メルセデス・ベンツ Eクラスクーペ▲写真はメルセデス・ベンツ Eクラスクーペのスタイリング画。美しく、とてつもなく速い。しかもお手頃価格になってきたトリプルスリーの1台だ

MやAMGやRSじゃなくても速い! 楽しい!! トリプルスリーの輸入クーペ

プロ野球のトリプルスリーになぞらえ、「最高出力300ps以上・最大トルク300N・m以上・中古車価格300万円以下」を紹介するこの企画。

今回は2010年式以降に登場した、比較的新しめの輸入クーペ編をお届けしよう。


国産車と違い、上限280psなんていう上限がなかったので、のびのびと最高出力を伸ばしてきた輸入車。

2000年代に入るとBMW Mモデルやメルセデス・ベンツ AMGモデルをはじめ、日常使いもできるセダンやクーペにも、300ps超のエンジンが搭載されることが増えていった。

とはいえ300ps超はやはり人気だし、たいていは新車時の価格が高いため、中古車相場も高めとなる。

例えばMモデルやAMGモデルは、トリプル3の基準のひとつである「300万円以下」で見つけようとすると、10年以上前のやや古めの中古車が中心となる。

しかし2010年式以降でも、数は少ないもののトリプルスリーの輸入クーペが見つかるのだ。

そこで、原稿執筆時点(2020年2月13日)で、トリプルスリーの要件を満たしながらも、「2010年式以降」で3台以上見つかったお得度満載の輸入クーペを紹介しよう。

格上3シリーズと同じエンジンを、マニュアルでも楽しめる
BMW 1シリーズクーペ(初代) 135i

BMW 1シリーズクーペ▲0-100km/hは5.3秒で、当時のポルシェ ケイマンSとほぼ同じ。下記の335iよりも速い。Mスポーツサスペンションやスポーツシートなどを含むMスポーツパッケージを標準装備

2008年2月に登場した1シリーズ初のクーペ。

BMWとしては名車2002のイメージを重ね合わせること狙い、当初は3シリーズに搭載していた3L直6ツインターボを載せた135iクーペのモノグレードのみという設定だった(後に2Lモデルが追加された)。

最大出力306ps/最大トルク400N・mを発揮する直6ツインターボに組み合わされたのは、3シリーズにも設定されていた6速ATに加え、6速MTも用意された。

3シリーズよりコンパクトなサイズで、しかもマニュアルでも直6ツインターボを操れるというわけだ。

なお2010年5月に、ATがトルコン式6速から2ペダルのデュアルクラッチ式7速となった。

ハッチバックの1シリーズは2011年にフルモデルチェンジとなったが、クーペは外観デザインやオーディオがUSB対応になったことくらいでその後も販売され、2014年に2シリーズクーペとようやく切り替わった。

デビュー時の車両本体価格は6速ATが549万円、6速MTが538万円。

原稿執筆時点で56台見つかり、うち6速MT車は17台見つかった。

ほぼすべてが支払総額300万円以下で購入でき、走行距離10万km超なら100万円を切るものも見つかる。

▼検索条件

BMW 1シリーズクーペ(初代)×135i×総額300万円以下×全国

シルキーシックスをツインターボでドーピング!?
BMW 3シリーズクーペ(E92型) 335i

BMW 3シリーズクーペ▲0-100km/hは5.7秒。ボディはセダンより約10kg軽い専用デザイン。フロントとサイドパネルに合成樹脂素材が使われている。アダプティブヘッドライトやアクティブステアリングを標準装備

3シリーズクーペとして最後となるモデルは、2006年9月に登場した。

306ps/400N・mを発揮する3L直6ツインターボ(後に1シリーズクーペにも搭載)に6速ATが組み合わされた335iが先に登場、翌年2L直4の320iが追加された。

当時は「BMW伝統のシルキーシックスにターボが備わるなんて!」 という反応もあったが、気持ちよく回るその魅力であっという間にBMWファンを納得させた。

最大トルクが1500回転という低回転域から5000回転まで得られるため、いつアクセルを踏んでも強烈な加速が楽しめる。

2008年11月に6速ATからデュアルクラッチ式の7速ATへと変更され、2010年5月の改良では燃費向上が図られた。

さらに2013年8月には、衝突被害軽減ブレーキを含む安全機能「ドライビングアシスト」が全車に標準装備となっている。

デビュー時の車両本体価格は701万円。

原稿執筆時点で32台見つかり、こちらもほぼすべてが支払総額300万円以下だ。1シリーズクーペ同様、走行距離10万km超なら100万円以下から狙える。

▼検索条件

BMW 3シリーズクーペ(E92型)×335i×総額300万円以下×全国

美しくて速いフラッグシップクーペが約200万円から狙える
BMW 6シリーズクーペ(2011年10月発売モデル)

BMW6シリーズクーペ▲650iの0-100km/hは4.9秒(2012年8月以降の新エンジンは4.6秒)。BMW初のLEDヘッドライトが当初オプションで用意されていたが、2015年のマイナーチェンジで標準装備された

