ピックアップトラックとして世界で活躍する三菱 トライトンは、タイから逆輸入された絶滅危惧車だ!
2020/03/28
タイから逆輸入されたトライトン
三菱トライトンは、2006年に日本デビューしたピックアップトラックだった。かつては商用車として人気のあったカテゴリーだが、日本では1BOXカー、軽トラック、ミニバンなどの進化によってか、ピックアップトラック需要が衰退していた中の投入だったので、非常に驚いた。
トライトンは、タイにある三菱の現地法人が生産していた。2005年末からヨーロッパへの輸出を皮切りにオーストラリア、中近東、中南米、アジア諸国と世界約140ヵ国で展開される、三菱の世界戦略車として開発された。
乗用車並みの快適な乗り心地と、直接燃料噴射式コモンレールシステムを採用した新開発ディーゼルエンジンによる力強い走りが売りだった。
だが、日本に導入されたのは3.5L V6ガソリンエンジンだった。組み合わせられたトランスミッションは4速ATのみで、ちょっとガッカリしてしまったことを覚えている。
珍しいダブルキャブ仕様のピックアップトラック
トライトンには4枚のドアと2列のシートをもつ「ダブルキャブ」、2枚ドア&1列シートの「シングルキャブ」、そして2枚ドア&1列シートだがシングルよりもややキャビン後部が広い「クラブキャブ」の3つのボディタイプが用意されていた。
ただ、日本導入モデルはダブルキャブ(5人乗り)のみだった。
全長4995mm×全幅1800mm×全高1780mmと日本車“らしからぬ”大きさは、威風堂々としていた。最高出力こそ178psとそこそこな響きだが、最大トルクは30.1kg-mを発揮する実用派。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアはリーフスプリングを採用。イージーセレクト4WDと呼ばれる四輪駆動システムを搭載し、通常は後輪駆動として燃費を稼ぎ、必要に応じて駆動力を前輪に配分するものだった。
最大の特徴であるカーゴベッドは、横幅が1080~1470mm、奥行きが1325mm。ホイールハウスをできる限り小さくすることで、広い床面積を確保している。また、カーゴ内には4ヵ所のカーゴベッドフックが付いており、荷物の固定が可能。
諸外国では“働く車”としての需要が高いピックアップトラックだが、日本でのトライトンは「マリンスポーツやウィンタースポーツなど、アウトドアスポーツを好むお客様」(プレスリリース)へ訴求していたようだ。
日本ではあまり人気がでなかった
そんなトライトンも絶版となってから9年が経過し、そもそも日本での売れ行きはイマイチだった。
後席より広い荷台であるためボンネットトラックと見なされ、法規上は中型車で毎年車検というデメリットもある。
原稿執筆時点( 2020年3月16日)では、カーセンサーnetに掲載されているものはたったの10台。
平均中古車価格は167万7000円だが、安いものは100万円ほどで狙える。トライトンの中古車価格は年式よりも、単純に走行距離に比例しているように見受けられる。
そもそも働く車として設計されているタフな車ゆえに、あまり走行距離にとらわれることなく、安いものをバンバン使い倒すイメージでいかがだろう?
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
三菱 トライトン(2006年8月~2011年7月生産モデル)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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