稿執筆時点で、シエラになったばかりの2003年式なら総額50万円以下から見つけられ、2010年式でもほとんどが総額100万円以下という状況。

道を選ばず走れるだけに、気の向くまま、思いのままどんな使い方もできるオールランダージムニーシエラを選ぶことで、毎日の楽しみ方が広がるはずだ。

▼検索条件

スズキ ジムニーシエラ(2代目)×全国

アルプス山脈の麓で生活の足として愛されるヨンク
フィアット パンダ(3代目・現行型)

フィアット パンダ▲全長3685mm×全幅1670mm×全高1615mm。最低地上高は不明だが、車高は2WD車と比べて65mm高い。ルーフ上のベースキャリアを標準装備した「アドベンチャー エディション」をはじめ特別仕様車として幾度となく登場している。衝突被害軽減ブレーキを標準装備
フィアット パンダ▲インパネは他のパンダと同じ。助手席前の収納はフタがなく、初代パンダ同様に財布やスマホをポンッと投げ込んでおきやすい。なお後席の窓は手動式 ※写真はヨーロッパ仕様。日本仕様は右ハンドルになる

2013年に登場した現行型パンダに、4WDモデルの4×4が限定車として登場したのは2014年10月。

その後も幾度となく特別仕様車として追加されているので、ほぼカタログモデルと言っていいだろう。

エンジンは2気筒0.9Lのツインエア、これに6速MTのみが組み合わされた。

4WDシステムは、通常は前輪駆動で、滑ったら後輪にも駆動力を伝える、いわゆる生活四駆。

ただし、シフトレバーの脇にあるボタンを押すと四輪が直結し一気に走破性が高まるので、雪道や泥濘地など滑りやすい路面で重宝する。

そもそもジウジアーロがデザインしたことで有名な初代パンダにも、4×4が設定されていた。

イタリアというとオリーブやワイン、陽気なラテン系……というイメージもあるが、ミラノから車で2時間も北へ走れば目の前にアルプス山脈が横たわる。

当然雪深いエリアが多く、パンダ4×4もそうした場所で愛されてきたモデルだ。

2014年の限定車の車両本体価格は251万6400円。

原稿執筆時点で支払総額150万円以下は10台見つかり、走行距離5万km未満も探すことができる。

イタリア北部で同車を楽しんでいる人たちのように、マニュアルシフトで荒れた路面をガンガン走ってみたいという人にはぜひオススメしたい。

▼検索条件

フィアット パンダ(3代目・現行型)×4WD×全国
文/ぴえいる、写真/スズキ、FCA

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。