「アルファ ロメオ アルファ156 GTA」は「GTA」の名を冠するに恥じない絶滅危惧車だ!
2019/12/29
イタリアのだてな雰囲気のアルファ ロメオ アルファ156
アルファ ロメオ アルファ156は、1997年にフランクフルトモーターショーでデビューした。アルファ ロメオにとっては、ミドルクラスセダンでBMW 3シリーズ、アウディ A4、メルセデス・ベンツ Cクラスなどの対抗馬だった。
リーズナブルな価格設定ながらアルファ ロメオらしい、イタリアのだてな雰囲気を大切にした車だった。また、先代モデルにあたるアルファ155と比べると全方位的に品質を向上させ、“壊れやすい”というイメージの打開を図ろうとしたモデルでもあったのだろう。
日本では2002年に156 GTAが販売開始
2001年には、デビュー時と同じくフランクフルトにて、スポーティモデルの156GTAとステーションワゴンの156スポーツワゴンGTAが投入された。BMWのMモデル、アウディのSモデル、メルセデス・ベンツのAMGの対抗馬といえる、言うならばスペシャリティモデルだった。日本では2002年7月に販売を開始している。
GTAとは、1965年にジュリアGTAで用いられたネーミングだ。
この車は、1966年から1969年まで4年連続でヨーロッパツーリングカー選手権のチャンピオンとなったアルファ ロメオが誇る名車である。(“A”は軽量化を意味する“Alleggerita”)
アルミ、マグネシウム、亜鉛合金などの軽量金属で構成されたボディパネルのおかげで、車重は950kgから745kgに落とされたという。
一方、156GTAは……、そこまでドラスティックに軽い車ではなく車重は1420kgあった。225/45ZR17サイズのタイヤを収めるワイドフェンダーアーチ、ディフューザー一体型フロントバンパーなどを装着した他、車幅が10mm広げられ、ローダウンサスペンションの装着によって車高が15mm下げられた。とはいえ、ボディサイズはノーマルとほとんど変わらない。
サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアにマルチリンクでいわゆる“ベース”の156と一緒だ。ただ、GTA専用のダンパーやスプリングが奢られた他、ジオメトリーも専用設定された。
ブレーキには真っ赤に塗られたブレンド製対向4ポッド(フロント)が奢られ、スポーツモデルらしく優れた制動力が必要なことを想像させる。
エンジンは166やGTVに搭載される3LV6をロングストローク化することで、排気量を3.2Lまで拡大。吸排気ポートの形状やバルブタイミングを変更し、専用ECUや空冷式オイルクーラーが奢られ、最高出力は250psを誇っていた。
トランスミッションは6速MTの他、電子電制クラッチをもつ2ペダル5段MT「セレスピード」をラインナップ。3500rpmあたりから排気音が「フォォオーン」と変わっていくように、ほれぼれしたものだ。今でこそ“大したことない”ように感じてしまうが、0-100km/h加速は6.2秒で当時としては俊足な部類だった。
このV6エンジン、実は今後見直される可能性がある。というのも、アルファ ロメオの伝説的エンジニア、ジョゼッペ・ブッソが基本設計を手がけたV6エンジンの最終進化系だったからだ。「ブッソV6エンジン」はいつまでも語り継がれそうな雰囲気がある。
順当な値付けがなされている中古車市場
なお、このエンジン以降、V6エンジンは当時協力関係にあったGMから調達することになった。また、GTA自体セダンは1973台、スポーツワゴン は1678台しか生産されていない。
スポーティモデルの中古車相場に目を向けてみると、カーセンサーnet掲載物件では、最安値が108万円、最高値が198万円となっている。安いものは総じて走行距離が多いもので、高いものは走行距離が少ないもの、と“順当”な値付けがなされている。
新車時価格が544万円だったことを考えると思いのほか下げ止まっており、スペシャリティモデルならではの価値を維持しているようだ。これはブッソV6のおかげではないだろうか?
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
アルファ ロメオ アルファ156 GTA(2002年7月~2006年2月生産モデル)×全国▼検索条件
アルファ ロメオ アルファ156スポーツワゴン GTA(2002年7月~2007年4月生産モデル)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
【関連リンク】
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- 閑静な住宅街に潜む、跳ね馬と闘牛がいるガレージ【EDGE HOUSE】
- 【名車への道】’14 BMW i8
- 本場ドイツの名門レース「DTM」が、再び注目を集めるワケ!【EDGE MOTORSPORTS】
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ボルボ XC90 リチャージの巻