トヨタ C-HR ▲ひと昔前のSUVといえば四角い感じのものがほとんどでしたが、最近はクーペとSUVをクロスオーバー(融合)させたニュアンスの「美しきSUV」が増えているのです!

利便性と美しさの両立という、なんともステキな選択肢

2020年1月20日発売のカーセンサー3月号では「特徴を分けてみれば選びやすい! 今年からSUVがいいじゃない」という特集を展開している。

SUVといえば屈強なクロカン四駆がその原点ではあったものの、その後は、他ジャンルと文字どおりクロスオーバー(融合)しながら独自の進化を続けている真っ最中だ。

そして近年のSUVは、昔のクロカン四駆的モデルが主流だった時代には想像すらしていなかった「クーペあるいはスポーティカーとのクロスオーバー」も果たしている。

SUVならではの走破性と利便性をキープしながら、それでいて流麗なデザインとたたずまいも楽しめる「クーペ的SUV」は今、もしかしたら最高に魅力的な選択肢なのかもしれない……ということで、オススメの5モデルをピックアップしてみた。
 

トヨタ C-HR

2016年12月登場のトヨタ C-HRは、「もっといいクルマづくり」を目的としたトヨタの次世代車両技術「TNGA」を全面的に取り入れて作られたスポーティなコンパクトUV。世界各地で走行テスト繰り返して煮詰められた走りも魅力だが、「スピード感がある」というか「まるで彫刻のよう」と表現できそうなデザインも大いに魅力的だ。

パワーユニットは1.2Lターボまたはハイブリッドで、駆動方式は基本的に前者が4WDで後者がFF。だが途中2018年5月からは1.2LターボにもFFを設定している。その走りはターボもハイブリッドもなかなかシャープ。「スポーティだが大人4人が普通に座れる車」を探しているなら、有力候補のひとつとなるだろう。

中古車の流通量は豊富で、パワーユニット別に見るとハイブリッドが流通の7割以上を占めている。C-HR全体としての相場は160万~360万円と上下に幅広いが、ホットなゾーンは「総額190万円前後」のあたり。このゾーン付近で、ハイブリッドも1.2Lターボも走行数千kmから1万km台までの物件を探せるはずだ。

トヨタ C-HR▲まるでどこかのアーティストが作った彫刻作品のような面構成が斬新かつ美しいトヨタ C-HR

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トヨタ C-HR(初代)×修復歴なし×支払総額あり

日産 ジューク(初代)

日産 ジュークは2010年6月に発売となったコンパクト・クロスオーバーSUV。その造形は、2009年のジュネーブモーターショーで発表されたコンセプトカー「カザーナ」ほぼそのままという斬新なもの。「小型スポーツカー」と「SUV」という相反する2つの要素を、なんとも絶妙にミックスさせているのが特徴と言える。

基本となるパワーユニットは1.5L自然吸気または1.6Lターボのガソリンエンジンで、駆動方式はFFを基本としながらも、高出力な1.6Lターボ搭載グレードでは4WDも用意。またその他、最高出力214psのパンチが利いたエンジンを搭載する「NISMO RS」というスペシャルなグレードも存在している。

ジューク全体としての中古車相場は40万~250万円とかなり上下に幅広いが、中古車として好バランスなのは、全体の8割以上を占める1.5L自然吸気FFモデルで言うと、総額80万円前後かつ走行2万~3万km台の物件か。高出力な1.6Lターボを狙う場合は、「総額100万円前後」というのがひとつの目安になるだろう。

日産 ジューク▲ボンネット上の「釣り眼」がヘッドライトに感じられるが、実はその下の丸い部分がヘッドライトである日産 ジューク

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日産 ジューク(初代)×修復歴なし×支払総額あり

日産スカイラインクロスオーバー(絶版)

国産車としてはレアな「後輪駆動シャシーを用いた高級SUV」として2009年に7月に登場。というか、もともとは日産の高級車ブランド「インフィニティ」のSUV「インフィニティEX」として北米や欧州で販売されていたものだった。

