▲AC100Vコンセントが車にあれば、冷蔵庫だって車内に持ち込めるし、コーヒーメーカーを使って入れ立てのコーヒーだって飲むことができる▲AC100Vコンセントが車にあれば、冷蔵庫だって車内に持ち込めるし、コーヒーメーカーを使って入れ立てのコーヒーだって飲むことができる

アウトドアをもっと楽しくするAC100Vコンセント装備の車

グランピングなんていう楽しみ方も人気になっているほど、このところキャンプがブームだけれど、そんなキャンプの頼もしい相棒になるのが車だ。

キャンプ道具をたくさん積んで、家族や仲間と移動できるSUVやミニバンが人気になっている一因もそこにあるだろう。

しかしキャンプを楽しむ際にもうひとつ、今どきの車だからこそできる機能に注目したい。それがハイブリッドカーなどの電池を搭載した車の一部に装備される、AC(交流)100V/1500Wのコンセントだ

一般的な車のシガーソケットはDC(直流)12V/120Wだから、その電圧(V)や電力(W)の大きさがおわかりいただけるだろう。

ちなみにAC100Vは家庭用のコンセントと同じ。つまり家庭で使う家電は、通常直流100Vの電圧が必要なのだ。

例えばAC100Vのコンセントがあれば、キャンプ飯の下ごしらえとして電子レンジを使える。さらに、ドライヤーも使えるのでサーフィンや水遊びがもっと快適になる。火をおこすのが面倒なら、ホットプレートで肉を焼くことだってできる。

(※コンセントが複数あっても、同時に使用できるのは1500W以内までとなる)

その他にもまだまだ使える家電はあるので、アイデア次第でもっと便利で快適なアウトドアを楽しむことができるだろう。

そしてもうひとつ忘れてはならないポイントがある。それは災害など万が一のときにも頼りになるアイテムだということ。

実際、東日本大震災の折は、当時AC100V/1500Wを唯一備えていたトヨタ エスティマハイブリッドに注目が集まった。

だからAC100V/1500Wコンセントは、ハイブリッドカーなどの電動車に必須アイテムになっていく……と思いきや、実はまだまだ「オプション設定」にしている車種が多い。

しかし、そんな中で標準装備している車種もある。今回はそんなAC100V/1500Wを標準装備しているモデルを紹介しよう!

ロングライフモデルだからこそ選びやすい
トヨタ エスティマハイブリッド(現行型)

トヨタ エスティマハイブリッド▲AC100Vコンセントはセンターコンソールに備わる。2012年のマイナーチェンジでラゲージにも追加され、2016年のマイナーチェンジではスマホやゲーム機の充電に便利なインパネ下にもコンセントも追加された。写真は2016年のマイナーチェンジ後のモデル
▲7人乗りと8人乗りがある。7人乗りの場合、オットマンが備わって最大800mmスライドできる2列目シートが備わる。3列目シートを床下に収納すると真っ平らなラゲージが生まれる▲7人乗りと8人乗りがある。7人乗りの場合、オットマンが備わって最大800mmスライドできる2列目シートが備わる。3列目シートを床下に収納すると真っ平らなラゲージが生まれる


2006年に登場したエスティマハイブリッド。AC100V/1500Wコンセントは当初から全車に標準装備し、東日本大震災では被災者を応援するライヴなど、数々の場面で活躍した。

その後もマイナーチェンジや一部改良を繰り返し、今も現行型として販売が続けられている。

2.4Lのエンジンと、フロント/リアそれぞれにモーターが備わる4WD車。約2トンという車重ながら電気モーターがガソリン車のターボのように効くため、するどい加速感も得られる。

また、どうやってもスピンさせることができないといわれるほど、車を安定させる統合車両姿勢安定制御システム(VDIM)が全車標準で備わる。そのためスキーなどウインタースポーツのお供にはピッタリの1台だ。

デビュー時の車両本体価格は363万3000円から。原稿執筆時点で支払総額50万円以下でも見つけられる。登場から10年以上がたつロングライフモデルなので、中古車の価格帯は幅広いため、予算やボディカラー、安全機能の有無など、条件に合わせて選びやすい。

▼検索条件

トヨタ エスティマハイブリッド(現行型)×全国

VIPもアウトドアでコンセントをガンガン使ってる?
トヨタ アルファード/ヴェルファイアハイブリッド(現行型)※一部グレード

トヨタ アルファード▲AC100Vコンセントはセンターコンソールの中と外にひとつずつ、2列目シートの座面横にひとつずつ、ラゲージルームにひとつの合計5つ。写真はアルファードハイブリッド
▲コンセントが備わるのは7人乗りのみとなる。オットマン機構が2列目シートの他、助手席にも備わったり、バックドアが電動で開閉できるなど豪華仕様だ。3列目シートの収納は左右跳ね上げ式▲コンセントが備わるのは7人乗りのみとなる。オットマン機構が2列目シートの他、助手席にも備わったり、バックドアが電動で開閉できるなど豪華仕様だ。3列目シートの収納は左右跳ね上げ式


ミニバン=ファミリー向けという枠を超え、今やVIPからも人気の高いトヨタ アルファード/ヴェルファイア。2015年の現行型登場時には、旧型に引き続きAC100V/1500Wを備えたハイブリッドカーが最初からラインナップされた。

