▲写真は2015年に登場した現行型シボレー コルベットZ06。6.2LのV8エンジンはスーパーチャージャーを備え、最高出力659psを誇る。新車の車両本体価格は1467万9900円から。中古車では総額1200万円前後だ ▲写真は2015年に登場した現行型シボレー コルベットZ06。6.2LのV8エンジンはスーパーチャージャーを備え、最高出力659psを誇る。新車の車両本体価格は1467万9900円から。中古車では総額1200万円前後だ

復活したアメ車の現代版マッスルカーは正規輸入もされている

マッスルカーとは、1960年代から70年代にかけて輝いたアメリカ車のハイパフォーマンスモデルのこと。代表的な車種にはダッジ チャージャーRTやポンテック GTO、プリムス ロードランナーなどがある。

「ガソリン? アメリカじゃ掘れば石油が湧くんだから大丈夫だぜ!」と言わんばかりに燃費など気にせずビッグパワー&大排気量を競っていたアメ車のマッスルカーたち。

だけれど、1970年に大気汚染の防止を目的としたマスキー法が制定され、さらに1973年の石油危機が起こると一気に下火に。

しかし、その後も脈々とマッスルカー人気の火はアメリカ国内だけでなく、日本を含めた海外でも密かに灯り続け、2000年代に入るとついにシボレー カマロやフォード マスタングのハイパフォーマンスモデルが復活した。

例えば、6.2LのV8を搭載したカマロZL1は650馬力、5.2LのV8を積むマスタング シェルビーGT350は526馬力を発揮(いずれも2019年モデル)。さらに700馬力超のシェルビーGT550が2020年に登場することも発表されている。

残念ながら、カマロZL1やシェルビーGT350は日本に正規輸入されていないが、並行輸入車をカーセンサーで探すことができる。

さらにカマロやマスタングでなくても、正規輸入された500馬力を超える現代版アメ車・マッスルカーもある。しかも手頃な価格になった中古車で手に入れることができるのだ。

そんなハイパワーでお買い得感の高い現代版アメ車のマッスルカーを3台紹介しよう。

※上記の各馬力の単位はhp。1hp=約1.01ps

他のコルベットとはボディが別物
シボレーコルベット Z06クーペ

▲コルベットのクーペは、本来ルーフが脱着式だが、Z06はボディ剛性を高めるため固定されている。ボンネット前面にエアスクープがあるのが、通常のコルベットとの見た目の大きな違いひとつ▲コルベットのクーペは、本来ルーフが脱着式だが、Z06はボディ剛性を高めるため固定されている。ボンネット前面にエアスクープがあるのが、通常のコルベットとの見た目の大きな違いのひとつ
▲太いタイヤを収めるため、フロント・リアのフェンダーが張り出し、フロントには大型のエアアウトレットが設けられた▲太いタイヤを収めるため、フロント・リアのフェンダーが張り出し、フロントには大型のエアアウトレットが設けられた

2006年、旧型コルベットのラインナップに加わったマッスルカーがZ06だ。「ズィー・オー・シックス」と発音する。

レース専用車のコルベットC6.Rと同時に開発された市販車バージョンで、搭載される7L V8エンジンは最高出力505hp(約511ps)/最大トルク637N・mというパワー&トルクを発生する。

耐久レースで培われた数々の技術を投入するため、他の旧型コルベットとは異なるパワートレインからボディ構造、シャシーシステムとなった。

メーカーいわく「完全に新規の車両」なのだ。アルミやマグネシウム、カーボンなどを多用しているため現行型シボレーカマロより軽い1440kgというボディ。それで505hp/637N・mなのだから、その加速力たるや、なのだ。

もちろんビックパワー&トルクに見合うよう、サスペンションマウントが他のコルベットでは溶接なのに対して、鋳込まれているなどボディのあちらこちらに「Z06専用」の技術が投入されている。

組み合わされるミッションはZ06用に強化された6速MT。新車時の車両本体価格は945万円だが、原稿執筆時点で車両本体価格500万円以下からと、お得な物件を見つけることができる。