2011年8月に登場した6シリーズクーペは、1937年に登場した327クーペに単を発するラグジュアリークーペの6シリーズの、第3代目となるモデル。

流麗なクーペスタイルに贅を尽くしたインテリアが奢られ、しかも走れば速いというBMWの当時のフラッグシップクーペだ。

搭載されたエンジンは2種類。ひとつは640iに搭載された320ps/450N・mを発揮する3L直6ターボで、同時期の5シリーズなどに搭載されたエンジンより出力&トルクとも高められている。

もうひとつは650iに搭載された407ps/600N・mの4.4L V8ツインターボ。どちらも8速ATが組み合われた。

翌2012年8月には650iのエンジンが450ps/650N・mの新型4.4L V8ツインターボに切り替えられた。

2015年のマイナーチェンジではエクステリアのデザイン変更や、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備をはじめ装備の充実化が図られた。

デビュー時の車両本体価格は640iが933万円、650iが1235万円とハイクラスらしいお値段。

原稿執筆時点では支払総額300万円以下で26台が見つかった。最廉価は7万km超の640iで200万円を切っている。ほとんどが640iとなる。

▼検索条件

BMW 6シリーズクーペ(2011年10月発売モデル)×総額300万円以下×全国

E550は自然吸気のV8でぶっ飛ばせる貴重なモデル
メルセデス・ベンツ Eクラスクーペ(2代目)
E550/E350ブルーエフィシェンシー/E550ブルーエフィシェンシー

メルセデス・ベンツEクラスクーペ▲E350には走行業況に応じてダンピングを自動調整して運動性能と快適な乗り心地を両立させる「アジリティコントロールサスペンション」、E550には走行モードに応じて乗り心地やハンドリング特性を変更できる「電子制御エアサスペンション」が装備された

現行型はその名のとおりEクラスをベースとしているが、2009年7月に登場した旧型は、実はCクラスセダンをベースに開発された。

ゆえに当時のEクラスセダンより全長で165mm短い。つまり大パワーエンジンでコンパクトなボディを振り回せるってわけだ。

当初E350に搭載されたのは272psの3L V6エンジン。

一方、E550には387ps/530N・mの5.5L V8エンジンが積まれ、どちらも7速ATが組み合わされた。

2011年7月にはE350の代わりに、改良で306ps/370N・mとなった3L V6を搭載するE350ブルーエフィシェンシーがラインナップした。

2011年11月にはE550も改良を受け、エンジンは4.7L V8ツインターボとなり、最高出力は408ps/600N・mまで向上している。

グレード名もE550ブルーエフィシェンシーとなった。なお、どちらの「ブルーエフィシェンシー」モデルも、エンジンの変更時に従来と同じ7速ながら進化したAT(7Gトロニックプラス)に変更されている。

2013年にマイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインの変更や、先進安全機能が備わった他、E550ブルーエフィシェンシーがラインナップから外れた。

デビュー時のE550の車両本体価格は1095万円、E350ブルーエフィシェンシーは865万円。

支払総額300万円以下で7台が見つかり、うちE550が2台、E350ブルーエフィシェンシーが5台、E550ブルーエフィシェンシーが1台。

すべて2013年のマイナーチェンジ前のモデルとなる。走行距離は5万km未満もあれば10万km超もあるが、ほとんどが支払総額180万円前後だ。

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Eクラスクーペ(2代目)×E550/E350ブルーエフィシェンシー/E550ブルーエフィシェンシー×総額300万円以下×全国

四輪で地面を駆る、貴重なトリプルスリーの4WDクーペ
アウディS5(初代)

アウディS5▲2009年8月の一部改良で、後輪左右にかかる駆動力配分を路面状況に合わせて常に最適化することで走行を安定させる「リアスポーツディファレンシャル」を標準装備

アウディ11年ぶりのクーペとして2008年に登場したA5。同時に登場した高性能バージョンがS5だ。

なお、さらに上には2010年にデビューしたRS5があるが、残念ながら今も中古車は300万円以上する。

S5は354ps/440N・mを発揮する自然吸気の4.2L V8を搭載し、6速ATと組み合わされる。

もちろんアウディお得意の4WDシステムであるクワトロが採用されている。

前後トルク配分はA5同様、前40:後60とやや後輪よりで、大パワー&トルクを四輪で地面に伝えながら気持ちのいいコーナリングを味わえる。

速度に応じてステアリング操作に対するタイヤの切れ角が変わる「アウディダイナミックステアリング」や、オート/コンフォート/ダイナミック/インディビジュアルという4つのモードからエンジンやサスペンションなどの特性を変更できる「アウディドライブセレクト」を標準装備するなど、A5よりは当然仕様は豪華。

2012年のマイナーチェンジで内外装デザインが変更されるとともに、エンジンが3L V6スーパーチャージャーに切り替えられた。

デビュー時の車両本体価格は861万円。

中古車は支払総額300万円以下で7台見つかった。うちマイナーチェンジ後の3L車は2台だ。走行距離は5万km超が多い。

▼検索条件

アウディ S5(初代)×総額300万円以下×全国
文/ぴえいる、写真/BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はフィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。