▲クーペのようなスタイリングもさることながら、ラゲージの開口部が大きいため、大きな荷物を簡単に積み込みやすいのがセダン風ハッチバックの魅力。写真はフォルクスワーゲン アルテオン▲クーペのようなスタイリングもさることながら、ラゲージの開口部が大きいため、大きな荷物を簡単に積み込みやすいのがセダン風ハッチバックの魅力。写真はフォルクスワーゲン アルテオン

最新のデザイントレンドは10年以上前から存在していた!?

2005年に登場したメルセデスベンツ CLSあたりから、4ドアクーペと呼ばれる「セダンのようなクーペ」が人気となり、フォルクスワーゲン CCやアウディ A7をはじめとしたフォロワーがいくつも誕生した。

逆に最新のセダンもクーペ風が当たり前になり、かつてのような3ボックス(エンジンルーム・居住空間・荷室)がはっきりした車は、今ではタクシーくらいしか見られなくなった気がする。

そして、さらに差別化を図るためかセダン風ハッチバックまで誕生するようになった。

3ボックス時代を踏襲して、一応セダン風クーペは居住空間と荷室がはっきりと分かれているんだけれど、セダン風ハッチバックはもはや居住部と荷室がつながった空間だ(つながっているが、荷室はトノカバーで覆われる)。最近の例でいえばフォルクスワーゲン アルテオンやプジョー 508といったところがこのタイプ。

セダン風ハッチバックのメリットは、バックドアがガバッと大きく開くので、大きな荷物を簡単に積める点だ。純粋なセダンのトランクが床を滑らせながら奥へ潜り込ませるのに対し、ゴルフバッグやクーラーボックスを上からドンッと降ろすように置ける。しかもスタイリングはクーペに負けないくらい流麗で美しいものが多い。

そんな最近流行のセダン風ハッチバックは現行モデルばかり……と思いきや、実はファッションと同様に流行は巡るようで、総額100万円台前半でもちょい古な中古車を見つけることができる。

今回はそんな「便利」「最新トレンドのスタイル」「手軽な価格」のセダン風ハッチバックを紹介しよう。

ランエボXの技術が移植されたモデルもある
三菱 ギャランフォルティス スポーツバック(初代)

▲新車時の車両本体価格は192万1500~301万3500円。当初は2Lと2Lターボ車のラインナップだったが、2009年に2L車は1.8Lエンジンに。2010年には全車に旋回性を高めるASC(アクティブスタビリティコントロール)を採用した▲新車時の車両本体価格は192万1500~301万3500円。当初は2Lと2Lターボ車のラインナップだったが、2009年に2L車は1.8Lエンジンに。2010年には全車に旋回性を高めるASC(アクティブスタビリティコントロール)を採用した
▲ラゲージ側のレバーを引くだけで後席が倒れる。その際ラゲージの床面の高さを後席部分と合わせてフラットで広いラゲージをつくることができる▲ラゲージ側のレバーを引くだけで後席が倒れる。その際ラゲージの床面の高さを後席部分と合わせてフラットで広いラゲージをつくることができる

三菱は2007年に3ボックスセダンのギャランフォルティス、そして翌年にセダン風ハッチバックのギャランフォルティススポーツバックを発売した。

2008年登場だからその頃はすでにメルセデスベンツ CLSがあったが、ギャランフォルテススポーツバックはそれとも違うハッチバックスタイルを特徴としていた。

スポーティなモデルという位置づけのため、フロント部分はセダンのスポーティモデルであるラリーアート(三菱のスポーツ部門)仕様と同じデザインに。サイドからリアにかけてはクーペ風のスタイリングにしている。

中でもラリーアート(4WDのみ)というグレードは、当時最新のダブルクラッチのミッションであるSSTや最高出力240psの2Lターボエンジン、エンジンと四輪のブレーキを制御して滑りやすい路面などで車を安定させる同社独自のASC(アクティブスタビリティコントロール)機能を備えるなど、当時のランエボXと同じ技術が投入されていて、走りが楽しい。

