日産 デイズルークス▲2014年(2014年1~12月)の乗用車の販売台数は前年比0.8%増の約329万台、軽自動車は同7.6%増の約227万台。軽自動車の躍進が目立った2014年だった

衝突被害軽減ブレーキ装着車でも支払総額50万円程度から

車検前のタイミング、つまり新車登録時から3年後・5年後・7年後……に中古車物件が増えることが多い。

中古車を探す側としては、なるべく高品質の中古車を安く買いたいと思うはず。

3年後ではまだ価格は高めだが、7年後になると傷や走行距離の心配が増える。

そこで、今回ベストバランスとしてオススメしたいのが5年落ち物件だ。

今から5年前、つまり2014年に登場したモデルの中から、今回は軽自動車を紹介しよう。

2014年(2014年1月~12月)で最も売れた軽自動車は、ダイハツ タントだ。以下ホンダ N-BOX、日産 デイズ、スズキ ワゴンR、ダイハツ ムーヴと続く。

2014年4月から消費税が5%から8%に引き上げられたが、軽自動車は大きく販売台数を伸ばし、新車販売台数(乗用車+軽自動車)に対する軽自動車の割合が、1970年以降で初めて4割を突破した。

またタントは、人気普通乗用車のトヨタ アクアをわずかに抑え、2014年最も売れた車でもある。

軽自動車の勢いが鮮明になった2014年。そんなイケイケぶりを反映するかのように、この年にデビューした軽自動車は、OEMや兄弟車によるカブりを除いても8車種もあるのだ。

しかも、ひと言で軽自動車といってもSUVからミニバン、オープンカーとボディバリエーションは豊富で、目的用途に応じて選びやすい。

さらには走行距離5万km未満+衝突被害軽減ブレーキ装着のような車でも、支払総額50万円程度から見つかることがあるので、お買い得といえるだろう。

ぜひ車選びの参考にしてみてほしい。

個性と使い勝手を両立させたい人向け
ホンダ N-BOXスラッシュ(現行型)

ホンダ N-BOXスラッシュ▲Nシリーズ初の電子制御式パーキングブレーキを採用。後席ドアはスライド式のN-BOXとは異なりヒンジ式となる。衝突被害軽減ブレーキはGを除く全車に標準装備。4名乗車時でラゲージ容量は296L、リアシートを倒せば最大743L

Nシリーズの第5弾として、2014年12月に登場したホンダ N-BOXスラッシュ。

ベースとなったのは初代N-BOXで、アメリカ車のカスタムカーに使われるチョップトップ(ピラーを切って屋根を低くすること)のように、ピラーを100mmも切って背を低くし、さらに10mmローダウン。

ホンダいわく「2ドアクーペスタイル」となっている。

とはいえベースがスーパーハイト系のN-BOXだ。

10cm切られてもスラッシュの全高は1670mmと、ハイト系で同じ年にデビューしたダイハツムーヴ(1630mm)よりも少し高い。

それゆえ室内は広々としているし、後席シートがダイブして真っ平らになるなど使い勝手がいい。

ホイールやインテリアも60~70年代のアメリカ車を意識したデザインにし、オーディオにもこだわった遊び心いっぱいの軽自動車だ。

デビュー時の車両本体価格は138万~193万9400円。

走行距離5万km超なら上位グレードのターボ車でも支払総額100万円以下から選べる。街中でよく見るN-BOXではなく、個性的な軽自動車が欲しい人、でも使い勝手も重視したいという人にオススメだ。

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ホンダ N-BOXスラッシュ(初代)×2014~2015年式×全国

子育てファミリー層にうれしい装備がたくさん
日産 デイズルークス/三菱 ekスペース(現行型)

日産 デイズルークス▲リアドアの窓にはロールサンシェードを標準装備。衝突被害軽減ブレーキはデビュー時には設定がなく、2014年12月にメーカーオプション(ekスペースは一部グレードに標準)で設定され、2015年4月(ekスペースは2016年12月)に全車標準装備(写真は日産 デイズルークス)

日産と三菱による合弁会社NMKVによる第2弾は、2014年2月に超激アツなスーパーハイト系の日産 デイズルークス&三菱 ekスペース。

室内高は、最大のライバルダイハツ タントの1365mmを上回る1400mm、室内長もタントの2200mmを超える2235mmと、室内の広さが魅力のひとつ。

広いことを生かして、リアシートのスライド量をクラストップの260mmに設定。

運転席から後席のチャイルドシートにいる子供の顔にも手が届くとアピールした。

その他、日産お得意のアラウンドビューモニターや、キーを持っていればドアのボタンを押すだけで開閉できるオートスライドドア、後席の体感温度を4℃下げるリアシーリングファンなど、広さだけでなく機能面でも後発の強みを生かしている。

デビュー時の車両本体価格はデイズルークスが124万~185万2200円、ekスペースが122万4000~177万5550円。 走行距離10万km前後なら支払総額約50万円から、走行距離5万km未満+修復歴なし+衝突被害軽減ブレーキ装着車は約80万円から選べる。

