ミニバンみたいなハッチバック! 絶滅危惧車のエリオはスズキの世界戦略車だった
2019/05/09

当時のスズキの世界戦略車だった
スズキ エリオはかつてスズキが投入していた、ミニバンテイストのコンパクト5ドアハッチバックの普通乗用車。
後にセダンも投入され、日本のみならず世界で販売された世界戦略車だった。
スズキの開発意図は“欲張り”で「ミニバンの居住性、ステーションワゴンの使い勝手、セダンの走りを兼ね備えた」とうたわれていた。
また、優れた衝突安全性を確保し、低排出ガスエンジンを採用するなど、スズキの新世代小型車を担うカタチとなった。
イギリスBBCの人気自動車番組「Top Gear」では、長年、有名人/レーシングドライバーが参加するタイムトライアル車としてエリオが用いられてきた。
もっとも、海外ではエリオは「LIANA(リアーナ)」と呼ばれていた。ちなみにLIANAは新しい時代の生活様式にあった車、という意味を込めて「Life In A New Age」の頭文字を取ったものだった。
日本での車名「エリオ」はというと、英語で空気を意味する「Air」と、スペイン語で川を意味する「Rio」を組み合わせた造語。
広々とした居住空間と流れるようなスムーズな走りをイメージしたネーミングと、スズキのホームページに車名の由来が掲載されている。


GMやオペルの影響を受けていた?
プラットフォームは他車からの流用ではなく、全くの新設計だった。
エンジンはスイフトに投入されていた1.3L 直4を1.5Lまでボアアップしたものが搭載された。
可変バルブタイミングを備えたエンジンはオールアルミ製で最高出力110ps、最大トルク14.6kg-mだった。
後に最高出力125ps、最大トルク17.3kg-mの1.8L 直4エンジンも搭載されたが、こちらはスズキ初の3ナンバーサイズとなった。
いずれのエンジン搭載車でもFF/4WDが設定され、5速MT/4速ATを選ぶことができた。
4速ATはちょっと特徴的で、「ニュートラル・スリップ」制御が採用されていた。
これはDレンジで停車した際、燃料消費を低減させるためにATが自動的にニュートラルに近い状態になるというもの。
同時期のオペル車のATでも似たような機能が採用されていた。当時、GMやオペルと提携していた影響だったのかもしれない。
エリオのボディサイズは全長4230mm×全幅1690mm×全高1550mm。全高は日本の立体駐車場を意識した数字だったと思われる。
とはいえ、室内高は1275mm確保されており、ちょっとしたミニバン並みの数値だった。
また、コンパクトなボディながら、そもそも軽自動車を得意とするスズキだけあって室内空間の生かし方は上手だった。
“欧州で鍛えた”とうたわれた四輪ストラットはやや硬めで、ステアリングのアシスト量も少なめだった。
そういう意味では、欧州車を意識していたのかもしれないし、国産ライバルとの差別化を図ろうとしていたのかもしれない。

エクステリアは「地味」だといわれていたが、5ドアハッチバックのリアは特徴的で今見ても斬新だ。カッコつけることを狙わず、小型車で必要な要素を詰め込んだ質実剛健な車と評するべきなのかもしれない。
“損切り”が早いスズキは、売れ行きが悪いと往々にして生産終了することが多い。
そんなスズキだが、エリオは2007年まで生産された。
よって、決して売れなかったわけではないはずだが、今となっては中古車を探すのは至難の業。
輸出されてしまったのか、廃車処分されてしまったのか定かではないが……、とにかく中古車の流通量が少ない。
そういう意味では、希少価値が高いし、差別化を図るにはうってつけな車とも言える。
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▼検索条件
スズキ エリオ(初代)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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