アウディ S4 ▲今回紹介するのは、アウディ A4のスポーティモデルであるS4。特に今のうちチェックしておきたいのが、旧型となる5代目モデルだ

やたらと掲載台数が少ない歴代S4

アウディのラインナップは一般的なドイツメーカーとはちょっと異なる。

Aシリーズなどの“通常”モデルに、大中小様々な排気量のエンジンを搭載するグレードをラインナップしながら、スポーティグレードとして「S」シリーズを用意している。

そして、メルセデス・ベンツにおける「AMG」やBMWにおける「M」の対抗馬として、アウディは「RS」シリーズもラインアップ。

カーセンサーnetで検索していて気づかされたのは、歴代S4の掲載台数の少なさだ。

原稿執筆時点(2019年9月4日)で初代0台(1994年販売終了)、2代目1台(2001年販売終了)、3代目0台(2005年販売終了)、4代目1台(2009年販売終了)、5代目16台(2016年販売終了)、現行モデル16台、といった具合だ。

なぜここまでS4の掲載台数が少ないのかは、謎に包まれている。

廃車処分されるには、まだ“新しい”ので……推測するに、日本から海外へ中古車が流出しているからではないだろうか?

今ならまだ間に合う! 旧型・5代目S4が狙い目

アウディ S4 ▲流通台数的に今ならまだ間に合うのが、旧型となる5代目S4だ

今回注目したいのが、旧型となる5代目S4だ。他の歴代モデルのように海外流出する前に狙っておきたい。

というのも年式、性能、中古車相場を勘案すると、お値打ち感が強いのだ。

旧型S4が日本に登場したのは2009年のことだった。

4代目は4.2L V8エンジンを搭載していたが、旧型モデルでは軽量化・効率化・ダウンサイジングが図られた。

エンジンは最高出力333psを誇る、スーパーチャージャー付き3L V6エンジンとなった。最大トルクはなんと440N・m!

0→100km/h加速は5.3秒なので、本格スポーツカーも驚く俊足ぶりを発揮。組み合わせられたトランスミッションはトルコン式ではなく、デュアルクラッチ式の7速Sトロニックだ。ちなみに燃費は旧型モデルよりも2割弱向上していた。

アウディ S4 ▲最高出力333ps、最大トルク440N・mを誇るエンジンが組み合われるアウディ自慢の4WDシステム「クワトロ」が、しっかりとパワーを路面に伝える

S4専用のパーツとしてアルミ調ドアミラーカバー、LEDテールランプ、左右2本出しのエグゾーストパイプ、シルクナッパレザーの電動Sスポーツシートなどを装備。

アウディの市販車としては初採用となった、後輪左右駆動力を可変配分する「リアスポーツディファレンシャル」も標準装備されていた。このおかげでコーナリング中、外側の後輪が路面を力強く蹴り車体を旋回させていく。

と同時に、エンジンが軽くなったことでターンインも自然になった。旧型モデルでは重たいフロントノーズを4WDのグリップ力で曲げていたようにすら感じるほど。とにかく、スポーティなセダンに仕上がっている。

アウディドライブセレクトも標準装備していて、コンフォート、オート、ダイナミックと切り替えができる。これはスロットル、トランスミッション、ステアリング、ダンパー、デフのセッティングを変えるもので、新しめの車ならではの技術を満喫できる。

アウディ S4 ▲4本ものエグゾーストパイプが、よりスポーティな雰囲気を演出している
アウディ S4 ▲内装もS専用のデザインとなる。見た目だけではなく、機能的にもスポーティなものばかりだ

コストパフォーマンスが優れているモデル

S4の新車時価格は785万円だった。そんな高級車が今となっては100万円台後半から狙える。おおむね、中古車相場は年式に比例していて、ディーラーの認定中古車となると300万円からといった雰囲気だ。

なお、ステーションワゴンであるS4アバントも似たような中古車相場を形成している。一般的にドイツ車のステーションワゴンは、高値で流通しがちな中、珍しい中古車相場だ。

コストパフォーマンスという点において、これほど優秀な車も少ないように思う。だからこそ、日本から海外流出しやすいのかもしれない。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

文/古賀貴司(自動車王国)、写真/篠原晃一、アウディ

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アウディ S4(5代目)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。