ライバルに対して機能的なメリットも多く、特に子育て世代には魅力的な1台だといえる。

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日産 デイズルークス(初代・現行型)×2014~2015年式×全国

「スマアシ」装着車でも約70万円から選べる
ダイハツ ムーヴ/スバル ステラ(現行型)

ダイハツ ムーヴ▲「スマートアシスト」を全グレードに搭載車を用意。さらに2015年4月の一部改良でより進化したスマートアシストIIに、2017年8月のマイナーチェンジでスマートアシストIIIとなった。室内長はクラストップとなる575mm、リアシートは左右分割でリクライニング・スライド(240mm)式

2014年12月に登場したハイト系軽自動車のダイハツ ムーヴ&スバル ステラ。

次世代ベストスモールを目指して、新開発された骨格や足回りを備え、乗り心地や操作性など基本性能を高めている。

また、当時はクラストップの低燃費(ノンターボモデルが31.0km/L、ターボモデルが27.4km/L、いずれも2WD)を誇った。

搭載されるダイハツ自慢の衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシスト」は、軽自動車初となる後方誤発進抑制機能も装備。

坂道などで力強く走れる「パワーモード」機能や、日産のアラウンドビューモニターと同様の「トップダウンビュー」やLEDヘッドライト、スマホとの連動や声による目的地設定機能などを備えたカーナビが用意されていた。

デビュー時の車両本体価格はムーヴが113万4000~179万2800円、ステラは113万4000~171万7200円。

中古車なら、走行距離5万km以下&スマートアシスト装着車も支払総額約70万円から選べる。

スーパーハイト系よりも背が低い分、室内の広さはやや劣るものの燃費はいい。

衝突被害軽減ブレーキ搭載車が多いので、安全装備にこだわるならこの車がオススメだ。

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ダイハツ ムーヴ(6代目・現行型)/スバル ステラ(3代目・現行型)×2014~2015年式×全国

たくさん積んでアウトドアへ出かけたい人向け
ダイハツ ウェイク/トヨタ ピクシスメガ(現行型)

ダイハツ ウエイク▲全グレードに設定された衝突被害回避ブレーキ「スマートアシスト」は、2016年5月の一部改良でスマートアシストIIに、2017年11月にスマートアシストIIIへと進化した。ラゲージの床下収納は2WDなら2Lペットボトルを24本詰める。ラゲージからもリアシートをスライドできる

軽商用バンの広い室内に注目し、同じサイズで作られた軽乗用車が2014年11月に登場したダイハツ ウェイクだ。トヨタ ピクシスメガとしても販売されている。

キャンプや釣りなど45のシーンを想定して開発されたこともあり、撥水加工シートの採用などアウトドアで使いやすい工夫が施されている。

室内高は軽自動車トップの1455mm。大人でも少し屈めば着替えもできるし、子供なら屈まずに乗り降りできる。

高さに余裕のあるラゲージを有効に生かせるよう、空間を上下2段に仕切れるデッキボードが用意されたり、収納が豊富な他、アウトドアでの利用が想定されたオプションが多数用意されている。

デビュー時の車両本体価格はウェイクが135万~187万3800円、ピクシスメガは135万~174万9600円。

中古車の最安値は支払総額60万円以下だが、走行距離5万km&スマートアシスト装着車は約100万円から見つけられる。

キャンプなどアウトドア用品をタップリ積んで出かけたいという人にオススメ。

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ダイハツ ウエイク(初代・現行型)/トヨタ ピクシスメガ(初代・現行型)×2014~2015年式×全国

長く乗り続けていけるオープン2シーター
ダイハツ コペン(現行型)

ダイハツ コペン▲ハードルーフは約20秒で開閉。衝突被害軽減ブレーキの設定はない。ルーフを閉じるとトランクに9インチゴルフバッグひとつを収納できる。シートヒーターは標準装備

「着替えられるコンパクトオープンスポーツカー」という唯一無二の魅力を備えた2代目ダイハツ コペンは、2014年6月に登場。

樹脂製の外板はボルトで固定されていて、購入後に好みに応じて脱着できるのが最大の特徴だ。

取り替えパーツのシリーズは現在「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」の他、一般公募から生まれた「アドベンチャー」もある。

一方、同社のミライースをベースに専用開発されたプラットフォームを与えられるなど、軽量オープンスポーツカーとしての素行性能も魅力のひとつだ。

エンジンは専用チューンされた64psのターボのみで、5速MTか7速CVTが組み合わされる。

走行性能をさらに高めるため、ビルシュタイン製ショックアブソーバーやレカロシートが奢られたグレード「ローブS」「セロS」「エクスプレイS」も用意されている。

デビュー時の車両本体価格はCVT車が179万8200円、5MT車が181万9800円。

走行距離5万km未満&修復歴なしで支払総額は約130万円から。

外板パーツを取り替えられるので、気分を一新したくなったり、ボディの傷が増えたら丸ごと変えることもできる。これから先、長く乗っていきたい人にも向いている。

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ダイハツ コペン(2代目・現行型)×2014~2015年式×全国