インフィニティブランドのプレミアムSUVだけあってインテリアの高級感はさすがに十分以上で、居住性も良好。サスペンションも、スカイライン同様の前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンク式というぜいたくな機構が採用されている。

日本仕様のエンジンはフェアレディZと同じ最高出力330psの3.7L V6で、トランスミッションは7速AT。駆動方式はいわゆるFRが基本となるが、電子制御トルクスプリット四輪駆動システム「アテーサE-TS」を採用した4WDも用意された。

中古車の流通量はやや少なめだが「希少」というほどではなく、相場は70万~250万円といったところ。比較的低走行な1台をまずまずお手頃な予算で入手したい場合は、総額120万~170万円付近を重点的にチェックしたい。
 

日産 スカイラインクロスオーバー▲海外では「インフィニティEX」という車名で販売されていたが、日本に導入するにあたり「スカイライン」という冠が付くことになった日産 スカイラインクロスオーバー

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スカイラインクロスオーバー(絶版)×修復歴なし×支払総額あり

BMW X2(初代)

2018年4月デビューのBMW製コンパクトSUV。というか、BMW自身はこのカテゴリーのことをSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼んでいるのだが。

オーソドックスなスタイルのコンパクトSUVであるBMW X1と基本設計は共有しているが、X1より全長を80mm、全高を75mm短縮。前後オーバーハングを短くするととともに、クーペ的な低いルーフラインを採用している。全高が1550mm以下に抑えられたことで、一般的な機械式駐車場に入れられる点もX2の特徴と言える。

駆動方式はFFと4WDの双方をラインナップし、最高出力140psの1.5L3気筒ターボには7速DCTが組み合わされ、最高出力192psの2L 4気筒ターボは8速ATとなる。

中古車流通量は輸入車としては非常に豊富で、X2全体の相場は290万~600万円といったところ。お値打ちなのは総額300万円前後のsドライブ18i Mスポーツで、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどの先進装備が充実している物件を探したい。

BMW X2▲コンパクトSUVであるBMW X1をクーペ的フォルムに仕立てたBMW X2。一般的な立体駐車場に入る全高であることもこの車の美点

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BMW X2(初代)×修復歴なし×支払総額あり

ランドローバー レンジローバーイヴォーク(初代)

クーペ的な美しさを備えたSUVといえば、コレを外すわけにはいかないだろう。英国ランドローバー社としては初のコンパクトSUVとして2011年にリリースされた初代レンジローバーイヴォークである。

5ドアのイヴォークの他に、まさにクーペ的といえる3ドアの「イヴォーククーペ」もラインナップされたが、5ドア版の方でも十分以上にクーペ的で、また市場での人気も5ドア版の方が圧倒的に高い。ちなみに5ドアと3ドアは全長と全幅、ホイールベースは同じで、全高のみクーペの方が3cm低い。

搭載エンジンは最高出力240psの2L直噴ターボで、駆動方式はオンデマンド式4WD。トランスミッションは当初6速ATだったが、2014年モデルから9速ATに変更された。

コンパクトとはいえ輸入プレミアムSUVだけあって、中古車相場はさすがに格安ではない。しかし2019年6月に2代目(現行型)が登場したことで初代イヴォークの相場は若干下がっており、総額260万円付近からまずまず低走行な1台を探せる状況になってきている。
 

▲ランドローバー レンジローバーイヴォーク▲得も言われぬ「造形の妙」を感じさせる初代ランドローバー レンジローバーイヴォーク。写真は5ドア版だが、この他に3ドア版もあり、そちらの車名はまさに「イヴォーククーペ」となる

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ランドローバー レンジローバーイヴォーク(初代)×修復歴なし×支払総額あり
文/伊達軍曹、写真/トヨタ、日産、BMW、ランドローバー
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。