原稿執筆時点で総額50万円程度からあり、台数は少ないもののタイミングによってはラリーアートも総額100万円ちょいで見つけることができる。

▼検索条件

三菱 ギャランフォルティススポーツバック(初代)×全国

初代・2代目ではアテンザのイメージリーダーを務めた
マツダ アテンザスポーツ(2代目)

▲新車時の車両本体価格は228万~267万円。2010年のマイナーチェンジでは内外装のデザインと足回りの改良程度で大きな変更点はない▲新車時の車両本体価格は228万~267万円。2010年のマイナーチェンジでは内外装のデザインと足回りの改良程度で大きな変更点はない
▲セダンとワゴンのラゲージ容量が519Lなのに対し、ボディ後部の傾斜が強いスポーツはそれよりわずかに少ない510Lとなるが十分広い▲セダンとワゴンのラゲージ容量が519Lなのに対し、ボディ後部の傾斜が強いスポーツはそれよりわずかに少ない510Lとなるが十分広い

2008年に登場した2代目アテンザは初代同様、セダンとワゴン、そしてセダン風ハッチバックとなるスポーツの3タイプが用意された。アテンザスポーツはその名のとおり、セダンよりスポーティモデルという位置づけだ。

ラゲージ内のレバーを引くと後席の背もたれが倒れ、同時に座面も沈みこむので、簡単にフラットで広大なラゲージをつくることができる。

エンジンは2Lと2.5Lのガソリンエンジン。どちらもレギュラーガソリン仕様だ。

ミッションは2WDには5速ATと6速MT、4WDには6速ATが組み合わされる。ATはどちらもAAS(アクティブアダプティブシフト)機能を搭載。これはドライバーの操作や車両の挙動からスポーツ走行をしていると判断すると、コーナーで素早くシフトダウンするなどスポーティな変速を行ってくれるというもの。

原稿執筆時点で見ると総額50万円以内からあり、総額100万円だと内外装の質感が向上した後期モデルも容易に見つかる。

▼検索条件

マツダ アテンザスポーツ(2代目)×全国

クーペをベースに作られたセダン風ハッチバック
アウディ A5スポーツバック(旧型)

▲ワングレードのみ(デビュー当時の車両本体価格は575万円)で、乗車定員は4名。2012年のマイナーチェンジでヘッドランプの形状が変更され、下部が波形になった▲ワングレードのみ(デビュー当時の車両本体価格は575万円)で、乗車定員は4名。2012年のマイナーチェンジでヘッドランプの形状が変更され、下部が波形になった
▲ラゲージ容量は490LのA4アバントとわずか10L違うだけの480L。後席を倒せば1750mmの長尺物も積載可能▲ラゲージ容量は490LのA4アバントとわずか10L違うだけの480L。後席を倒せば1750mmの長尺物も積載可能

2010年に日本デビューした4枚ドア+バックドアのA5スポーツバックは、2ドアクーペのA5をベースにした変わり種。さらに言えばA5のベースはセダンのA4だからセダン→クーペ→クーペ風ハッチバックということになる。

同時期には次々に登場した「セダン風クーペ」に注目が集まったのだが、それらライバルと違ってA5スポーツバックは(今回のテーマのとおり)大きなバックドアを備えて差別化を図った格好だ。

2Lターボに7速Sトロニック(ダブルクラッチの2ペダルMT)の組み合わせで、同社自慢のクワトロ(フルタイム4WD)を搭載。当時の最新世代MMI(マルチメディアインターフェイス:HDDナビやTV、ETCなど)を標準装備する。

原稿執筆時点で総額100万円台前半から狙えるのは、2009年12月~2011年12月生産の前期型モデルのみ。

他の2台と比べると少し高く見えるが、装備内容や年式を考えれば十分お買い得になっている。

▼検索条件

アウディ A5スポーツバック(初代)×全国

ファッションでも最新トレンドを古着屋で見つけることがあるが、そうした古着や今回紹介した3台の中古車も、ポイントは新車(新品)よりは安く買えること。

そんな賢い買い方こそ、オシャレのポイントじゃないだろうか。

文/ぴえいる、写真/フォルクスワーゲン、三菱、マツダ、アウディ、尾形和美

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。