▼検索条件

シボレー コルベットZ06(6代目)×全国

ラグジュアリーセダンであり、マッスルカー
キャデラック CTS-V

▲サーキット走行を目的に開発されたパフォーマンス・トラクション・マネジメント(サーキット走行時のトルクとブレーキを5段階で制御)を装備▲サーキット走行を目的に開発されたパフォーマンス・トラクション・マネジメント(サーキット走行時のトルクとブレーキを5段階で制御)を装備
▲シートはバケットタイプだが、スペックAではセミアニリンレザーが奢られているなど、ラグジュアリーさも併せもっている▲シートはバケットタイプだが、スペックAではセミアニリンレザーが奢られているなど、ラグジュアリーさも併せもっている

日本では高級車としてのイメージが強く、実際豪華で最先端装備を備えるキャデラックのセダンCTSに、レース技術が投入されたVシリーズが登場したのは2016年。

スーパーチャージャーが備わる6.2LのV8エンジンは最高出力649ps/最大トルク855N・mを発生。組み合わされるミッションはパドルシフト付きの8速ATだ。

パワー&トルクに合わせてボディ剛性も通常モデルより20%アップ。カーボンファイバー製エンジンフードの採用やフェンダーの拡大、フロントグリル開口部の大型化など、エクステリアもCTS-Vオリジナルだ。

ツアー、スポーツ、トラック(サーキット走行)、スノー/アイスの4つの走行状況に合わせてサスペンションやエンジン特性等を変えられる他、レーシングカーのように素早く発進できるローンチコントロールも装備する。

新車時の車両本体価格はスペックAが1330万円、カーボンパーツやレカロ製シートを備えるスペックBが1470万円。

登場してまだ約3年にも関わらず原稿執筆時点で車両本体価格が900万円以下から見つかり、走行距離1万km未満の良固体もあるなど、お買い得感が高い。

▼検索条件

キャデラック CTS-V(3代目)×全国

【番外編】マッスルカー伝統のV8 HEMIエンジンを搭載
ジープ グランドチェロキー トラックホーク

▲フロントグリルにジープを象徴する7つの開口部の下に、横に伸びるエアインテークが追加された他、リップスポイラーが備わる▲フロントグリルにジープを象徴する7つの開口部の下に、横に伸びるエアインテークが追加された他、リップスポイラーが備わる
▲スエード/ナッパレザーが奢られたインテリア。さらに高級なラグーナレザーシートも用意されている▲スエード/ナッパレザーが奢られたインテリア。さらに高級なラグーナレザーシートも用意されている

2018年に登場したジープ グランドチェロキートラックホークは、サーキット走行も楽しめる、ジープ史上最強にして最速のSUVだ。登場したばかりで中古車も少なく価格もまだ高めとお買い得感はいまいちだが、ぜひ紹介したい1台だ。

搭載されるエンジンはかつてのマッスルカー全盛期にも輝いていたクライスラーの伝統的なエンジン「ヘミエンジン」の最新バージョン。スーパーチャージャーを備えた6.2LのV8ヘミエンジンは最高出力707ps/最大トルク875N・mを発揮する。

550psのポルシェ カイエンターボや、650hpのランボルギーニ ウルスを凌ぐハイパワーを発揮するこのエンジンは、本国アメリカではダッジ チャレンジャーSRTヘルキャット(もちろんマッスルカー)にも搭載されている。

サーキット走行も想定して足回りには大型化されたブレンボ製ブレーキキャリパー、アダプティブダンピング機能を備えたビルシュタイン製サスペンションを装備。

とはいえ、背が高いSUVではサーキット走行は不利なので、コーナーを攻めるというよりは最終コーナーを立ち上がってからのストレートで「SUVなのに最高速度約290km/h!」を味わってみたい。

新車時の車両本体価格は1230万円。先述のように2018年から販売が開始されたばかりなのでまだ中古車は少ないが、総額約1200万円で走行距離0.5万kmの中古車が見つかる。

▼検索条件

ジープ グランドチェロキー トラックホーク(4代目)×全国

アウディやベンツ、ポルシェにジャガー……ヨーロッパ勢がEV化に突き進んでいる中、大排気量&ビッグパワーなV8エンジンをアメ車はいつまで作り続けられるか? 手に入る今のうちに狙った方がいいかもしれない。

文/ぴえいる、写真/シボレー、キャデラック、ジープ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。