AC100Vコンセントが標準装備されるのは、それぞれ以下の一部グレードのみ。

アルファード ハイブリッド
エグゼクティブラウンジ
エグゼクティブラウンジS
G Fパッケージ
SR Cパッケージ

ヴェルファイア ハイブリッド
エグゼクティブラウンジ
エグゼクティブラウンジZ
V Lエディション
ZR Gエディション

その他のグレードもオプションで用意されている。

いずれも現代の高級クルーザーらしく、どこに座っていても使いやすいようAC100Vのコンセントが5個も用意されているのが特徴だ。

2.5Lエンジンに、エスティマハイブリッド同様フロント/リアにある2つのモーターが備わる4WD車。VDIMも全車に標準装備されている。

AC100Vコンセント搭載車のデビュー時の車両本体価格は535万6800円から。原稿執筆時点で支払総額約400万円からと、人気モデルゆえお手頃価格になっているわけではないが、長く使いたいという人はぜひ検討してみてほしい。

▼検索条件

トヨタ アルファード/ヴェルファイア(現行型)×DC100Vコンセント標準装備グレード×全国

エンジンをかけなくても一日中家電が使える
三菱 アウトランダーPHEV(現行型)

三菱 アウトランダーPHEV▲AC100Vコンセントはリアシート下とラゲージの2ヵ所に用意されている。また任意に給電を停止できるよう運転席にオンオフのボタンがある。ラゲージ床下に自宅用給電ケーブルを収納できる
▲アウトランダーは8人乗りもあるが、大容量バッテリーを積むPHEVは5人乗りのみ。搭載するバッテリーの電力量は同じプラグインハイブリッドであるトヨタ プリウスPHVが8.8kWhのに対して、12kWhとハイブリッドカーとしては大容量だ▲アウトランダーは8人乗りもあるが、大容量バッテリーを積むPHEVは5人乗りのみ。搭載するバッテリーの電力量は同じプラグインハイブリッドであるトヨタ プリウスPHVが8.8kWhのに対して、12kWhとハイブリッドカーとしては大容量だ


2012年末にデビューした三菱 アウトランダーPHEVの魅力は、なんといってもエンジンをかけなくても一般家庭の電力消費量の約1日分相当、エンジンで発電すれば最大約10日分も給電できることだ。

電気自動車と違い、いざとなればエンジンで走ることができるから、心おきなくアウトドアで電気を使いやすい。

エンジンと電気モーターで動くハイブリッドカーや、外部充電もできるプラグインハイブリッドカーは少しずつ増えているが、エンジンをかけずにAC100V/1500Wのコンセントがずっと使い続けられるのはこの車だけだ。

こうした技術は同社の電気自動車i-MiEVで培った技術によるところが大きい。さらにランサーエボリューションで鍛えた4WD技術や、パジェロで養ったSUVのノウハウを備えているので、まさにアウトドア向きのSUVといえるだろう。

2Lエンジンにフロント/リアにそれぞれ配置したモーターが組み合わされる。電気だけで走るEV走行距離は60.2km(JC08モード。2018年のマイナーチェンジで65.0kmに)と、普段の街中だけなら電気自動車として使える。

デビュー時の車両本体価格は332万4000円から。初期型なら走行距離5万km未満でも支払総額約150万円から購入できる。

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三菱 アウトランダーPHEV(現行型)×全国

大容量の積載能力と使い勝手のいい電気自動車
日産 e-NV200(現行型)

日産 e-NV200▲センターパネルと助手席下のラゲージ側にAC100Vコンセントが備わる。ワゴンはEV専用ナビゲーションシステムが標準装備され、自動更新される充電スポットへの目的地設定が簡単だ
▲ワゴンは5人乗り(写真)と7人乗りがある。シートを畳んで収納量を増やしたいときは、3列目シートを左右に跳ね上げ、2列目を前方向に跳ね上げる。バックモニターが標準装備されているので、運転もしやすい▲ワゴンは5人乗り(写真)と7人乗りがある。シートを畳んで収納量を増やしたいときは、3列目シートを左右に跳ね上げ、2列目を前方向に跳ね上げる。バックモニターが標準装備されているので、運転もしやすい


本格的なキャンプを楽しむためラゲージの積載量にもこだわりたいなら、日産 e-NV200はどうだろうか。5人乗りのバン(1ナンバー)なら2列目シートを倒した最大積載量で3500Lもある。ワゴン(3ナンバー)の数値は公表されていないが、推して知るべしだろう。

旧型リーフの電気モーターとリチウムイオン電池をe-NV200用にアレンジして搭載。最高出力109psや最大トルク254N・m、バッテリーの電力量24kWhはリーフと変わらない(2018年のマイナーチェンジで40kWhに)。1回の充電で航続距離は300km(JC08モード)となる。

AC100Vコンセントは2ヵ所に用意されている。工事現場などで活躍する商用車として開発されていることもあり、1000Wの家電を約8時間(マイナーチェンジ後は15時間)使い続けることができる。

デビュー時の車両本体価格はワゴンの5人乗りが462万4560円、7人乗りが478万6560円。原稿執筆時点で走行距離1万kmでも支払総額約200万円で購入できる。中古車の場合は国による補助金制度(CEV補助金/20万円)を使えないが、それでも十分安いといえるだろう。

▼検索条件

日産 e-NV200/e-NV200バン(現行型)×全国

海や川遊びが楽しい夏が終わっても、すぐにキャンプが堪能できる秋が始まり、ウインタースポーツシーズンもあっという間にやってくる。

AC100Vコンセント標準搭載車で家電を使って、今までよりグレードアップしたアウトドアライフを楽しもう!

文/ぴえいる、写真/トヨタ、三菱、日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。