▲写真はメルセデス・ベンツ SクラスのV12気筒。Sクラスの中でも最上級グレードであるS600(しかも日本はそのストレッチ版のS600ロング)のみ採用されるなど、選ばれたモデルしか12気筒は搭載されない ▲写真はメルセデス・ベンツ SクラスのV12気筒。Sクラスの中でも最上級グレードであるS600(しかも日本はそのストレッチ版のS600ロング)のみ採用されるなど、選ばれたモデルしか12気筒は搭載されない

手の届くうちに最多気筒の量産内燃エンジンを

電気自動車の時代はやって来るだろう。ボクは嫌いじゃない。排気ガスが一切出ないのはもちろん、電気モーターの加速力はやっぱり魅力的だ。

ポルシェが2011年に発売した918スパイダーは、3.4LのV8エンジンに電気モーターパワーを上乗せして0-100km/hを2.6秒で駆け抜ける。2018年式である現行911 GT2 RSの2.8秒すらしのぐスーパーカーだ。

それでも昭和のスーパーカー世代にとっては、ポルシェといえばV8エンジンにモーターを加えたものでなく、1975年に登場した911ターボの水平対向6気筒ターボのイメージが強い。そして、気筒数がさらに多い、V12気筒を積んだランボルギーニ カウンタックやフェラーリ 512は憧れの存在だった。

ところが、そんな小学生時代を過ごし大人になり、いざ買おうとそれらを見れば、スーパーカーブームの火付け役のカウンタック LP400は、そもそも市場に出回らず、あっても1億円超え。

フェラーリ 512BBはカーセンサーに掲載されている物件で安いものでも4000万円オーバー。骨董品のような高価格となり、中古車であってもとても近づける存在ではない。

では、12気筒エンジンを搭載したモデルは、もう手の届かない存在ばかりなのかといえば実はそんなことはない。もちろん俗に言われるスーパーカーではないが、今ならメルセデス・ベンツ Cクラスの新車価格以下で12気筒エンジンを堪能することができる。

それどころか総額300万円以下で狙うことができる。例えばツインターボで武装したメルセデス・ベンツのV12や、6気筒エンジンの名機VR6を2つ組み合わせたフォルクスワーゲンのW12。片側の6気筒が止まってもう一方の6気筒で走らせるトヨタ精魂のV12などなど。

かつては速さを求めてエンジンの気筒数が増やされた。当然、限られたモデルにしか12気筒は搭載されない。

しかもトヨタ センチュリーが次期型でV12を不採用とするように、12気筒は間違いなく先細りするだろう。電気自動車の時代がリアルになりつつある今、12気筒エンジンを手にする最後のチャンスかもしれない。そしてボクは、12気筒を知らないチェリーボーイとして終わりたくはない。

