【人生初の車が輸入車で何が悪い?】「いきなり輸入車デビュー」でハズさないために必要な4つのこと
カテゴリー: 特選車
タグ: メルセデス・ベンツ / BMW / フォルクスワーゲン / プジョー / シトロエン / アルファ ロメオ / ビートル / Cクラスワゴン / タイプI / アルファ147 / 106 / 2CV / 3シリーズ / EDGEが効いている / 人生初の車が輸入車で何が悪い! / 伊達軍曹
2019/07/02
人生初の車が必ずしも「無難な国産車」である必要はない
「若い人が生まれて初めて買う車」について、世間ではしばしばこんなアドバイスがなされています。
「最初はどうせぶつけたりこすったりするし、若いうちは修理代とかもあまり持ってないはずなので、まずは安価で小さめな、ごく一般的な国産車の中古を買うのが得策と言えるでしょう。そういう車なら初心者でもあまりぶつけることはないし、仮にぶつけたり壊れたりした場合でも、修理代は比較的安く済む場合が多いからです」
このありがちな意見には、確かに一理あります。
筆者も免許取りたての頃は何回か車両の隅をこすってしまいましたので、人生初のマイカーだった某国産車(の中古車)は、割と小キズだらけの状態で乗っていました。
また恥ずかしながら修理のためのお金もさほど持っていなかったため、ほとんど故障らしい故障はしなかった某国産車(具体的にはマツダのファミリアです)の信頼性の高さには感謝しています。
でも、その後いろいろな経験を重ねた今にして思うのは、以下のとおりなのです。
「最初のうちはちょこちょこ小キズやへこみをこしらえてしまうリスクを許容できるのなら、そして『選び方と維持のコツ』みたいなものをあらかじめ把握できているなら、人生初の車が必ずしも無難な国産コガタシャ(の中古)である必要はない」
そうなんです。もしも欲しい車があるならば、そしてそれを買うためのお金があるならば、買っちゃえばいいんですよ。乗っちゃえばいいんですよ。
ただし……もしもあなたが18歳とか22歳ぐらいの新社会人で、比較的免許取りたてで、なおかつ「だが輸入車に乗りたい!」と考えているのであれば、いくつかの注意点はあります。
それは、先ほど申し上げた「選び方と維持のコツ」をあらかじめ知っておく――ということです。これを知らないままやみくもに買ってしまうと、場合にもよりますが「ドツボ」にハマることもあります。ちなみに25年前の筆者がまさにそうでした。
では、「だが輸入車に乗りたい!」と考える18歳から22歳ぐらいの人々に向け、不肖筆者がこれまでの経験と取材から学んだ「中古輸入車の選び方と維持のコツ」をご紹介しましょう。このコツを踏まえて事に臨めば、絶対とは申しませんが、「まぁおおむね大丈夫」ぐらいの結果にはなるはずだと確信しています。
●コツその1|なるべく構造がシンプルな輸入車を選ぶ
うなるほどお金を持っている人もいるでしょうが、お若い人は「ちょい金欠気味」である場合の方が多いかと推測します。そういった状況下でごく普通に輸入車を維持していくためには、「なるべく構造がシンプルな車種」を選ぶのが勝利への道です。
具体的には「電子制御」がなるべく少なく、サスペンションも「可変アクティブなんとか」みたいなややこしい形式ではなく、トランスミッションも「ごく普通の5MTまたは6MT」という感じの車種がいいでしょう。
構造がややこしい機械は「壊れ方」もややこしくなりますので、それを直すにはけっこうなお金がかかります。でもシンプルな機械は(ちゃんと整備しておけば)そもそもそんなに壊れないですし、壊れたとしても、伝統的な手法で比較的サクッと直すことができます。それゆえ、金欠気味のお若い方にはオススメなのです。
具体的な車種としてはフランスの「プジョー 106」や、イタリアの「アルファロメオ 147(ただし5MT限定)」あたりが、シンプル系のオススメとなります。
▼検索条件
プジョー 106(初代)&アルファロメオ 147(初代・MT)×全国●コツその2|なるべく愛好家が多い車種を選ぶ
構造がシンプルな輸入車であっても、乗っている人の数が少ない超マニアックな車種だと直してくれる専門家がいなかったり、部品流通が厳しかったり、あるいは同好の士から有益な整備情報を得るのが難しかったりします。
しかし、世界中で多くの人から愛好されているメジャーブランドのメジャー車種なら、それを専門に扱っている業者の数が多く、その補修部品も世界中で数多く流通しています。さらには整備や弱点克服に関する様々な知見も、リアルとネットの双方で広く共有されています。
そういった車種を選べば、それがあなたにとって「人生初の輸入車」であったとしても、特に大きな困難は生じない場合が多いものです。もちろん、国産車/輸入車を問わず趣味的な車というのは「多少の困難」は付き物なのですが(笑)、そこさえ気にならないならば、オススメしたい選択肢となります。