アウトドアスポーツを楽しむにはピッタリ
スズキ ハスラー(現行型)

スズキ ハスラー▲衝突被害軽減ブレーキはAを除く全車に標準装備。アクセサリーソケットがラゲージにも装備されている。ラゲージフロアは汚れが拭き取りやすい樹脂製で、助手席を倒せばショートボードも車内につめる。ターボ/ノンターボ、5MT/CVT車がある

街乗り中心のSUVという、軽自動車にありそうでなかったカテゴリーをつくったのが、2014年1月に登場したスズキ ハスラーだ。

同社のジムニーほど本格的ではないが、急な坂道を下る際に車速を約7km/hに維持するヒルディセントコントロールや、雪道などの滑りやすい路面での発進をサポートするグリップコントロール(いずれも4WDのCVT車)など、SUVとしての頼もしい機能を備えている。

500mlのペットボトルも入るリアドアのポケットや、助手席アンダーボックスなど収納はタップリ。

助手席前のインパネや助手席をテーブルに使えたり、豊富なオプションが用意されているのでアウトドアでの使い勝手もよい。

ヒーテッドドアミラーや、後席用にヒーターダクト(CVT車)も用意されているので、寒冷地やウインタースポーツも楽しみやすい。

デビュー時の車両本体価格は104万8950~157万6050円。走行距離5万km未満+修復歴なし+衝突被害軽減ブレーキ装着車の場合、支払総額約90万円から見つかる。 スノボーやサーフィンなどアウトドアスポーツや、キャンプを気軽に楽しみたい人にオススメだ。

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スズキ ハスラー(初代・現行型)×2014~2015年式×全国

低燃費で衝突被害軽減ブレーキ付きでも約50万円から
スズキ アルト/マツダ キャロル(現行型)

スズキ アルト▲衝突被害軽減ブレーキ装着車は全グレードに設定された(デビュー時はレーダーブレーキサポート装着車、2018年12月の改良でデュアルセンサーブレーキサポートを含むスズキセーフティサポート装着車に変更)。最小回転半径はクラストップレベルの4.2m

低燃費で手頃な価格、という軽自動車の真髄を徹底的に追求し続けてきたスズキ アルト。

2014年12月に登場した8代目もそんな「軽自動車」を突き詰めた1台だ。

ハイブリッド機能をもたないガソリン車としては、当時ナンバー1の低燃費37.0km/L(JC08モード)で、最近は200万円超えの軽自動車も多い中、最廉価モデル(乗用車)の車両本体価格は84万7000円と90万円以下に抑えられた。

車高は決して高くないが、室内長2040mm、前後乗員間距離900mmはクラストップレベルで意外と広い。

エンジンはノンターボと、可変バブル機構を備えたノンターボ、可変バルブ+ノンターボ+エネチャージ(発電によるガソリン消費を抑える)の3種類が、ミッションは5MTとCVTの他に、5速AGS(オートギアシフト)の3種類が用意された。

デビュー時の車両本体価格は84万7800~122万9040円。

走行距離5万km未満+修復歴なし+衝突被害軽減ブレーキ装着車でも、中古車なら支払総額約50万円から見つかる。

そこまで車内の広さは求めない人には、お手頃価格で手に入れやすいモデルゆえオススメだ。

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スズキ アルト(6代目・現行型)×2014~2015年式×全国

これも軽自動車!? スズキ製エンジンを搭載したイギリス車
ケータハム セブン160(現行型)

ケータハム セブン160▲ヒーターや幌、フロントウインドウがオプションなので、購入時には必ず確認を

最後は少し変わり種を紹介しよう。

スズキ ジムニーの660ccターボを80psに高めたエンジンを搭載する、イギリス生まれのオープン2シーター、ケータハム セブン160。2014年4月から販売されたモデルだ。

ちなみに少し車に詳しい人だと「軽自動車の最高出力は64psが上限では?」と思う人がいるかもしれないが、64psはあくまでもメーカーの自主規制である。

軽自動車の定義としては排気量とボディサイズのみなので、セブン160は軽自動車登録できるイギリス車なのだ。フェンダーを抑えるなどして、日本の軽サイズに収めている。

トランスミッションは5速MTのみ。車両重量は490kgとジムニーの約半分で、0-100km/hは6.9秒、最高速度は160km/hだ。

クーラーや衝突被害軽減ブレーキの設定がないなど、普段使いは難しいが、趣味の車としてはかなり楽しい1台。

デビュー時の車両本体価格は394万2000円。

残念ながら2018年に生産終了がアナウンスされ、新車は在庫のみとなる。

原稿執筆時点で中古車は3台しかなく、車両本体価格は456万5000円~と、すでにプレミアム価格に。だが、この唯一無二感を考えれば、決して高くはないかも!?

今後、軽自動車規格のこうしたスペシャルカーはなかなか出にくいだろうから、気に入った中古車を見つけたら早めの行動が肝心だ。

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ケータハム セブン160(初代・現行型)×2014~2015年式×全国
文/ぴえいる、写真/ホンダ、日産、ダイハツ、スズキ、ケータハム

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。