以下、現在カーセンサー上に掲載されていて、総額300万円以下で購入できるモデルを紹介していこう。

【メルセデス・ベンツ S600ロング(5代目)】ツインターボを備えた5.5LのV12エンジンは最高出力517ps、最大トルク830N・mを発揮。約2.2tもあるボディを静かに、かつ滑らかに走らせる。一方アクセルを踏み込めば、離陸するんじゃないかと思うような加速感も。Sクラスの最上級グレードの、ストレッチバージョンゆえ、質感も機能もファーストクラスだ 【メルセデス・ベンツ S600ロング(5代目)】ツインターボを備えた5.5LのV12エンジンは最高出力517ps、最大トルク830N・mを発揮。約2.2tもあるボディを静かに、かつ滑らかに走らせる。一方アクセルを踏み込めば、離陸するんじゃないかと思うような加速感も。Sクラスの最上級グレードの、ストレッチバージョンゆえ、質感も機能もファーストクラスだ
【フォルクスワーゲン トゥアレグW12(初代)】ゴルフRなどに採用された名機VR6(6気筒)エンジンを2つ組み合わせて開発されたW12型エンジンを、ポルシェ カイエンとほぼ同じシャシーのトゥアレグに搭載。スポーツ(100台)とエクスクルーシブ(150台)という特別仕様車として販売された。本格的なオフロードにも対応する4WDシステムも備える 【フォルクスワーゲン トゥアレグW12(初代)】ゴルフRなどに採用された名機VR6(6気筒)エンジンを2つ組み合わせて開発されたW12型エンジンを、ポルシェ カイエンとほぼ同じシャシーのトゥアレグに搭載。スポーツ(100台)とエクスクルーシブ(150台)という特別仕様車として販売された。本格的なオフロードにも対応する4WDシステムも備える
【トヨタ センチュリー(2代目)】日本車史上初で、現状は唯一のV12気筒エンジンを搭載。あふれるトルクがVIPを静かに送迎する、という意図で開発された。2列に並ぶ6気筒のどちらか一方が故障しても、残りの6気筒が確実に仕事をする。2017年2月に生産終了。次期型はV8ハイブリッドになるようなので、もしかしたら日本史上初で最後のV12かも!? 【トヨタ センチュリー(2代目)】日本車史上初で、現状は唯一のV12気筒エンジンを搭載。あふれるトルクがVIPを静かに送迎する、という意図で開発された。2列に並ぶ6気筒のどちらか一方が故障しても、残りの6気筒が確実に仕事をする。2017年2月に生産終了。次期型はV8ハイブリッドになるようなので、もしかしたら日本史上初で最後のV12かも!?
【メルセデス・ベンツ CL600(2代目)】5.8LのV12が搭載されており、最高出力は367psを発生する。Sクラス系のプラットフォームをベースにした最上級のラグジュアリークーペ。丸目4灯のヘッドライトを採用した外観はダイナミックで格調の高いスタイリングで、インテリアは随所に本革や木目パネルを配置し、パーソナルクーペならではの上質な雰囲気を作り上げた 【メルセデス・ベンツ CL600(2代目)】5.8LのV12が搭載されており、最高出力は367psを発生する。Sクラス系のプラットフォームをベースにした最上級のラグジュアリークーペ。丸目4灯のヘッドライトを採用した外観はダイナミックで格調の高いスタイリングで、インテリアは随所に本革や木目パネルを配置し、パーソナルクーペならではの上質な雰囲気を作り上げた
【BMW 7シリーズ 760Li(4代目)】デビューは2001年だが、V12を搭載したモデルは2003年に登場した。6.0Lのエンジンは最高出力445psとなる。燃費と排気ガス性能を向上させるバルブトロニックをはじめ、電子制御6速AT、マン・マシンインターフェースの革命ともいえるiドライブの採用など、意欲的な車作りが際立つモデルだ 【BMW 7シリーズ 760Li(4代目)】デビューは2001年だが、V12を搭載したモデルは2003年に登場した。6.0Lのエンジンは最高出力445psとなる。燃費と排気ガス性能を向上させるバルブトロニックをはじめ、電子制御6速AT、マン・マシンインターフェースの革命ともいえるiドライブの採用など、意欲的な車作りが際立つモデルだ
【ジャガー XJ-Sクーペ(初代)】搭載されるエンジンは、古き良き時代の産物である284psの5.3LのV12SOHC。独特な背の低いプロポーション、ウッドと革で仕上げられた豪奢なインテリア、ハイパフォーマンスなエンジン、粘りつくハンドリングなど、これぞジャガー流スポーツの真骨頂といえるだろう。ミニマムサイズながら後席+2シータータイプとなる。駆動方式はFR 【ジャガー XJ-Sクーペ(初代)】搭載されるエンジンは、古き良き時代の産物である284psの5.3LのV12SOHC。独特な背の低いプロポーション、ウッドと革で仕上げられた豪奢なインテリア、ハイパフォーマンスなエンジン、粘りつくハンドリングなど、これぞジャガー流スポーツの真骨頂といえるだろう。ミニマムサイズながら後席+2シータータイプとなる。駆動方式はFR
text/ぴえいる
photo/メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、トヨタ、BMW、ジャガー

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メルセデス・ベンツ S600ロング(5代目)/フォルクスワーゲン トゥアレグW12(初代)/トヨタ センチュリー(2代目)/メルセデス・ベンツ CL600(2代目)/BMW 7シリーズ 760Li(4代目)/ジャガー XJ-Sクーペ(初代)×V12エンジン搭載モデル×総額300万円以下×総額表示あり×修復歴なし