具体的な車種としては、「2世代か3世代ぐらい前の、あまり大きすぎないサイズのメルセデス・ベンツやBMW 」あたりが有力候補でしょうか。意外かもしれませんが、「ポルシェ」だって該当する候補のひとつです。
ベンツやBMW、あるいはポルシェというのはコツその1で言った「シンプル系」ではないのですが、ちょっと前の世代ならば相対的にシンプルな構造ですし、そもそも圧倒的な人気車種なので、専門店も達人も世の中にゴロゴロしています。そういった人々の知見をまずは頼るようにすれば、想像以上にフツーに維持できるものです。
その他では、マニアックな選択にはなりますが「空冷のフォルクスワーゲン ビートル(タイプⅠ)」や「シトロエン 2CV」あたりも、頼れる専門家がそこかしこに存在している車種ですので、決して楽勝ではないものの、まあまあなんとかなるはずです。ちなみにこの2車種は「構造がシンプル」という特長もありますしね。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン(S204)&BMW 3シリーズ(E90)&シトロエン 2CV&フォルクスワーゲン ビートル(タイプⅠ)×全国●コツその3|納車前整備をケチらない
中古車であってもかなり高年式な個体であれば、極端な話「納車前整備ゼロ」でも普通に乗れたりします。しかし「総額100万円以内」ぐらいの予算感で輸入車を買うとなると、その年式は必然的に「ちょい古め」になるものです。
そういった「ちょい古めの車」というのは、輸入車だろうが国産車だろうが「そろそろ替えておくべき部品」をちゃんと替えてやらないと、そのうち必ず故障します。いや「故障」というのは正確じゃないですね。「消耗部品が寿命を迎え、それによって不具合が生じる」ということです。
そのため、納車前整備(各部が適切に動くかどうかの確認と、替えておくべき消耗部品の交換)はばっちりやっておくに越したことはありません。いや、「越したことはない」というよりも「マスト」と思った方がいいでしょう。
カーセンサーnetの記載内容を細かいところまでよ~く読み、そして実際の店頭では整備記録簿の記載内容を確認し、まずは「そもそもしっかり整備されてきた個体」を探してください。そしてそのうえで、さらに「完璧と思える納車前整備」を重ねてください。
そうすると支払総額はそこそこ高くなるわけですが、これを怠るとまたはケチると、結局は後で壊れて「むしろ高くついた……」となる場合がほとんどです。それを避けるためにもなるべくいいモノを選び、それになるべくいいメンテナンスを施してください。そうすれば、車に限らず「機械」というのはそう簡単には壊れません。
●コツその4|とはいえ「ある程度の予備費」は用意しておく
以上のコツ1~3を頭に入れ、そして実践すれば、基本的にはそう大きな問題もなくシアワセな輸入車ライフが送れるでしょう。しかし、それでもやっぱり不測の事態が起こったりするのが人生であり、中古の機械の常です。
そのときのためにある程度の「予備費」は常備しておく必要があります。具体的な必要金額は車種等によりケース・バイ・ケースなので一概には言えませんが、まぁなんとなく「10万円ぐらい」でしょうか。そのぐらいの予備費(突発的な整備費用)が確保できていれば、おおむね対処できる場合がほとんどです。
逆に言えば、予備費10万円すら用意できないというのであれば、酷な言い方かもしれませんば「輸入車は、というかそもそも自家用車の購入はあきらめた方がいい」ということになります。しっかりと整備された車で、十分な保険に入ったうえで安全に走らせるというのはドライバーの義務ですから、やはりある程度の自己資金って絶対に必要なんですよね。
いろいろ申し上げましたが、煎じ詰めて言えば「人生初の車として中古の輸入車を買いたい」という場合に必要なのは、下記4つのカンタンな約束事だけです。
1. シンプルな車を選ぶ
2. もしくはメジャーな車種を選ぶ
3. 納車整備をケチらずビシッと行う
4. そのうえで少々の「車貯金」を持っておく
もちろん全員に「いきなり輸入車に乗ろうぜ!」と言っているわけではありません。なんだかんだ言って、最初は無難な国産コンパクトカーとかを買う方が何かとラクなのは間違いありませんから。
しかし、多少の不便を押してでも「それに乗りたい!」という車がもしもあるのなら、変な妥協はせず、最初からそれを選ぶべきだとは思っています。
熱いハートとクールな準備でもって、信じた道を突き進んでください。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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