三菱 ディオン▲今回、紹介するのは2000年に登場した三菱 ディオン

スマート・ユーティリティ・ワゴンとして投入されたディオン

ディオンは、三菱が新たに「スマート・ユーティリティ・ワゴン(SUW)」と銘打って投入した意欲作だった。

スマート・デザイン並びにエコロジー・コンシャスの基本思想とうたっていた。要は「乗る人すべてが、楽で、使いやすく、自由度の高いワゴン」をテーマとしていた車だった。そんなディオン、ボディサイズを5ナンバーサイズに抑えながらも7名乗車が可能で、新車時価格が159.8万~と安かったのが最大の特徴だった。
 

三菱 ディオン

多彩なシートアレンジが可能

ディオンはミラージュ・ディンゴと基本コンポーネントを共用していた。これが価格を安く抑えられた理由のひとつではあるが、ボディパネルはすべて専用設計で、ボディサイズも実は異なる。全長は575㎜、ホイールベースは265mm伸ばされていた。

全長4460mm×全幅1695×全高1650mmというコンパクトなサイズで、最小回転半径は5.2mと素晴らしく小回りが利く車だった。左右分割式の2列目シート(3名用)を備え、3列目シート(2名用)は床下に収納することもできるので多彩なシートアレンジが可能になっていた。

なお、2列目シートは5:5の左右分割式なだけでなく、325mmのロングスライド機構が与えられていた。2列目にチャイルドシートを固定していても、反対側のシートから3列目にアクセスできるという利点があった。

ちょうどディオンがデビューする間際に、チャイルドシートの義務化となっていたので、当時は売り文句としてパンチがあったはずだ。

搭載していた2L直4エンジンは三菱が得意としていた直噴式で、最高出力 135ps/5800rpm、最大トルク18.7kg・m/3500rpmを発生。レギュラーガソリン仕様で10・15モード燃費はクラス最高峰の13.0km/Lだった。組み合わせられたトランスミッションは4速ATで、駆動方式はデビュー当初はFFのみだったが後にフルタイム4WDも追加された。なお、2002年のマイナーチェンジ以降、全車CVTを採用。

足回りは基本的にディンゴのものを踏襲していた。フロントがストラット式、リアがマルチリンク式サスペンションとなりディオン用のセッティングが施された。リアブレーキは今となっては珍しい(?)ドラム式で、ブレーキ容量はディンゴよりも重たいディオンのために1インチアップの9インチに変更されていた。

5ナンバー3列ミニバンの中では後発組となったディオン、ライバルを研究し使い勝手もワンランク上。前述のシートアレンジやチャイルドシートに加え、収納が すごかった。

インストルメントパネルまわりに「カップホルダー」、「インパネポケットトレイ」をはじめオーバーヘッド部に「サングラスポケット」、ドアに「可倒式大型ドアポケット」を採用。2列目シートには「足元収納ボックス」、ラゲージスペースに「ラゲージトレイ」「サイドボックス」など全16ヵ所に収納スペースを設置していた。

三菱 ディオン ▲3列目シートは反転機能があり、床下格納も可能で多彩なアレンジが可能

掲載台数は残りわずか

発売当初、月販約1万台を受注した三菱のヒット商品となったディオンだったが、2年半後のマイナーチェンジ頃には月販数百台にまで低下。テコ入れを図るもライバルの追い上げに太刀打ちできず、2006年に絶版となってしまった。

そんなディオン、原稿執筆時点(2020年2月3日)ではカーセンサーnetにたった4台しか掲載されていない。しかも全車、車両本体価格30万円未満というプライス。年式、走行距離による大きな相場の違いが見られないのも面白い。

コンパクトボディで7名乗車が可能で、古くなっても使い勝手の良さは変わらない、ディオン。日常の足としてまったく文句なく、新車時もリーズナブルだったが中古車も破格で流通している。なおかつ絶滅危惧車ということで、人とかぶらない車を探している人にはオススメかもしれない。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
 

三菱 ディオン
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/三菱

▼検索条件

三菱 ディオン (2000年1月~2005年12月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。